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249、どんな感じか教えて、 斗真side

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「迷惑…」

「迷惑じゃないよ。」

フルフル…

「そんなの思ってないよ。」

過呼吸が落ち着いてから自分を責める奏くんの言葉を全て否定するがなかなか納得してくれない。




「胸痛かったの?」

過呼吸を起こす前、胸元を握りしめていたことが引っかかっていた。
無意識で掴んでたみたいだったけど、無意識で掴むってよっぽど痛かったんだろうな。

「…なんもない…痛いない…」

「そっか…」

普段明らか痛いこともなかなか教えてくれないのに今回もそう簡単に教えてくれないよな…
でももし、本当に胸に痛みがあるなら早く聞き出さないと何かあってからでは遅いよな…

「どんな感じか教えてほしいな、お願い。」

「……痛いない…痛いない…」

「うーん、」

あまり聞きすぎると意固地になって余計教えてくれなくなるしな…でもな…

「心配なんだ、もしかしたら何か悪いのが胸に入っちゃってるかもしれないよ?」

「悪いの?…」

「うん、悪いのが奏くんの胸に悪さして痛くなってるのかもしれないよ?」

「……痛い違う」

「痛いんじゃないの?じゃあ苦しい?」

「…違う…」

「うーん、じゃあキューってなったりドキドキしたりしてるのかな?」

……コクリ
「壊れちゃうの…悪いのがここを壊そうとしてるの?」

「そっか、壊れそうなくらいだったんだね。辛かったね。どんな感じか詳しく教えてくれる?」

「……ここが…ドキン、ドキンって…大きくて早くて…それで頭が…頭が…」

「大丈夫、ゆっくりでいいよ。」

「頭が斗真さんでいっぱいになるのっ…」

???俺でいっぱい?
それってもしかして…

真剣に話す奏くんは本気で不安なんだろう。
ちゃんと言葉を選ばなきゃな…
えっと……
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