こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

文字の大きさ
上 下
70 / 725

70、僕も知りたい 奏side

しおりを挟む
「僕のこと知りたい?」

「うん、知りたいけど…無理に話さなくていいよ。」

「僕も…斗真さんのこと…知りたい…」

「本当?一緒だね。」

コクリ

「何知りたい?」

斗真さんのことは全部知りたい…まだ全然知らないから…
でも、いざ何が知りたいかと聞かれたら何から聞いたらいいか迷ってしまう。

うーん…あ、

「おたんじょうび」

「誕生日?誕生日は7月3日だよ。奏くんは?」

「僕は…ないよ…」

僕にはないけど、斗真さんにはきっとあると思ってお誕生日を祝ってみたくて聞いた。っていっても大したことはできないけど…

「ないって…母さんは知ってるかな、母さ~ん!」

「何~?」
美香さんが顔を出す。

「奏くんの誕生日知ってる?」

「12月15日よ。」

「12月か~今年は盛大にお祝いしようね!」

お祝い、僕が斗真さんをお祝いしたいって思ってたら斗真さんも僕のお誕生日をお祝いしてくれるって言ってくれた。

「そうね、大きいケーキも用意しなくっちゃね~」

美香さんもなんだか嬉しそうにしている。
みんなが嬉しそうだと僕はもっと嬉しくなっちゃう。


「誕生日分かって良かったね。」

コクリ

「じゃあ次は俺から質問いい?」

コクリ

「その携帯は奏くんの?」

コクリ

「使えるの?」

箱の横に置いていた携帯を指さしている。
うーん、使えるかは分からない…
使ったことないから…でも…お父さんが持っとくようにって僕に渡したもの。
警察の人はこの携帯で僕の場所を見つけたって言ってたな…

「見てもいい?」

コクリ

「子ども携帯?何に使ってたの?」

「使ってない、持ってただけ。じーぴーえす?ってお父さん言ってた。」

「GPS…そういうことか…」


斗真さんは納得したみたいだったけど僕には全然分からなかった。

「電話とメールはできるんだ、」

でんわ?
めーる?さっきから独り言のように知らない言葉を言っている。

「奏くん、俺の電話番号とメアド入れといたからいつでも連絡できるよ。」



「あ、そっか、使ったことなかったのか。えっとな、これが俺の電話番号な押してみ。」

〈とうま〉を押してみる。

プルルルル
ビクッ
斗真さんの携帯が鳴った。

「耳に当ててみな。」

言われた通り耳に当ててみる。

『聞こえる?』

うわ!何これ携帯から斗真さんの声が聞こえる。
どうして??
携帯を耳から離して斗真さんを見上げる。

「奏くんも喋ってみて、」

「……」
何て喋ったらいいの…分からず固まってしまう。

「そんなに緊張しなくても笑 何でもいいよ。じゃあ俺の名前呼んでみて。」

「と…斗真さん…」

「お~聞こえる聞こえる。これ使えるな~じゃあ次はメールね。」

言われた通りに操作する。

「字はひらがなだけ読めるの?」

「ひらがなだけ…」

「そっか、まぁひらがなできたらメールはできるから大丈夫だよ。」

良かった。
ひらがなは独学で覚えたけど紙に書いて話せるくらいは使える。

「こうやったら、こうやって俺のスマホに送られてくるの。できそう?」

コクリ

「やってみ。」

さっき教えてもらった通りに送ってみる。

ピロン

「おっ!届いた。上手だよ。飲み込み早いな~」

斗真さんに褒められて嬉しくなる。
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...