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153、慣れない感情 斗真side

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ぐったりしている奏くんの体を拭いてパジャマを着せる。

「おっ、サイズぴったり、似合ってるよ」

ムクッ
「パジャマっ」

勢いよく立ち上がってパジャマを見ている。
嬉しいのかくるくる回っている。

「ありがとう。斗真さんありがとう。」

「いいえ~」

パジャマを見て「ありがとう」を繰り返している。
相当嬉しかったんだろうな。



「ドライヤー終わったよ。」

「ありがとう。服見るっ」

俺の手を引いて和室に向かう。


「斗真さん、服見たい。」

「良いよ。」

箱から服を出していく。

「服いっぱい、いっぱいある。」

「そうだね。全部奏くんのだよ。」

「ん、ありがとう。ありがとう。」

また泣きそうな顔で俺を見る。

「斗真さん、ギューして、ギューして、」

「おいでー、」

嬉しい感情に慣れてないせいか苦しそうに涙を流す。

「んー、んー、」

「大丈夫、大丈夫、」

「斗真さん、ありがとう。嬉しい?の」

「どういたしまして、嬉しいで合ってるよ。嬉し過ぎて心がビックリしてるんだね。ちょっとずつ慣れていこうね。」

「ん、ありがとう。ありがとう。」

俺の胸に顔を擦り付ける。



「明日も新しい服着たい。」

「うん、良いよ。明日どの服にするか決めようね。」

「うん、あと、あと、明日もお風呂入るの…それで、斗真さんと一緒に遊ぶの。」

「そうだね。明日はやりたいこといっぱいあるね。」

「うんっ」

奏くんが明日したいことを言うなんて初めてだ。よっぽど嬉しくて、楽しみなんだろうな。
気に入ってくれて良かった。

「今日はもう寝ようか。」

さっきよりは元気になったけど、体はまだしんどそうだ。
イったら体力使うもんな。

「おいで、」

まだ服を見たそうだったけど、瞼は閉じようとしている。

「明日いっぱい見ようね。今日はもう寝ようね。」

布団に入れて一緒に寝る。

「お腹…お腹ぴったんこ…」

「ん?ああ、良いよ。おいで、」

お腹を重ねて抱きしめる。

やっぱり疲れていたのだろうすぐに寝息に変わった。

「おやすみ。」

俺もすぐ眠りについた。
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