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147、黒い絵の具 奏side

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さっきまで斗真さんと透さんと一緒にいたのに目の前には真っ黒の顔の人がいた。

でもその人は透さんなんだって…
透さんって分かったら怖くなくなって、斗真さんには抱っこしてもらって、
斗真さんの匂いをいっぱい匂ったらだんだん黒い絵の具が流されていった。

この絵の具は自分で塗ってるのかな?
いつも急に数日前までいたところに戻ったような感覚になった時にこの絵の具が出てくるんだ。

真っ黒の絵の具…
それは僕の心の色と一緒。
真っ黒で何も見えない。
見たくないものを全部閉じ込める心。






「奏くん?大丈夫?」

「?」

「ちゃんと見えてるね。」

斗真さんは僕と目が合って優しく微笑んだ。

「痛い治った?」

斗真さんはたまに痛そうにする。
斗真さんが痛いのを我慢していると僕も辛くなる。
痛いは我慢したら辛い。
それは知ってる。だから斗真さんには痛い思いをしてほしくない。

「奏くんのおかげで治ったよ。ありがとう。」

「良かった。」

「奏くんは?痛くない?」

僕?

「痛い大丈夫。痛い我慢するの得意だよ。」

僕の特技。だから僕はみんなの役に立てるんだよ。

ちょっとした自慢のつもりで言った。
でも斗真さんの反応は想像してたのとは違っていた。

「得意…って…」

どうしてそんな顔するの?
また痛い顔…

今までの人はそんな顔しなかった。
みんなは怒り、笑顔、真顔。
この3つの表情しかしない。

そして今までの人はどの表情でも乱暴に僕を犯し、僕の反応が悪いと殴って蹴る。

でも…斗真さんはみんなとは違う。


分からない。
斗真さんは今何を思ってる?
僕に何をしてほしい?

斗真さんは僕に命令をしない。
いつも優しく接して僕に選択肢を与える。

人間扱いする斗真さんの行動は安心すると同時にどうしたらいいか分からなくて辛くなる。


それならいっその事…



いっその事…







殴ってくれたらいいのに…


殴られたら痛い、怖いって思うくせにされなくなったらされなくなったで殴ってほしいと思う。

僕って我儘だ。

だからみんなを怒らせちゃうんだな…
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