208 / 725
208、嬉しいの表現 奏side
しおりを挟む
夕食の準備をしていたら杏美さんが帰ってきた。
「ただいま~」
「おかえり~もうすぐご飯だから着替えておいで~」
少し疲れた顔の杏美さんは頷いて2階に向かった。
しんどいのかな?なんだか気になって杏美さんが向かった方をじっと見つめる。
「部活で疲れただけだと思うよ。ご飯食べたら元気になるから。」
そうなの?
斗真さんに言われ、そうなら早くご飯の準備をしようとテキパキ動いた。
「疲れた~お腹空いた~」
斗真さんが言うようにお腹空いてたんだ。
降りてきていきなり素手で肉じゃがをつまんだ。
「こらっ、も~行儀悪い。ちゃんと座って食べなさい!」
「はーい、いただきま~す」
みんなよりも早く食べる杏美さんを美香さんは優しい目で見つめている。
「も~仕方ない子ね、ご飯大盛りにする?」
「うん!超大盛りでよろしく!」
「はーい、みんなは?普通でいいかしら?」
「ありがとう」
コクリ
斗真さんに続いて僕も頷いた。
「奏くんはちょっと少なめにしとくから食べれそうだったらおかわりしようね。」
コクリ
いつの間にか子ども用の小さなお茶碗が用意されていた。
くまさんの可愛い絵が隠れるくらいご飯を入れてもらって、落とさないように机に持っていく。
「じゃあいただきましょうか。」
「「「いただきます」」」
「……っいただきます…」
みんなの後に続いて小さな声で言った。
斗真さんには聞こえてたようでニコッと笑顔を向けてられた。
今日の夕食も食べたことのないものが多くてどうしたらいいか分からず固まってしまう。
「肉じゃが食べる?」
さっき食べたから食べれる。
斗真さんに小皿のよそってもらった。
さっき味見したから変な物は入ってない。けど、食べてもいいのかなって罪悪感で口が硬くなる。
「美味しいよ。パクッ」
斗真さんが食べてるところを見せてくれて僕も小さく口に入れてみる。
美味しいっ!
さっきも美味しかったけどやっぱり美味しいっ
一口食べれたらそこからはパクパク食べれた。
「他もあるよ。食べたいのある?」
「…あれ…」
ゆで卵が乗ってるサラダを指さした。
「良いよ、このくらいでいい?」
コクリ
これも斗真さんに続いて口に入れる。
シャキシャキしてて美味しい。
野菜は今まで苦かったり砂でジャリジャリのしか食べたことなかったけど、ここで食べさせてくれる野菜はシャキシャキしてたり甘かったりして美味しい。
美味しい、美味しい、
お味噌汁も温かくてワカメとお麩が入ってて体の芯まで入ってくる感じがする。
こんなに美味しいご飯を食べたいだけ食べさせてもらって、
こんなの今までしたことなかった。
心がジーンとしててきて目から涙がポロポロ零れてきた。
ご飯が濡れちゃう。慌てて手で目を擦るけど止まらなくてどうしたらいいかが分からない。
「どうしたの?苦手なの入ってた?無理しなくていわよ?」
美香さんはいきなり泣き出した僕の元に駆け寄って来てくれた。
フルフル
違う…違うって言いたいのに上手く声が出なくて首を横に振るしかできない。
「美味しくて、嬉しい気持ちが溢れちゃったんだよね。」
コクリコクリ
透さんが僕の気持ちを代弁してくれて、それを聞いた斗真さんは「美味しいね」って共感してくれた。
「美味しかった?そう、良かった~好きなだけ食べていいからね。」
コクリ コクリ
「嬉しいって感情は表現するの難しいね。でも、こうやって外に出せるっていうのが凄いことなんだよ。偉い偉い。」
透さんは嬉しそうに僕の頭を撫でた。
嬉しい…嬉しいはたくさんになると胸がギューってなる。
本当はどうやって出すのが正解なんだろう。
「ただいま~」
「おかえり~もうすぐご飯だから着替えておいで~」
少し疲れた顔の杏美さんは頷いて2階に向かった。
しんどいのかな?なんだか気になって杏美さんが向かった方をじっと見つめる。
「部活で疲れただけだと思うよ。ご飯食べたら元気になるから。」
そうなの?
斗真さんに言われ、そうなら早くご飯の準備をしようとテキパキ動いた。
「疲れた~お腹空いた~」
斗真さんが言うようにお腹空いてたんだ。
降りてきていきなり素手で肉じゃがをつまんだ。
「こらっ、も~行儀悪い。ちゃんと座って食べなさい!」
「はーい、いただきま~す」
みんなよりも早く食べる杏美さんを美香さんは優しい目で見つめている。
「も~仕方ない子ね、ご飯大盛りにする?」
「うん!超大盛りでよろしく!」
「はーい、みんなは?普通でいいかしら?」
「ありがとう」
コクリ
斗真さんに続いて僕も頷いた。
「奏くんはちょっと少なめにしとくから食べれそうだったらおかわりしようね。」
コクリ
いつの間にか子ども用の小さなお茶碗が用意されていた。
くまさんの可愛い絵が隠れるくらいご飯を入れてもらって、落とさないように机に持っていく。
「じゃあいただきましょうか。」
「「「いただきます」」」
「……っいただきます…」
みんなの後に続いて小さな声で言った。
斗真さんには聞こえてたようでニコッと笑顔を向けてられた。
今日の夕食も食べたことのないものが多くてどうしたらいいか分からず固まってしまう。
「肉じゃが食べる?」
さっき食べたから食べれる。
斗真さんに小皿のよそってもらった。
さっき味見したから変な物は入ってない。けど、食べてもいいのかなって罪悪感で口が硬くなる。
「美味しいよ。パクッ」
斗真さんが食べてるところを見せてくれて僕も小さく口に入れてみる。
美味しいっ!
さっきも美味しかったけどやっぱり美味しいっ
一口食べれたらそこからはパクパク食べれた。
「他もあるよ。食べたいのある?」
「…あれ…」
ゆで卵が乗ってるサラダを指さした。
「良いよ、このくらいでいい?」
コクリ
これも斗真さんに続いて口に入れる。
シャキシャキしてて美味しい。
野菜は今まで苦かったり砂でジャリジャリのしか食べたことなかったけど、ここで食べさせてくれる野菜はシャキシャキしてたり甘かったりして美味しい。
美味しい、美味しい、
お味噌汁も温かくてワカメとお麩が入ってて体の芯まで入ってくる感じがする。
こんなに美味しいご飯を食べたいだけ食べさせてもらって、
こんなの今までしたことなかった。
心がジーンとしててきて目から涙がポロポロ零れてきた。
ご飯が濡れちゃう。慌てて手で目を擦るけど止まらなくてどうしたらいいかが分からない。
「どうしたの?苦手なの入ってた?無理しなくていわよ?」
美香さんはいきなり泣き出した僕の元に駆け寄って来てくれた。
フルフル
違う…違うって言いたいのに上手く声が出なくて首を横に振るしかできない。
「美味しくて、嬉しい気持ちが溢れちゃったんだよね。」
コクリコクリ
透さんが僕の気持ちを代弁してくれて、それを聞いた斗真さんは「美味しいね」って共感してくれた。
「美味しかった?そう、良かった~好きなだけ食べていいからね。」
コクリ コクリ
「嬉しいって感情は表現するの難しいね。でも、こうやって外に出せるっていうのが凄いことなんだよ。偉い偉い。」
透さんは嬉しそうに僕の頭を撫でた。
嬉しい…嬉しいはたくさんになると胸がギューってなる。
本当はどうやって出すのが正解なんだろう。
51
お気に入りに追加
859
あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。



うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】
まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる