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289、心が煩い 奏side
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リビングに戻って斗真さんの服を掴んだまま部屋を見る。
部屋はシンプルで一通り見たら少し落ち着いた。
クイクイ
「あっち…」
「玄関?」
「…玄関じゃない…扉…あった…」
「トイレと洗面所だよ。見に行く?」
コクリ
…クイクイ
「……抱っこ…してほしい…」
気になるけどやっぱり怖くて抱っこをねだった。
「おいで、」
斗真さんは嫌な顔せずむしろ嬉しそうな顔で手を伸ばしてくれた。
「…ありがとう」
「いいえ、行こっか。」
コクリ
ドアが開く度に身構えて斗真さんの首に回した腕に力が入る。
トイレ、洗面所、それからお風呂も見せてもらった。
「部屋はこれで全部だよ。ほかに見たいとこある?」
………フルフル
「じゃあちょっと休憩しようか、」
コクリ
リビングのソファーに座って休憩することにした。
でも僕はなんだか落ち着かなくて斗真さんの上から下りられずにいた。
「抱っこのままがいいかな?乗ってていいよ。」
下りようとソファーを見つめる僕を優しく包み込むように抱きしめ言ってくれた。
ここは安全
分かったはずなのに…
胸がザワザワ煩い
「大丈夫、大丈夫、」
ザワザワ…ザワザワ…
煩い……煩い……うるさい!うるさい!!うるさい!!!!
両手で耳を押さえるけど何も変わらない。
「何か聞こえる?」
僕の手の上から手を合わせてくれた。
「……ざわざわ……うるさいの…」
「そっかー、ざわざわ聞こえるんだ。胸がざわざわ言ってるの?」
コクリ
耳から胸に手を移動して胸元を掴んだ。
「心はまだ怖いんだね。」
「怖くない…」
「そっかー、頭はもう怖くない?」
コクリ
「でも心はまだ怖いんだってー、心が怖くないって分かってくれたらざわざわしなくなるからね。」
「どうやったら分かってくれる?」
「うーん、どうやったらいいかな。どこが一番怖いと思ってると思う?」
「……あっち…」
「寝室?」
コクリ
「痛い部屋……」
「そっか、痛い部屋か…、ベッドが怖い?」
「……分かんない…」
「実家の俺の部屋は怖い?」
「じっか?」
「あー、今住んでるお家の俺の部屋は怖い?」
フルフル
「そっかー、ある物はほとんど同じなんだけどな…」
「…斗真さんのお部屋は斗真さんの匂いするから怖くない…」
「俺の匂い?…ここはしない?」
「…分かんない…」
「嗅いでみる?」
…コクリ
「俺の匂いが付いてるもの…服?」
トレーナーを受け取って顔を当ててみる。
「ぁ…斗真さんの匂い」
「あ、でもそれじゃ部屋の匂いじゃないよな…うーん、枕とか?」
「斗真さんの匂い!」
少し嗅ぐともっと嗅ぎたくなって何度も深呼吸をした。
「お布団も斗真さんの匂い、」
「そっか笑 そんな嗅がれたらなんか恥ずかしいな笑」
「っ…ウト…ウト……」
斗真さんの匂いがするお布団に顔を埋めていたらなんだか急に身体中の力が抜けて………あれ………________
部屋はシンプルで一通り見たら少し落ち着いた。
クイクイ
「あっち…」
「玄関?」
「…玄関じゃない…扉…あった…」
「トイレと洗面所だよ。見に行く?」
コクリ
…クイクイ
「……抱っこ…してほしい…」
気になるけどやっぱり怖くて抱っこをねだった。
「おいで、」
斗真さんは嫌な顔せずむしろ嬉しそうな顔で手を伸ばしてくれた。
「…ありがとう」
「いいえ、行こっか。」
コクリ
ドアが開く度に身構えて斗真さんの首に回した腕に力が入る。
トイレ、洗面所、それからお風呂も見せてもらった。
「部屋はこれで全部だよ。ほかに見たいとこある?」
………フルフル
「じゃあちょっと休憩しようか、」
コクリ
リビングのソファーに座って休憩することにした。
でも僕はなんだか落ち着かなくて斗真さんの上から下りられずにいた。
「抱っこのままがいいかな?乗ってていいよ。」
下りようとソファーを見つめる僕を優しく包み込むように抱きしめ言ってくれた。
ここは安全
分かったはずなのに…
胸がザワザワ煩い
「大丈夫、大丈夫、」
ザワザワ…ザワザワ…
煩い……煩い……うるさい!うるさい!!うるさい!!!!
両手で耳を押さえるけど何も変わらない。
「何か聞こえる?」
僕の手の上から手を合わせてくれた。
「……ざわざわ……うるさいの…」
「そっかー、ざわざわ聞こえるんだ。胸がざわざわ言ってるの?」
コクリ
耳から胸に手を移動して胸元を掴んだ。
「心はまだ怖いんだね。」
「怖くない…」
「そっかー、頭はもう怖くない?」
コクリ
「でも心はまだ怖いんだってー、心が怖くないって分かってくれたらざわざわしなくなるからね。」
「どうやったら分かってくれる?」
「うーん、どうやったらいいかな。どこが一番怖いと思ってると思う?」
「……あっち…」
「寝室?」
コクリ
「痛い部屋……」
「そっか、痛い部屋か…、ベッドが怖い?」
「……分かんない…」
「実家の俺の部屋は怖い?」
「じっか?」
「あー、今住んでるお家の俺の部屋は怖い?」
フルフル
「そっかー、ある物はほとんど同じなんだけどな…」
「…斗真さんのお部屋は斗真さんの匂いするから怖くない…」
「俺の匂い?…ここはしない?」
「…分かんない…」
「嗅いでみる?」
…コクリ
「俺の匂いが付いてるもの…服?」
トレーナーを受け取って顔を当ててみる。
「ぁ…斗真さんの匂い」
「あ、でもそれじゃ部屋の匂いじゃないよな…うーん、枕とか?」
「斗真さんの匂い!」
少し嗅ぐともっと嗅ぎたくなって何度も深呼吸をした。
「お布団も斗真さんの匂い、」
「そっか笑 そんな嗅がれたらなんか恥ずかしいな笑」
「っ…ウト…ウト……」
斗真さんの匂いがするお布団に顔を埋めていたらなんだか急に身体中の力が抜けて………あれ………________
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