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62、安心したら、斗真side

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車まで透に案内してもらった。

「あ、そうだ。ちょっと耳かせ」

「ん?なに?」

「多分落ち着いたら奏くん泣くと思うからその時は満足するまで泣かしてやれ。」

「え?なんで泣くんだ。」

「今は気張ってて涙が出ないんだ。だから気持ちが緩んだら我慢してた分全部出ると思う。本人は自覚ないと思うけどかなり心がしんどかったと思うよ。
だからそん時はよろしく。」

「お、おう。」

「じゃ!奏くんバイバ~イ、またね!」

奏くんも透に手を振っている。

「じゃ、ありがとう。またな。」

「気をつけて~」

「はーい」

シートベルトをつけて発進する。
奏くんはずっと透と手を振っている。

透が見えなくなると行きと同じようにフードを深く被り俯いていた。







「もうすぐ着くからね。」

話しかけても頷きもせず俯いている。
眠たいのかな。

家が見えてきた。



「着いたよ~降りようか。」

「………」

「奏くん?着いたよ。シートベルト外すね。」

シートベルトを両手で握りしめている。

「はぁ…ぁ…っ…」

「奏くん?どうしたの?しんどい?」

声をかけた途端大きな涙の粒がぽとりと落ちた。

「え?どうしたの?どこか痛い?」

どうしよう。透に電話するべきか、

いや、ちょっと待て…
帰りに透が言っていたことを思い出した。
落ち着いたら泣くって言ってたな…
もしかして家に着いて安心したのかな?

「奏くん、おいで」

膝の上に乗せてぎゅっと抱きしめる。
涙は止まることを知らずどんどん溢れてくる。

「大丈夫、大丈夫、頑張ったね。偉かったね。」

背中や頭を撫で奏くんの泣きたいだけ泣かせることにした。

「うっ…ん……っぅ…」

「声我慢しなくて良いよ。」

「んあぁ…っっ…ぅあぁああ…」

ちゃんと声出して泣いたの初めてだな。

「大丈夫、大丈夫。頑張ったね~」





「っ……っ…ん…っ…」

涙は止まったけどしゃくりあげている。
前回はこれでしゃっくりが止まらなくなったんだよな~

今回は止まるかな。



ぐ~
「あ、」

奏くんのお腹の音がしゃくりを止めてくれた。

「安心したらお腹すいた?」

「ごはん」

「ははっ、分かったよ。帰ったらお昼ご飯食べようね。何食べたい?」

「…斗真さん…一緒の…食べたい」

俺と一緒の?
そういえば朝食もそれでパン食べたんだよな~
俺が食べてるものに興味があるのかな。
食に興味があるのはいいな。

「じゃあ、帰ろっか。」

病院で貰った薬の入った袋を片手に奏くんを抱き上げ車を降りる。
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