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149、僕の価値って 奏side

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どうして胸がギューってなるの。

こんな痛み殴られるよりずっとましなのに痛くて苦しくて押し潰されそうになる。
殴られてないのに痛いなんておかしいのに…
涙がじんわりと目に溜まる。
泣きたくない…痛みも涙も我慢できるはずなのに…

「おいで、」
斗真さんが何も言わずに抱きしめてくれた。
泣いてることがバレたくなくて声を殺して静かに涙を零す。

いつもよりも大きく背中を叩く斗真さんの手の温もりが心地よくて心の蓋が開いてしまいそうになる。

僕は我慢できる子なんだ…
我慢して頑張ったらみんな喜んでくれるそれはずっと前から知ってる。

今までお金を持ってくることで僕は認めてもらって価値を見出していた。
でも…今はどうだろう…

僕の価値ってなんだろう…

価値がなくなったら嫌われてしまう…
捨てられたくない…

僕の価値を見つけなきゃ…



斗真さんにとって僕は必要?

必要って思われたい…
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