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164、好き 奏side

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僕が好きだったら斗真さんも…好き…


本当かな、
信じて良いのかな。
信じて裏切られた時の辛さが怖くてなかなか踏み出せない。



けど…僕は…斗真さんが好き。
それは変わらない。

「少しずつでいいよ。」

何も言ってないのに斗真さんは僕の背中を撫でながらそう囁く。

少しずつ…少しずつ…
心の中で復唱し心に響かせる。

今までは斗真さんに好かれるためには嫌われないためにはどうしたらいいかを考えてきた。
けど、今は僕が斗真さんをどう思っているかが重要になった。

答えのない恐怖から少しだけ逃れられた気がした。
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