こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

76、 覚悟 斗真side

たくさん泣いて落ち着いた奏くんに聞きたいことがあった。

「奏くんの一番好きなご飯は何？」

「好き？」

「うん、好きな食べ物ある？」

「ある」

ハッキリとあると言ってピンクと水色と緑とオレンジを手に取って描きだした。

これって、

「金平糖？」

「うん、一番好き。美味しかった。」

ちゃんと美味しいって思ってくれてたんだ。良かった。

「そっか、良かったなぁ。無くなってもまた買ってあげるからね。好きな食べ物たくさん増やそうね。」

ｺｸﾘ
「斗真さんは？」

「ん？俺の好きな物か？俺の好きな食べ物は～これかな」

紙に描いて見せる。

「…美味しい？」

「美味しいよ。」
食べたことないんだろうな。首を傾げるている。

「これはお寿司だよ。ご飯の上に刺身、お魚が乗ってるんだよ。」

「お魚…しゃけ」

「そうだね。お昼食べたね。生の鮭はサーモンって言うんだけど、サーモンのお寿司も美味しいよ。」

「サーモン…」

「また今度一緒に食べようね。」

ｺｸﾘ
「斗真さんと同じの食べる。」

「うん、食べようね。」

奏くんとたくさん美味しいものを食べて奏くんの中の食べ物の印象を変えたい。
また「ご飯を描く」と言った時に普通のご飯を描ける日が来るように、

いや、来る。絶対来る。

俺が変えてやる。変えなきゃ。


ご飯は美味しいもの。

みんなと食べたら楽しいもの。

そう思えるようにしよう。