こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

175、何も入らない心 奏side

斗真さんの気持ち…

せっかく言ってくれたのに、素直に受け入れることができなかった…
心が固くなって跳ね返してるみたい…

斗真さんの言葉を受け入れようとすると今までのお父さんとお母さんの記憶がぶわーって溢れて頭を飲み込む。

「急には難しいよ。少しずつ、少しずつでいいからね。」

温かい斗真さんの胸に顔を押し付けて目を瞑る。

目を閉じててもじんわりと滲み出る涙がまつ毛と服を濡らした。

「大丈夫、大丈夫、」

優しい斗真さんは僕の頭に手を当てて優しく撫でてくれる。
涙で濡らしても嫌な顔一つしないからそのまま胸に顔を擦り付けた。



どうして僕はこうなんだろう、痛いことされても優しくされても心に何も入らないように固めてしまう。
こんなのやだな…