205 / 724
205、どこから聞こえてる? 奏side
しおりを挟む
帰りたい…
帰りたくない…
お父さんとお母さんは死んだ…でも…僕の頭の中ではまだ生きてる。
だって、たまに声が聞こえる時がある。耳を塞いでも頭に響くお父さんの怒鳴り声、お母さんの高い声で僕を責める声。
2人がいないなら…じゃあどこから聞こえてるの?
分からないことがどんどん溢れてくる。
お父さんとお母さんは怖い、怒ったら痛みが無くなるまで殴るし、お仕事は痛いし苦しいことばかり。
でも、昔はさっきみたいな優しい顔をしてくれた。
僕が頑張ったら、僕が痛みを我慢したらまたあの顔が見れるかもしれない…
怒った声じゃなくて…優しい声が聞きたい…
僕…頑張るよ…頑張るから……
「捨てないで…」
「奏くんは捨てられてないよ。」
斗真さん…
もたれかかっていた体を少し強く抱きしめてはっきりと言葉を放った。
上を向くと真剣な顔で見つめられた。
「奏くんのお父さんとお母さんはね、交通事故っていって、車の事故で亡くなったんだ。だから、奏くんを捨てるために遠くに行っちゃったんじゃないよ。本当はお父さんとお母さんももっと奏くんと一緒に生きたかったと思うよ。」
「……どこ行っちゃったの?」
「うーん、お空かな?」
「お空?」
「うん、お空。お空から奏くんが幸せになってるかな?って見守ってくれてるんだよ。」
「………お空…お空から聞こえてるの?」
「聞こえる?何が聞こえるの?」
「お父さんとお母さんの怒った声…耳塞いでも聞こえる…」
「そっか…今も聞こえる?」
フルフル
「今は聞こえない…でも…体がお家に帰った時とか黒い絵の具が流れてきたら聞こえる…お空から僕のとこに来てるの?」
「…うーん、それは…」
斗真さんは何か言いづらそうにした。
聞いちゃいけないことだったのかな…?
帰りたくない…
お父さんとお母さんは死んだ…でも…僕の頭の中ではまだ生きてる。
だって、たまに声が聞こえる時がある。耳を塞いでも頭に響くお父さんの怒鳴り声、お母さんの高い声で僕を責める声。
2人がいないなら…じゃあどこから聞こえてるの?
分からないことがどんどん溢れてくる。
お父さんとお母さんは怖い、怒ったら痛みが無くなるまで殴るし、お仕事は痛いし苦しいことばかり。
でも、昔はさっきみたいな優しい顔をしてくれた。
僕が頑張ったら、僕が痛みを我慢したらまたあの顔が見れるかもしれない…
怒った声じゃなくて…優しい声が聞きたい…
僕…頑張るよ…頑張るから……
「捨てないで…」
「奏くんは捨てられてないよ。」
斗真さん…
もたれかかっていた体を少し強く抱きしめてはっきりと言葉を放った。
上を向くと真剣な顔で見つめられた。
「奏くんのお父さんとお母さんはね、交通事故っていって、車の事故で亡くなったんだ。だから、奏くんを捨てるために遠くに行っちゃったんじゃないよ。本当はお父さんとお母さんももっと奏くんと一緒に生きたかったと思うよ。」
「……どこ行っちゃったの?」
「うーん、お空かな?」
「お空?」
「うん、お空。お空から奏くんが幸せになってるかな?って見守ってくれてるんだよ。」
「………お空…お空から聞こえてるの?」
「聞こえる?何が聞こえるの?」
「お父さんとお母さんの怒った声…耳塞いでも聞こえる…」
「そっか…今も聞こえる?」
フルフル
「今は聞こえない…でも…体がお家に帰った時とか黒い絵の具が流れてきたら聞こえる…お空から僕のとこに来てるの?」
「…うーん、それは…」
斗真さんは何か言いづらそうにした。
聞いちゃいけないことだったのかな…?
58
お気に入りに追加
852
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。




こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。
まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる