こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

102、焦ってたのは 斗真side

奏くんが不安を抱えてることには気付いていた。

ぼーっとしながらも手首を握りしめている。
反応からして気づいてなかったっぽいけどそれを無意識にするってよっぽどだよな…

さっきの質問、俺がどうしたら怒るかどうやって怒るかを聞いてきたくらいから様子がおかしかった。

どうして急に気になったんだろう。

奏くんはどういう答えを求めていたんだろう。


俺の服をぎゅっと握りしめる小さな手を包み込んで考える。

「斗真さん…」

「ん？どうした？」

「うーうん、」

名前だけ呼んでまた俺の胸に顔を擦り付ける。

ここに来た日からしたらすごい成長した。
こうやって俺に甘えたり、話せたり、ご飯食べたりお風呂入ったり
この数日で奏くんはたくさん頑張った。
新しい生活に慣れるのはゆっくりでいいって思ったけど、1番焦ってるのは俺なのかもしれないな。

奏くんの過去とか好きなこと嫌いなこと、奏くんの気持ちとか全部知りたいって焦ってた。
そんな数日一緒にいたからって奏くんの全部を知ることなんてできないよね。

当たり前のことなのに今分かった。



焦らずゆっくり、ゆっくりでも良いよね。