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139、もっと? 斗真side
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「とうまさん!」
っ!
「ここにいるよっ」
奏くんの手を取ると弱い力で握り返してくれた。
「斗真さん…斗真さん…」
手探りで俺の服を触る。
「大丈夫、ここにいるよ。」
奏くんの腕を撫でる。
目は開いてるけど見えてない?
透が目の前で手を動かすが反応がない。
「ちょっとヤバいかも…病院に連絡してくる。」
「うん、」
奏くんを抱き上げ膝に乗せる。
精神的にはさっきよりは落ち着いたように見えるけど…
「斗真さん、」
「ん?どうした?」
「キス…キスしたい。」
「いいよ。」
チュッ
触れるだけのキスをする。
「もっと」
チュッ
「もっと、」
チュッ
「ぅー、ちがう…ちがうの…」
違う?
「違うの?」
「ちがうのっ…っ…ん…っ…」
え…違うって言われてもな…
奏くんが求めてることが分からない。
「どうした?」
泣いている奏くんの頭を透が触ろうとすると首を振って抵抗した。
「あ、見えてるね。」
「ほんとだ、良かったぁ」
泣き止まない奏くんを目の前にして透と一緒に安堵した。
「で、どうしたの?なんで泣いてるの?」
透が優しく奏くんに問いかけるが「ちがうの」を繰り返すだけ。
「何が違うの?」
「…っ…ひっく…ひっく…」
「ゆっくりでいいよ。ゆっくり言ってごらん、」
「…っ…もっとなの…っ」
「もっと?」
「キス…もっとなの…」
「キス?斗真とキスしたいの?」
「ん、でもちがうの」
「んー、難しいな。斗真、キスしてあげたら?」
「いや、実はさっきしたいって言われてしたんだけど違うって言われて、」
「キスする場所が違うかったんじゃない?ほっぺじゃなくて口とか」
「いや、口にした。」
「うーん、どういうのがしたいの?」
「いっぱい…いっぱい…」
「いっぱい?何回もしてほしいってこと?」
「ちがうの…ちがうの…」
「「うーん、」」
俺と透は頭を抱えた。
思い通りにいかない奏くんは唸っていた。
「怒ってるな。」
透は眉間に皺を寄せて唸っている奏くんを嬉しそうな顔で見ている。
「怒りも大丈夫な感情の一つだよ~
沢山怒ってくれてるんだけど奏くんがしてほしいことが分かんないんだよな~」
「あ…」
…もしかして…いや、でもまさか…
奏くんが求めてるキスって…
ディープキス?
「どうした?分かったかの?」
「えっ、あ、いや、その…」
「ん?なに、分かったの?分かってないの?」
「いや、……分かった。」
透に嘘をついてもすぐにバレてしまう。
「でも、奏くん、今はちょっと難しいな…」
「だめ…」
「うん、だめーっというか…難しい…かな」
「…やだ。」
「いや、そう言われても…」
「何のことか分かんね~けど、奏くんがこんなに意思表示するのも珍しいしやってあげたら?俺はリビングいるわ。」
「え、ああ、ありがとう…」
「おう、熱はまだあるからあんま無理させすぎんなよ。じゃっ、」
そう言って透は部屋を出た。
あの感じ多分分かってて気使ってくれたんだろうな。
っ!
「ここにいるよっ」
奏くんの手を取ると弱い力で握り返してくれた。
「斗真さん…斗真さん…」
手探りで俺の服を触る。
「大丈夫、ここにいるよ。」
奏くんの腕を撫でる。
目は開いてるけど見えてない?
透が目の前で手を動かすが反応がない。
「ちょっとヤバいかも…病院に連絡してくる。」
「うん、」
奏くんを抱き上げ膝に乗せる。
精神的にはさっきよりは落ち着いたように見えるけど…
「斗真さん、」
「ん?どうした?」
「キス…キスしたい。」
「いいよ。」
チュッ
触れるだけのキスをする。
「もっと」
チュッ
「もっと、」
チュッ
「ぅー、ちがう…ちがうの…」
違う?
「違うの?」
「ちがうのっ…っ…ん…っ…」
え…違うって言われてもな…
奏くんが求めてることが分からない。
「どうした?」
泣いている奏くんの頭を透が触ろうとすると首を振って抵抗した。
「あ、見えてるね。」
「ほんとだ、良かったぁ」
泣き止まない奏くんを目の前にして透と一緒に安堵した。
「で、どうしたの?なんで泣いてるの?」
透が優しく奏くんに問いかけるが「ちがうの」を繰り返すだけ。
「何が違うの?」
「…っ…ひっく…ひっく…」
「ゆっくりでいいよ。ゆっくり言ってごらん、」
「…っ…もっとなの…っ」
「もっと?」
「キス…もっとなの…」
「キス?斗真とキスしたいの?」
「ん、でもちがうの」
「んー、難しいな。斗真、キスしてあげたら?」
「いや、実はさっきしたいって言われてしたんだけど違うって言われて、」
「キスする場所が違うかったんじゃない?ほっぺじゃなくて口とか」
「いや、口にした。」
「うーん、どういうのがしたいの?」
「いっぱい…いっぱい…」
「いっぱい?何回もしてほしいってこと?」
「ちがうの…ちがうの…」
「「うーん、」」
俺と透は頭を抱えた。
思い通りにいかない奏くんは唸っていた。
「怒ってるな。」
透は眉間に皺を寄せて唸っている奏くんを嬉しそうな顔で見ている。
「怒りも大丈夫な感情の一つだよ~
沢山怒ってくれてるんだけど奏くんがしてほしいことが分かんないんだよな~」
「あ…」
…もしかして…いや、でもまさか…
奏くんが求めてるキスって…
ディープキス?
「どうした?分かったかの?」
「えっ、あ、いや、その…」
「ん?なに、分かったの?分かってないの?」
「いや、……分かった。」
透に嘘をついてもすぐにバレてしまう。
「でも、奏くん、今はちょっと難しいな…」
「だめ…」
「うん、だめーっというか…難しい…かな」
「…やだ。」
「いや、そう言われても…」
「何のことか分かんね~けど、奏くんがこんなに意思表示するのも珍しいしやってあげたら?俺はリビングいるわ。」
「え、ああ、ありがとう…」
「おう、熱はまだあるからあんま無理させすぎんなよ。じゃっ、」
そう言って透は部屋を出た。
あの感じ多分分かってて気使ってくれたんだろうな。
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