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158、透さんと二人でお話 奏side
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斗真さんの部屋に入る。
この部屋に入るのは3回目だけど慣れなくてキョロキョロしてしまう。
「おいで~、」
透さんがベッドに座って隣を叩く。
少し開けて隣に座る。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ~っていっても緊張しちゃうよね~」
なんて返せばいいか分からなくてじっと透さんの手を見つめる。
「手気になる?痛いことしないよ。」
グーパーグーパーして手を見せてくれる。
「今日はね、奏くんとお絵描きしたいな~っと思ってこれ持ってきたんだ~」
カバンからスケッチブックと色鉛筆がでてきた。
「何描こうかな~?」
スラスラと何かを描き出した。
人?
「誰だと思う?」
「……」
分からない…
「奏くんのつもりだったんだけどな~似てないかな?笑」
確かに言われてみれば髪の長さとか一緒だ。
「奏くんも描いてみる?」
コクリ
僕も描いてみる。
あまり絵とか描いたことないから伝わるかな?
「あっ斗真だ!上手!やっぱり器用だね~」
そう、斗真さん伝わってよかった。
褒めてもらって心が少し解けていく。
他にも色んな絵を描いて少しづつリラックスできるようになってきた。
「あのね、奏くんのことですっごく心配なことが1つあるんだ。教えてくれる?」
…コクリ
優しい声で僕の目を見る。
「たまに目が見えなくなる時があるのは分かる?それってどんな感じで見えてるのか教えてほしいんだけどいい?」
見えてない時?
黒い絵の具のこと?
「…絵の具?」
「絵の具?絵に描いて説明できる?」
コクリ
簡単に人を描いて顔を黒で塗り潰した。
「顔だけが黒くなって見えなくなるの?」
コクリ
「そっかー、今は見える?」
「見える」
「そっかー、どういう時にその絵の具が出てくるんだろうね。」
「…体が…お家に帰る時…」
「体がお家に帰るの?」
コクリ…
「お父さんとお母さんの声とかお客さんの声が聞こえる時………
体が………お家に帰るの………」
「そっかー、怖かったね。」
無意識に握り締めていた拳を優しく撫でられる。
「顔が真っ黒になって…誰か分からない……手が……手が………………怖い。」
「そっか、怖いよね。頑張ったね。教えてくれてありがとう。」
「痛いないのも…怖い…………けど痛いしたらお母さんが耳元で怒る…怖い…怖いの…売り物傷付ける…ダメって怒る。…僕悪い……自分で痛いしたらもっと…もっと痛いされる………っ…はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「もういいよ。ごめんね、大丈夫、大丈夫。痛くないよ。大丈夫大丈夫、ゆっくり息しよう。大丈夫、大丈夫、」
まだ殴られてないのに身体中が痛くて両手で髪を鷲掴みしてうずくまる。
ふわっ、
あ…
「斗真…さん…」
斗真さんの匂いがしてその匂いの中でゆっくり息をする。
「落ち着いた?斗真の匂いが1番の安定剤だね。」
斗真さんの上着から匂ってたんだ。
もっと感じたくて顔を埋めて深呼吸をする。
ずっと、斗真さんを感じていたい。
ずっと優しい斗真さんのままでいてほしい。
「嫌われたくない…」
そんな叶わない願いがぽろりと口からこぼれた。
この部屋に入るのは3回目だけど慣れなくてキョロキョロしてしまう。
「おいで~、」
透さんがベッドに座って隣を叩く。
少し開けて隣に座る。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ~っていっても緊張しちゃうよね~」
なんて返せばいいか分からなくてじっと透さんの手を見つめる。
「手気になる?痛いことしないよ。」
グーパーグーパーして手を見せてくれる。
「今日はね、奏くんとお絵描きしたいな~っと思ってこれ持ってきたんだ~」
カバンからスケッチブックと色鉛筆がでてきた。
「何描こうかな~?」
スラスラと何かを描き出した。
人?
「誰だと思う?」
「……」
分からない…
「奏くんのつもりだったんだけどな~似てないかな?笑」
確かに言われてみれば髪の長さとか一緒だ。
「奏くんも描いてみる?」
コクリ
僕も描いてみる。
あまり絵とか描いたことないから伝わるかな?
「あっ斗真だ!上手!やっぱり器用だね~」
そう、斗真さん伝わってよかった。
褒めてもらって心が少し解けていく。
他にも色んな絵を描いて少しづつリラックスできるようになってきた。
「あのね、奏くんのことですっごく心配なことが1つあるんだ。教えてくれる?」
…コクリ
優しい声で僕の目を見る。
「たまに目が見えなくなる時があるのは分かる?それってどんな感じで見えてるのか教えてほしいんだけどいい?」
見えてない時?
黒い絵の具のこと?
「…絵の具?」
「絵の具?絵に描いて説明できる?」
コクリ
簡単に人を描いて顔を黒で塗り潰した。
「顔だけが黒くなって見えなくなるの?」
コクリ
「そっかー、今は見える?」
「見える」
「そっかー、どういう時にその絵の具が出てくるんだろうね。」
「…体が…お家に帰る時…」
「体がお家に帰るの?」
コクリ…
「お父さんとお母さんの声とかお客さんの声が聞こえる時………
体が………お家に帰るの………」
「そっかー、怖かったね。」
無意識に握り締めていた拳を優しく撫でられる。
「顔が真っ黒になって…誰か分からない……手が……手が………………怖い。」
「そっか、怖いよね。頑張ったね。教えてくれてありがとう。」
「痛いないのも…怖い…………けど痛いしたらお母さんが耳元で怒る…怖い…怖いの…売り物傷付ける…ダメって怒る。…僕悪い……自分で痛いしたらもっと…もっと痛いされる………っ…はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「もういいよ。ごめんね、大丈夫、大丈夫。痛くないよ。大丈夫大丈夫、ゆっくり息しよう。大丈夫、大丈夫、」
まだ殴られてないのに身体中が痛くて両手で髪を鷲掴みしてうずくまる。
ふわっ、
あ…
「斗真…さん…」
斗真さんの匂いがしてその匂いの中でゆっくり息をする。
「落ち着いた?斗真の匂いが1番の安定剤だね。」
斗真さんの上着から匂ってたんだ。
もっと感じたくて顔を埋めて深呼吸をする。
ずっと、斗真さんを感じていたい。
ずっと優しい斗真さんのままでいてほしい。
「嫌われたくない…」
そんな叶わない願いがぽろりと口からこぼれた。
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