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95、不安だよな。 斗真side
しおりを挟む「斗真さん…一緒?」
「うん、一緒だよ。」
「一緒、斗真さんと一緒。」
「そうだよ。」
さっきからずっとこの繰り返し、多分不安なんだろうな。
「ずっと一緒、一緒にいるよ。」と俺も繰り返し奏くんを抱き上げる。
リビングに行くとみんなで朝食を食べていた。
「おはよう」
「おはよう、」
杏美に言われ奏くんは何故か俺の服をぎゅっと握って小さく頷く。
?
なんか機嫌悪い?
さっきまでそんな感じはなかったけど、
ソファーでゆっくりしよう。
座ってリモコンを見せるも受け取らず俺の胸に顔を擦り付ける。
まぁ気が乗らない時は誰にでもあるよな。
今はそっとしておこう、適当にチャンネルを変えてテレビを観ることにした。
ん?奏くんの体温が上がり胸元が濡れてることに気づいた。
泣いてるのか、
「どうした?どこか痛いか?」
フルフル
「ここがしんどいか?」
奏くんの胸を擦ると小さく頷いてくれた。
やっぱり不安なのか。
「俺はずっと奏くんと一緒にいるよ。大丈夫、大丈夫」
コクリ…コクリ…
頭では分かってても心は不安だよな。
どうしたら安心できるだろう。
俺にはこうやって「大丈夫」って抱きしめることしかできないのか。
「斗真さん…」
「ん?どうした?」
「斗真さん…お家…どこ?」
「家か?家はここから車で30分くらいのとこかな。」
「どんなとこ?」
「マンションだよ。7階、」
新しい環境なのが不安なのかな。
そら不安だよな、やっとこの家にもちょっと慣れたかなってくらいなのにまた新しいとこに行くんだもんな。
「斗真さん一人?」
「一人暮らしだよ。」
「斗真さんと2人…」
「そ、俺と奏くんの2人だけ、大丈夫、大丈夫だよ。怖くないからね。」
コクリ…
「うん…っ……ん………」
分かったと頷くが涙は静かに頬を濡らした。
「大丈夫、大丈夫、怖くないよ。」
安心できるとこかなんて暮らしてみなきゃ分かんないよな。
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