こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

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192、終わったよ? 奏side

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何も感じなくなったところに斗真さんの声だけが聞こえた。

もう終わった…
終わったんだ…
僕…ちゃんとできたかな?

ご褒美…あるかな?

「頑張ったね。」

頑張った…

初めて自分でも頑張ったって思うことができた。

ペロッ


ペロッ

?顔に温かい何かが当たる。

ペロッ

……ゆっくりと瞬きをすると目の前にマルくんの顔が近くにあった。

「おはよ、」

斗真さん…

斗真さん…

斗真さんの方に両手を上げると抱きしめてくれた。

斗真さんだ…
もっと、もっと斗真さんを感じたい。
斗真さんの首に腕を回して首に顔を擦り付ける。

「ふふっ、頑張ったな。もうちょっとで帰れるからね、」

まだあるの?
首を傾げる。

「優咲先生のお話聞いたら本当にお終い、帰れるよ。」

お話?

「怪我の具合がどんなのだったか教えてもらって、これからどうやって治すのか教えてくれるんだよ。」

透さんが教えてくれた。

どうやって治すか…
また薬あるのかな……

服を着替えて優咲先生を待つことにした。

「お待たせしました。おっ、奏くんさっきより落ち着いてるみたいだね。」

優咲先生が戻ってきた。

「まず、肩のヒビの様子なんですけど、前回のレントゲンがこれで、今回がこれです。まぁ正直、悪化してる訳ではないんですけどあまり良くもなってないです。
ちょっと動かしすぎかな~
サポーターは毎日付けてますか?」

「はい、付けてはいるんですけど…」

「うーん、まぁ、これは本人が動かさないように意識しないと変わらないですからね…
奏くん、今ね奏くんの肩の骨にヒビが入ってるの。だから、動かさないようにしてこのヒビをくっ付けたいんだ。だから、あんまり動かし過ぎるとこうやってこのヒビからポキって折れちゃったらもっと大変なことになっちゃうから、今はあまり動かさないようにようにしてほしいんだけど、できる?」

肩の骨の模型を使って教えてくれたから分かりやすかった。
でも…動かないように…できるかな…

「折れちゃったら今よりもっと痛くなるから、薬の量も増えちゃうかもね…」

えっ!
透さんの言葉に驚く。
薬…1個でも怖いのに…もっと増えるの?!
そんなの嫌だ…

「嫌だよね?だから酷くならないようにあんまり左肩動かさないようにしてみよう。」

コクリ コクリ

動かさないように頑張る。
心の中で誓った。

「頑張ろうね~、あと、気になるのはお尻の傷なんですけど、入口が少し切れてるのと中が少し腫れてるかなって感じで、時間が経ったら治まるとは思うんですけど、一応薬出しておくので塗ってあげてください。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「いえいえ、あとは全身の傷と痣ですね~
新しい傷は見た感じなさそうなので、これも時間が経ったら少しづつ治っていくかな~
とりあえず今日診たのはこのくらいですかね~
透から視覚の診察もしてほしいって言われてるんですけど、一気に詰め込み過ぎると良くないので今日はこのくらいにしておきましょう。
次来てくださった時に視覚、他の感覚の検査と引き続き肩の具合を診ていきましょう。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「マルが役に立ったみたいで良かったです。次もマルと一緒に待ってますね。」

「ありがとうございます。」

斗真さんと優咲先生がお話している間、斗真さんに抱きしめられながら右手を伸ばしてマルくんの頭を触っていた。

ふわふわで気持ちいい。
ずっと触っていたい。

「では今日はこれで終わりますね。次も来れそうな時に電話してきてください。」

「ありがとうございます。」

「いえいえ、奏くん次こそ本当に帰れるよ~」

優咲先生に頭を撫でられマルくんと一緒に優咲先生を見る。

「帰ろっか、優咲先生とマルくんにありがとうしようね。」

コクリ…
ありがとう
口パクで伝えて手を振る。

「頑張ったね、ありがとう。またね~」

2人に手を振って部屋を出た。
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