上 下
194 / 701

194、ただいま 斗真side

しおりを挟む
家に着くまでぼーっとアニメを見ていた。さっき俺の声には反応してたけどアニメの音も聞こえてるのかな?


今日は前よりも感情の表現ができていた。
何度かストレスを感じて動かなくなってしまったけど、その度にマルが起こしてくれた。今日は本当にマルに助けられたな。


犬かぁ、もし奏くんが飼いたいと思うなら飼うのもありかもしれないな…
まぁ犬を飼う前に奏くんと散歩とか一緒に行けるようにならなきゃだけど、
それはそれで外に出るきっかけになるか…

もっと先の話だな、普通に笑って話して普通に外に行く。そんな普通ができるようになった奏くんを想像して頬が緩んだ。
きっともっと先の未来だけど、楽しみだ。

「着いたよ~」

「ありがとう」

奏くんは前回病院から帰ってきた時は大泣きした。
けど、今回は泣く様子はなくキョロキョロ周りを見渡している。

「家着いたよ。降りようか、」

コクリ

抱っこしたまま玄関に入った。

「取る…」

「いいよ。」

イヤーマフを取ってやるとフードを外した。

家は怖くないんだな。
その行動が嬉しくて透と視線が合って微笑む。

「「ただいま~」」

「おかえり~」

奥から母さんが迎えてくれた。

「あら、奏くん何かいい事あった?」

基本無表情の奏くんの小さな変化に気づいて聞いてくれた。

「…まる…くん…会った…」

「まるくん?お友達に会ったの?」

「犬だよ。病院で飼ってる犬に会ってきたんだよね?」

「へぇ~!犬に会ってきたんだ~良かったね♪」

「……さんぽ…した…」

「散歩もしたの?!すごいねぇ~」

コクリ
「触った……お手手…ぷにぷに…」

「肉球も触らしてもらえたんだ~良かったねぇ~」

よっぽど嬉しかったんだろう、玄関で母さんに犬と何したかを話した。

こんなに母さんと話したの初めてじゃないか?

「中入って休憩しようか、」

コクリ

ソファーに座らせると安心したのか俺にもたれかかってきた。

たくさん頑張ったもんね、

クイクイ
「ん?どうした?」

「……ごほうび…ある?」

何を言うのかと思ったら、上目遣いで小声でご褒美があるか聞いてきた。
病院頑張ったらディープキスをするって約束してたもんな、

「もちろん、頑張ったご褒美あるよ。2人になった時ね、」

コクリ

それを聞いて満足したのかウトウト瞼が落ち始めた。

「おいで、」

膝の上に跨らせて背中をゆっくりと叩いた。

初めは起きようと頑張っていたけれど、5分もしないうちに寝息に変わった。

「おやすみ、」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ホントの気持ち

神娘
BL
父親から虐待を受けている夕紀 空、 そこに現れる大人たち、今まで誰にも「助けて」が言えなかった空は心を開くことができるのか、空の心の変化とともにお届けする恋愛ストーリー。 夕紀 空(ゆうき そら) 年齢:13歳(中2) 身長:154cm 好きな言葉:ありがとう 嫌いな言葉:お前なんて…いいのに 幼少期から父親から虐待を受けている。 神山 蒼介(かみやま そうすけ) 年齢:24歳 身長:176cm 職業:塾の講師(数学担当) 好きな言葉:努力は報われる 嫌いな言葉:諦め 城崎(きのさき)先生 年齢:25歳 身長:181cm 職業:中学の体育教師 名取 陽平(なとり ようへい) 年齢:26歳 身長:177cm 職業:医者 夕紀空の叔父 細谷 駿(ほそたに しゅん) 年齢:13歳(中2) 身長:162cm 空とは小学校からの友達 山名氏 颯(やまなし かける) 年齢:24歳 身長:178cm 職業:塾の講師 (国語担当)

Candle

音和うみ
BL
虐待を受け人に頼って来れなかった子と、それに寄り添おうとする子のお話

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わざとおねしょする少年の話

こじらせた処女
BL
 甘え方が分からない少年が、おねしょすることで愛情を確認しようとする話。  

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

風邪ひいた社会人がおねしょする話

こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。 一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?

処理中です...