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276、上手に 奏side
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ん………
お家…?
あ…斗真さん…
顔を上げると斗真さんの顔が見えて胸のドクドクが少し小さくなった。
もう朝…
襖から入る太陽の光が眩しい、
そうだ…今日は斗真さんのお家に行くんだ…
心は行きたくないって怖がってるけど頭は行きたがってる。
僕は…………怖いけど行きたい。
斗真さんを起こさないようにそっと布団から出て服が入ったダンボールを開ける。
どれを着よう。
色々見て好きなのを手に取った。
僕が欲しいってお願いした水色のパーカー、着てみると大きさもピッタリで僕のだって感じて嬉しくなる。
中がふわふわで暖かい。
「______おはよう。」
斗真さんが眠たそうな顔でこっちを見ている。
「おはよう。」
「もう着替えたの?似合ってるね、見せてー、」
手招きされ斗真さんの元へ駆け寄った。
「サイズもピッタリ、」
「中ふわふわなの」
このふわふわを共感したくて斗真さんの手を服の中に入れる。
「ほんとだ、裏起毛で暖かいね。」
「うらきもー??」
「裏起毛、このふわふわのを裏起毛っていうんだよ。」
新しい言葉、覚えとこう。
「いつから起きてたの?」
「…さっき?」
「そっか、ちょっと眠れた?」
コクリ
「そっかー、うーん、もう少し寝るのは難しいか…じゃあ朝ごはんにしようか。」
「………コクリ」
朝ごはん…今日はご飯と卵焼きとお味噌汁の予定…
だけど胸に何か突っかかるような感覚がして気持ち悪い…
朝ごはんは食べたい食べれるかな…
もし食べれなかったら…
怒られたくない…
「お手伝いしてくれる?」
……コクリ
斗真さんの後をついて行く。
卵割ってくれる?
コクリ
用意してくれた踏み台に乗って卵を取る。
ぇ……どうして…
いつも卵を割るのなんて難しくないのに…何故か手が震えて上手くできない。
「どうした?おいで、」
フルフル
できる…できるの…
震える手を押えつけて震えを止めようとするけど止まるどころかもっと酷くなっていく。
「大丈夫だよ。落ち着いたら止まるからね。」
斗真さんが後ろから抱きしめてくれた。
握っていた卵を取られお皿に戻される。
『どうしてできないのっ!!』
ぁ…お母さんの声…
お母さんはいつも僕がちゃんとできなかったらこの言葉を言った。
どうしてできないの…
僕にも分かんないよ…
どうして…どうして僕の体は、僕の心は言うことを聞いてくれないの…
僕なんて…僕なんて…
「居なくなればいいのに。」
思っていた言葉が口から漏れていた。
「奏くん……そんなこと……、居なく………ら…………いよ。」
斗真さんの声が聞こえるけど僕はここに居ないような感覚になる。
頭がぼーっとして体が思い通りに動かない…
動こうとするのに意識はどんどん離れていきプツンと頭の中で音がした。
お家…?
あ…斗真さん…
顔を上げると斗真さんの顔が見えて胸のドクドクが少し小さくなった。
もう朝…
襖から入る太陽の光が眩しい、
そうだ…今日は斗真さんのお家に行くんだ…
心は行きたくないって怖がってるけど頭は行きたがってる。
僕は…………怖いけど行きたい。
斗真さんを起こさないようにそっと布団から出て服が入ったダンボールを開ける。
どれを着よう。
色々見て好きなのを手に取った。
僕が欲しいってお願いした水色のパーカー、着てみると大きさもピッタリで僕のだって感じて嬉しくなる。
中がふわふわで暖かい。
「______おはよう。」
斗真さんが眠たそうな顔でこっちを見ている。
「おはよう。」
「もう着替えたの?似合ってるね、見せてー、」
手招きされ斗真さんの元へ駆け寄った。
「サイズもピッタリ、」
「中ふわふわなの」
このふわふわを共感したくて斗真さんの手を服の中に入れる。
「ほんとだ、裏起毛で暖かいね。」
「うらきもー??」
「裏起毛、このふわふわのを裏起毛っていうんだよ。」
新しい言葉、覚えとこう。
「いつから起きてたの?」
「…さっき?」
「そっか、ちょっと眠れた?」
コクリ
「そっかー、うーん、もう少し寝るのは難しいか…じゃあ朝ごはんにしようか。」
「………コクリ」
朝ごはん…今日はご飯と卵焼きとお味噌汁の予定…
だけど胸に何か突っかかるような感覚がして気持ち悪い…
朝ごはんは食べたい食べれるかな…
もし食べれなかったら…
怒られたくない…
「お手伝いしてくれる?」
……コクリ
斗真さんの後をついて行く。
卵割ってくれる?
コクリ
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ぇ……どうして…
いつも卵を割るのなんて難しくないのに…何故か手が震えて上手くできない。
「どうした?おいで、」
フルフル
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震える手を押えつけて震えを止めようとするけど止まるどころかもっと酷くなっていく。
「大丈夫だよ。落ち着いたら止まるからね。」
斗真さんが後ろから抱きしめてくれた。
握っていた卵を取られお皿に戻される。
『どうしてできないのっ!!』
ぁ…お母さんの声…
お母さんはいつも僕がちゃんとできなかったらこの言葉を言った。
どうしてできないの…
僕にも分かんないよ…
どうして…どうして僕の体は、僕の心は言うことを聞いてくれないの…
僕なんて…僕なんて…
「居なくなればいいのに。」
思っていた言葉が口から漏れていた。
「奏くん……そんなこと……、居なく………ら…………いよ。」
斗真さんの声が聞こえるけど僕はここに居ないような感覚になる。
頭がぼーっとして体が思い通りに動かない…
動こうとするのに意識はどんどん離れていきプツンと頭の中で音がした。
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