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69、僕のこと? 奏side
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「大丈夫、大丈夫、」
パニックになって何度も斗真さんのお腹を叩いたり蹴ったりしてしまった。
斗真さんは痛いことしないのに僕は斗真さんに…
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「いいよー、大丈夫、大丈夫、」
斗真さんのお腹を擦りながら謝る。
涙は止まったけど目は腫れて頭もズキズキする。
「奏くん、頭触ってもいい?」
コクリ
少し押して胸にもたれさせるようにして頭を撫でてくれた。
僕もぴったりと頬を斗真さんの胸に当てて体を委ねる。
さっきは頭を触られただけで怖くて頭が痛くてどうしたらいいか分からなかったのに今は怖くない。
「怖くない?大丈夫?」
コクリ
心地よくて目を瞑る。
「眠たい?」
フルフル
本当は少し眠たい。けど、眠ったらまたお父さんとお母さんに痛いことされると思うと怖くて眠りたくなかった。
必死に目を擦って眠気を飛ばす。
「擦ったら痛くなっちゃうよ。もう結構赤くなってるし、寝たくないなら動画でも見る?」
斗真さんはスマホを出した。
「何見る?動物の動画にする?どれがいい?」
犬の動画を指さした。
「これ?」
コクリ
子犬がおもちゃで遊んでる動画を2人で見る。
斗真さんの胸に頭を付けてもたれかかる。
「可愛いね。」
コクリ
「奏くんも可愛いよ。」
ん?どういうこと?
言ってる意味が分からなくて首を傾げて見上げると「可愛い~」って言って頭を撫でられた。
可愛いは知ってる。わんちゃんとか今日見た鳥さんのことを言うんだ。
でも僕は可愛くないよ。
「かわいい、ちがう」
「かっこいいの方が良かった?」
「かっこいいもちがう…かっこいいは斗真さん」
「ありがと~じゃあ奏くんは何て言ってほしい?」
言ってほしい?
言われる言葉は僕には決めれないんじゃ…
「俺は奏くんのこと可愛いなって思うけど、奏くんは何て言ってほしい?」
「言ってほしい…分かんない…けど…
みんなは僕のこと…汚い、役立たず、ゴミって言う。」
そう、お父さんもお母さんもお客さんの中にもそう言う人はたくさんいた。
あ…でも最後のお客さんは僕のこと可愛いって言ってくれたな…
「奏くんは可愛いよ。汚くないし役立たずでもゴミでもないよ。可愛いよ。」
斗真さんは悲しい顔をして抱きしめた。
どうしてそんな顔するの?
何回お風呂に入っても精子の匂いが取れなかったのに斗真さんとお風呂に入って石鹸で洗ってもらっていい匂いになったかな…
「臭くない?」
「臭くないよ。匂い気にしてたの?」
「ずっと精子の匂いしてた。でも、石鹸で洗って匂い取れた?」
「そっか、うん、いい匂いだよ。」
僕を抱きしめて体の匂いを嗅がれる鼻息が首にかかってくすぐったい。
「まだまだ奏くんのこと知らないな…」
「僕のこと?」
「うん、初めはね色々知りたいなって思ってたんだ。けど、思い出して辛い思いしてほしくなくて…」
「つらいないよ。」
「でも、思い出したくないこともあるでしょ。だから無理に話してほしいとは言わないよ。」
「斗真さん近くいる。だから…話しても怖い…ない」
本当は怖い…さっきみたいにパニックになってしまったらどうしようって…
もしそれで斗真さんを傷つけたらどうしようって…
でももし斗真さんが知りたいって思ってるなら話したい。
僕のこと知ってほしい…
少しそう思った。
パニックになって何度も斗真さんのお腹を叩いたり蹴ったりしてしまった。
斗真さんは痛いことしないのに僕は斗真さんに…
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「いいよー、大丈夫、大丈夫、」
斗真さんのお腹を擦りながら謝る。
涙は止まったけど目は腫れて頭もズキズキする。
「奏くん、頭触ってもいい?」
コクリ
少し押して胸にもたれさせるようにして頭を撫でてくれた。
僕もぴったりと頬を斗真さんの胸に当てて体を委ねる。
さっきは頭を触られただけで怖くて頭が痛くてどうしたらいいか分からなかったのに今は怖くない。
「怖くない?大丈夫?」
コクリ
心地よくて目を瞑る。
「眠たい?」
フルフル
本当は少し眠たい。けど、眠ったらまたお父さんとお母さんに痛いことされると思うと怖くて眠りたくなかった。
必死に目を擦って眠気を飛ばす。
「擦ったら痛くなっちゃうよ。もう結構赤くなってるし、寝たくないなら動画でも見る?」
斗真さんはスマホを出した。
「何見る?動物の動画にする?どれがいい?」
犬の動画を指さした。
「これ?」
コクリ
子犬がおもちゃで遊んでる動画を2人で見る。
斗真さんの胸に頭を付けてもたれかかる。
「可愛いね。」
コクリ
「奏くんも可愛いよ。」
ん?どういうこと?
言ってる意味が分からなくて首を傾げて見上げると「可愛い~」って言って頭を撫でられた。
可愛いは知ってる。わんちゃんとか今日見た鳥さんのことを言うんだ。
でも僕は可愛くないよ。
「かわいい、ちがう」
「かっこいいの方が良かった?」
「かっこいいもちがう…かっこいいは斗真さん」
「ありがと~じゃあ奏くんは何て言ってほしい?」
言ってほしい?
言われる言葉は僕には決めれないんじゃ…
「俺は奏くんのこと可愛いなって思うけど、奏くんは何て言ってほしい?」
「言ってほしい…分かんない…けど…
みんなは僕のこと…汚い、役立たず、ゴミって言う。」
そう、お父さんもお母さんもお客さんの中にもそう言う人はたくさんいた。
あ…でも最後のお客さんは僕のこと可愛いって言ってくれたな…
「奏くんは可愛いよ。汚くないし役立たずでもゴミでもないよ。可愛いよ。」
斗真さんは悲しい顔をして抱きしめた。
どうしてそんな顔するの?
何回お風呂に入っても精子の匂いが取れなかったのに斗真さんとお風呂に入って石鹸で洗ってもらっていい匂いになったかな…
「臭くない?」
「臭くないよ。匂い気にしてたの?」
「ずっと精子の匂いしてた。でも、石鹸で洗って匂い取れた?」
「そっか、うん、いい匂いだよ。」
僕を抱きしめて体の匂いを嗅がれる鼻息が首にかかってくすぐったい。
「まだまだ奏くんのこと知らないな…」
「僕のこと?」
「うん、初めはね色々知りたいなって思ってたんだ。けど、思い出して辛い思いしてほしくなくて…」
「つらいないよ。」
「でも、思い出したくないこともあるでしょ。だから無理に話してほしいとは言わないよ。」
「斗真さん近くいる。だから…話しても怖い…ない」
本当は怖い…さっきみたいにパニックになってしまったらどうしようって…
もしそれで斗真さんを傷つけたらどうしようって…
でももし斗真さんが知りたいって思ってるなら話したい。
僕のこと知ってほしい…
少しそう思った。
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