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71、引っかかる 斗真side

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来た時から持っていた携帯が気になっていた。
金に困っていた親がそんな物を子どもに持たせるか。
でも、その携帯には電話番号もメールアドレスも登録されていなかった。

本当にGPSのために与えていたのだろう。
それでも…毎月金がかかる物を与えていたのが引っかかる。

「これ、いつから持ってるの?」

「……」

「言いたくない?」

黙って俯いてしまった。

「言いたくないなら言わなくていいよ。」

「もう…」

「ん?」

「もう…しない……僕…もう逃げないよ。」

泳いだ目は俺の目を見ている。

やっぱり、親から逃げたんだ。
虐待がバレることより携帯代の方が安かったってわけか。

「ごめんなさい…ごめんなさい…もう逃げない…ごめんなさい…」

さっきまで俺を見ていた目は床を見つめて震えた手は俺の服を必死に掴んでいる。

「分かったよ。大丈夫、大丈夫、おいで。」

抱き上げて背中をさする。
震えた体は力むばかり。
嫌なこと思い出させたな。

逃げた時に何かがあったのかそれとも捕まった時に何かがあったのかそれは分からないけど、恐怖を植え付けられる出来事があったんだろうな。

こんな小さな体でどれだけ辛いことを耐えていたのか、考えるだけでも辛くなりやるせない気持ちになる。

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