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64、美味しいか? 斗真side

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ご飯ができるまでまったり奏くんと過ごしている。
家に入ってからは落ち着いていて、食いつくようにグルメ番組を見ている。
食べたいものがあるならお取り寄せするのもありかな~

「ねぇ、お兄ちゃん、お兄ちゃん」

「どうした?ってかさっきから何で小声なの」

「だって…お母さんが奏くんが怖がるから小さな声で話しなさいって」

なるほど、確かに杏美の声は基本大きいからな、でもずっと小声で喋るのも辛いだろ。

「奏くん、」

名前を呼ぶとくるっと俺の方を向く。

「杏美のこと怖い?」

フルフル

「怖くない?あのね、杏美は本当はスッゴイうるさい子なんだ。でもね、奏くんに怖がられたくないからって小さな声で喋ってるんだけど、普通に声出しても良いかな?」

コクリ

どういうことか半分くらい理解できていない顔だけど頷いてくれた。

「普通に喋って良いってよ。」

「はぁ~、息つまるかと思った~」
背伸びをしていつもの杏美に戻った。


「ご飯できたよ~」

「「はーい」」

「奏くん行こっか」

奏くんを椅子に座らせる。

「「「「いただきます。」」」」

家族全員で食べるの久しぶりだな。
奏くんもしっかり皆と一緒に手を合わせていただきますできてる。

お箸とスプーンが用意されてたけど、お箸を使いたいみたい。
けどなかなか上手に持てず眉間にシワがよる。

「難しかったらスプーンでも良いよ。お箸の練習はまた今度しような。」

不満そうな顔だが渋々スプーンを受け取ってくれた。

少量のご飯を掬って口に入れた。
飲み込めるか不安でじっと見つめる。
もぐもぐしっかり噛んで喉を通っていく。

飲めた、良かった。

「美味しい?」

コクリ

もう一口ご飯を食べる。

「卵焼きも食べる?」

小さく切ってスプーンに乗せるとすぐに口に入れた。

「ぁ…」

「ん?」

答える間もなくもう一口、口に含む。
この反応は美味しかったな。
気に入ってくれたみたいで良かった。
黙々とご飯と卵焼きを食べる。

「鮭も食べる?」

骨を取って少量をスプーンに乗せる。
ご飯と卵は食べたことあるものだったからすぐに口に入れれたが鮭はなかなか口が開かない。

「鮭も美味しいよ。」
一口食べて見せるとゆっくりと口が開いた。

「どう?美味しい?」

コクリ コクリ

「そっか、良かったな。味噌汁も飲む?」

コクリ

「スプーン貸してね。」

まだ熱いかもしれないから少量掬ってふーふーする。
いつもは俺があーんって言わないと口開かないのにまだかまだかと口を開いて待っている。
早く飲みたいのか。

「はい、あーん」

「ぁ…」

なんだ?今日は美味しいって言わずに「ぁ…」って言うのか?

「美味しいか?」

コクリ コクリ

もう一口味噌汁を飲み他のも黙々と食べている。
少なめに作ってくれていたとはいえペロッと完食した。

お腹いっぱいで眠たいのかさっきから瞬きの回数が多い。

「ごちそうさまでした。少し休もうか、」

うとうとしてる奏くんをソファーに座らせブランケットを掛ける。
少し寝かせてやるか、
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