こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

283、車に乗ってから 斗真side

車に乗ってからはフードを掴んで俯いている。

そういえば聴覚が敏感になってるかもって透が言ってたな、確かここに…あった。

「これ付けれる?」

信号で止まっている間にイヤーマフをつけた。

少し落ち着いたのかちらっとこっちを見てくれる。
それでもまだ不安なようでフードを掴む指は白くなっている。

家まであと20分くらいかかるけどちょっと休憩しよう、

「休憩しようか、」

反応がない…

コンビニの駐車場に止まって奏くんの肩に触れる。

「奏くん、」

肩をさするがフードを掴んで俯いたまま動かない。

「おいで、」

シートベルトを外して抱き上げる。
抵抗もせずされるがまま、膝に乗ってくれた。
抱きしめると大きく息をし、フードを掴んでいた手が俺の服を掴んだ。

しばらく抱きしめて背中をさすっているとゆっくり見上げて目が合った。

目が合うと胸に顔を擦り付ける。
肩の力も抜け、少し落ち着いたみたいだ。

ちゃんと俺って分かってくれてるのかな、この反応だけで安心した。