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190、頑張ったら 奏side

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肌を直接触れると体の芯がゾクってする感じがする。
怖い…早く終わってほしい…

「ごめんね、もうちょっと頑張ってね。」

優咲さんが謝ってきた…
優咲さんは悪くない…分かってるのにまた体が硬くなって呼吸が上手く吸えなくなる。

「大丈夫、大丈夫、怖くないよー、」

斗真さんに言われ、胸に顔を押し付ける。

「ちょっと冷たいよ~」

ビクッ

「痛くない?」

……コクリ

痛くないけど…背中に何かを塗られた。


「前向ける?」

…………コクリ……

人にお腹見せるのは怖くて斗真さんの手をぎゅっと握って前を向く。
後ろには斗真さんがいる。背中でそれを感じる。

「お腹気になるな……」

お腹の痣を触りながら言ってきた…
痛くない…そう言いたいけど喉からは音にならない息しか出ない…

「排泄はちゃんとできてますか?」

「毎日トイレには行ってますけど…ちゃんと出てる?」

………コクリ

斗真さん?家に行ってから毎日ご飯食べさせてもらってるから前よりは出てると思う…

「うんち出てる?」

…コクリ…
「そっか~、斗真さん一応ちゃんと排泄できてるか様子見ていただけますか?」

「分かりました。」

「上の服、前と同じこれ着ようか、」

…コクリ

斗真さんに手伝ってもらって、水色の服を着た。

「今日は下も診たいんだけど良いかな?」

下?

「ズボン脱げる?」

ズボン…っ
言っている意味が分かった。
…嫌だ…けどそんなの言えない…

…コクリ……

ズボンにかけた手は震えビクともしない…

早くしなきゃ…早くしなきゃ…焦れば焦るほど手の震えは大きくなり心臓の音も大きくなる。

「大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫…」

斗真さんに優しく抱きしめてもらうけどなかなか力が抜けず、唇を噛む。

「っー、難しいかな…塗り薬出しとくので、お家で塗ってあげてください。」

「分かりました。」

「じゃあ、下もこれに着替えてレントゲン撮って今日は終わりましょう。」

「はい、」

斗真さんに着替えさせてもらって、隣の部屋に移動した。

「じゃあ前と同じだからね、ごろんって寝転んでじっとしててね~」

…先生の言うことちゃんと聞けなかった…
病院頑張ったらご褒美あるって斗真さんと約束したのに…
ご褒美…なくなっちゃった…

「終わったよ~頑張ったね~」

みんながいる部屋に戻ると、斗真さんが駆け寄ってくれた。

「頑張ったね、偉かったね、」

抱きしめてくれた。
僕…頑張ってないよ…ちゃんと先生の言うこと聞けなかった…偉くない…

頑張らなかったちょっと前の僕が嫌で手首にギッっと爪を立てた。
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