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187、感覚を無くす方法 奏side
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外は怖い…人は怖い…
そんな当たり前のことが頭を埋めつくした。
また黒い顔の人がいっぱい…
怖くて斗真さんの匂いでいっぱいにする。
「大丈夫、大丈夫、」
斗真さんの声…
反応したいのに体は動かない…
「……っ…はぁ、はぁ、はぁ…っ…はぁ…はぁ…」
上手く息も吸えなくなってきて一気に怖くなった。
もう全部怖い!
離して!!離して!!
逃げようとしたら腕を掴まれ、必死に抵抗しても意味をなさずその場に崩れ落ちる。
「大丈夫、大丈夫、」
誰?
また黒い人…
来ないで…触らないで…もう…もう嫌だ…
もう…消えたい………
この恐怖から逃れる方法が分からない…
初めから全部無かったことになったらいいのに………
痛み…苦しみ…悲しさ…恐怖…安心…
感情、感覚…全部…無くなったら楽になれるのに…
それならやり方知ってる…
いっぱい痛いを感じたら何も感じなくなる。
お父さんが朝まで殴り続ける日やお客さんに縛られて痛めつけられる日は一定の痛みを感じると何も感じなくなる。
痛み…自分でやってもあまり痛くない…
そうだ、この人に頼もう。
「殴って、」
目の前の人の手を持って頭に置いた。
頭を殴られたら一瞬クラってなって感覚が薄れるんだ。
「ねぇ、殴って」
その手は頭に乗ったまま殴ってくれない。
なんで?
なんで殴ってくれないの?
「できない。ごめんね、」
優しく撫でられた。
そんなのをしてほしいんじゃない!
「殴って…殴って…殴ってよ……」
「ごめんね、」
その人は謝るだけ、
なんで…
「なんで僕だけ…なんで僕だけ…もう…終わりたい…」
「ごめんね、辛いね。ごめんね、」
泣き崩れる僕を抱きしめる。
どうしてこんなに辛い思いしなきゃダメなの…僕は売り物…
そう言い聞かして自分の感情を押し殺していたのにこの数日で感情溢れ出す。
「もう………全部嫌だ……」
「嫌だね。ごめんね、もう怖くないよ。」
殴る代わりに抱きしめるその人は背中を優しくトントンする。
もっと強く殴って…
そう思ったが、次第にそれが落ち着きに変わった。
ここどこ…
キョロキョロ当たりを見渡す。
「奏くん、」
上から声がする。
見上げると斗真さんと目が合った。
あれ…斗真さんに抱っこされてる…
もしかしてさっきの黒い人って…斗真さん?
「奏くん、俺たちの顔見える?」
…コクリ
透さんが聞いてきて頷いた。
「よし、頑張ったな。」
車の時と同じように頭をわしゃわしゃされる。
「診察どうしようか、できそう?無理そうなら今日はレントゲンだけで後日来てもいいし、」
「どうだろう、今は落ち着いてるように見えるけど…無理させたらまたパニック起きるかな?」
「うーん、やってみて無理そうなら切り上げて帰ってもいいけど、」
「ならそれでもいいかな?」
「いいと思うよ。」
コンコン、
ビクッ
ドアを叩かれ怖くて斗真さんにしがみつく。
「はーい、」
「すみませーん、優咲です。透くんに電話したんだけど繋がらなくて、」
「え?!ごめん!マナーモードになってた!」
ヒョコッ
「ぁっ、」
扉の隙間からわんちゃんが顔を覗かせた。
目が合って思わず声が漏れた。
「一緒にお迎えに来ちゃいました笑」
ゆっくりと優咲さんの横について中に入ってきた。
大きい…触ってみたいけど…ちょっと怖くて斗真さんの服を握る。
そんな当たり前のことが頭を埋めつくした。
また黒い顔の人がいっぱい…
怖くて斗真さんの匂いでいっぱいにする。
「大丈夫、大丈夫、」
斗真さんの声…
反応したいのに体は動かない…
「……っ…はぁ、はぁ、はぁ…っ…はぁ…はぁ…」
上手く息も吸えなくなってきて一気に怖くなった。
もう全部怖い!
離して!!離して!!
逃げようとしたら腕を掴まれ、必死に抵抗しても意味をなさずその場に崩れ落ちる。
「大丈夫、大丈夫、」
誰?
また黒い人…
来ないで…触らないで…もう…もう嫌だ…
もう…消えたい………
この恐怖から逃れる方法が分からない…
初めから全部無かったことになったらいいのに………
痛み…苦しみ…悲しさ…恐怖…安心…
感情、感覚…全部…無くなったら楽になれるのに…
それならやり方知ってる…
いっぱい痛いを感じたら何も感じなくなる。
お父さんが朝まで殴り続ける日やお客さんに縛られて痛めつけられる日は一定の痛みを感じると何も感じなくなる。
痛み…自分でやってもあまり痛くない…
そうだ、この人に頼もう。
「殴って、」
目の前の人の手を持って頭に置いた。
頭を殴られたら一瞬クラってなって感覚が薄れるんだ。
「ねぇ、殴って」
その手は頭に乗ったまま殴ってくれない。
なんで?
なんで殴ってくれないの?
「できない。ごめんね、」
優しく撫でられた。
そんなのをしてほしいんじゃない!
「殴って…殴って…殴ってよ……」
「ごめんね、」
その人は謝るだけ、
なんで…
「なんで僕だけ…なんで僕だけ…もう…終わりたい…」
「ごめんね、辛いね。ごめんね、」
泣き崩れる僕を抱きしめる。
どうしてこんなに辛い思いしなきゃダメなの…僕は売り物…
そう言い聞かして自分の感情を押し殺していたのにこの数日で感情溢れ出す。
「もう………全部嫌だ……」
「嫌だね。ごめんね、もう怖くないよ。」
殴る代わりに抱きしめるその人は背中を優しくトントンする。
もっと強く殴って…
そう思ったが、次第にそれが落ち着きに変わった。
ここどこ…
キョロキョロ当たりを見渡す。
「奏くん、」
上から声がする。
見上げると斗真さんと目が合った。
あれ…斗真さんに抱っこされてる…
もしかしてさっきの黒い人って…斗真さん?
「奏くん、俺たちの顔見える?」
…コクリ
透さんが聞いてきて頷いた。
「よし、頑張ったな。」
車の時と同じように頭をわしゃわしゃされる。
「診察どうしようか、できそう?無理そうなら今日はレントゲンだけで後日来てもいいし、」
「どうだろう、今は落ち着いてるように見えるけど…無理させたらまたパニック起きるかな?」
「うーん、やってみて無理そうなら切り上げて帰ってもいいけど、」
「ならそれでもいいかな?」
「いいと思うよ。」
コンコン、
ビクッ
ドアを叩かれ怖くて斗真さんにしがみつく。
「はーい、」
「すみませーん、優咲です。透くんに電話したんだけど繋がらなくて、」
「え?!ごめん!マナーモードになってた!」
ヒョコッ
「ぁっ、」
扉の隙間からわんちゃんが顔を覗かせた。
目が合って思わず声が漏れた。
「一緒にお迎えに来ちゃいました笑」
ゆっくりと優咲さんの横について中に入ってきた。
大きい…触ってみたいけど…ちょっと怖くて斗真さんの服を握る。
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