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47、ぼくの… 奏side
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「卵粥できたわよ~
熱いからフーフーして食べてね~
皆のお昼ご飯ももうすぐできるからもう少し待っててね~」
美香さんは僕の前に卵粥を置いてまたキッチンに戻った。
「美味そうだな~おばさんも料理上手だからな」
透さんの言う通りとても美味しそう、
斗真さんが小皿に少しよそって冷ましてくれる。
「自分で食べる?」
スプーンを持って聞かれる。
朝は斗真さんに食べさせてもらったんだ。
卵粥は朝も食べたからちゃんと食べれる。
頷いてスプーンを手に取る。
食べたことあるものでも一口目はいつも怖くてなかなか口が開かない。
「奏くん、あーん」
斗真さんが口を開けてくれたからスプーンを口に入れると、一口食べてくれた。
「美味しいよ。」
美味しいと笑う姿に僕も食べたくなり、ゆっくり口に入れる。
ドロっとしたものが口の中に広がる。
ーっなんで…
朝はちゃんと飲み込めたのになかなか喉が開いてくれない。
生暖かくてドロっとした感覚が精液の感覚と重なり頭がぐるぐるする。
「苦しかったら出してもいいよ。」
透さんが口元にティッシュを当ててくれる。
けど…せっかく美香さんが作ってくれたんだ…出したくない…
首を振って必死に飲み込もうとする…
それでも喉は言うことを聞いてくれず口の端からこぼれ落ちてしまった。
ごめんなさい…せっかく普通のご飯を作ってくれたのに…
もしかしたらもう作ってくれなくなってしまうかもしれない…
そんな不安が頭を駆け巡り俯いて涙を堪えることしかできなかった。
「苦しかったな。大丈夫、大丈夫」
斗真さんに背中をさすられ我慢していた涙が大粒になって落ちる。
「お粥難しかったかぁ、これならどうかな?」
キッチンから出てきた美香さんが卵スープを作ってくれた。
斗真さんに一口飲んでもらって、スプーンを受け取ろうとしたらスプーンを引っ込められた。
さっき食べれなかったから…
もう…ご飯ないのかな…
でも…仕方ない…僕が悪い…
「別に取るわけじゃねーんだからそんな顔すんなよ笑 意地悪してるみたいじゃん笑」
取ったんじゃない?
くれるの?
「ほら、あーん。ゆっくりでいいからな。」
斗真さんに食べさせてもらうけどやっぱり喉はかたく閉じたまま言うことを聞いてくれず焦って目に涙が溜まっていく。
「ゆっくり鼻で息して、そう、上手。」
呼吸をしたら自然と喉が開いて流れていった。
飲めた…
「美味しい?」
「おいしい」
声も出た。
二口目からは自分で呼吸を意識して飲むことができた。
全部飲めた。
「完食~すげぇじゃん!」
透さんにも褒めてもらって嬉しくなる。
目の前にはまだ卵粥が残ってる…
せっかく作ってくれた…僕のために作ってくれたご飯…ちゃんと食べたい。
「たまご…がゆ」
「ああ、これは俺がもらうよ。」
斗真さんが取ろうとした卵粥のお皿を両手で持ち、
「たべる…たべたい…」
「でも、もうお腹いっぱいだろ?」
確かにお腹は少し苦しい。
けど…けど…これは…
「ぼくの…ぼくの…っ」
子どもの駄々っ子のように言う僕に苦笑して小皿に僕の分を分けてくれる。
「じゃあこれだけでもいい?ホントに無理しちゃダメだよ?」
コクリ
「あーん」
斗真さんに食べさせてもらって口に入れる。
「ゆっくり息してね、」
背中をさすってもらい飲み込むことができた。
美味しい。
次々と飲み込んでいき、小皿に入った卵粥を全部食べることができた。
お皿に残った卵粥を見つめていると、
「だーめ!これ僕の!」
「あははは!それ奏くんの真似?!全然似てねーじゃん!」
斗真さんがお皿を両手で持って僕の真似をしてるのを見て透さんがお腹をかかえて笑っている。
斗真さんが卵粥を美味しそうに食べてくれた。
「奏くんお粥も食べてくれたんだ~ありがとう。」
美香さんにお礼を言われて、慌てて僕もお礼を言おうと口を開く。
「………っ」
どうして…さっき斗真さんと話してる時は声出たのに…
何度口を開いても音のない息ばかりが出る。
慌てて紙とペンを取りに布団のところに行く。
どうして…
どうして出ないの…
でも…ちゃんと伝えなきゃ、ちゃんと美香さんにお礼言わなきゃ
〈ありがとう おいしかった〉
「わぁ~ありがと~嬉しいわ。作って良かった~」
紙を受け取った美香さんは僕に抱きついて喜んでくれた。
初めて女の人に抱きしめてもらった…
母さんにも抱きしめられたことなかった…
温かい…
「え?!ごめんね、怖かった?!」
気付いたら涙が頬を伝っていた。
熱いからフーフーして食べてね~
皆のお昼ご飯ももうすぐできるからもう少し待っててね~」
美香さんは僕の前に卵粥を置いてまたキッチンに戻った。
「美味そうだな~おばさんも料理上手だからな」
透さんの言う通りとても美味しそう、
斗真さんが小皿に少しよそって冷ましてくれる。
「自分で食べる?」
スプーンを持って聞かれる。
朝は斗真さんに食べさせてもらったんだ。
卵粥は朝も食べたからちゃんと食べれる。
頷いてスプーンを手に取る。
食べたことあるものでも一口目はいつも怖くてなかなか口が開かない。
「奏くん、あーん」
斗真さんが口を開けてくれたからスプーンを口に入れると、一口食べてくれた。
「美味しいよ。」
美味しいと笑う姿に僕も食べたくなり、ゆっくり口に入れる。
ドロっとしたものが口の中に広がる。
ーっなんで…
朝はちゃんと飲み込めたのになかなか喉が開いてくれない。
生暖かくてドロっとした感覚が精液の感覚と重なり頭がぐるぐるする。
「苦しかったら出してもいいよ。」
透さんが口元にティッシュを当ててくれる。
けど…せっかく美香さんが作ってくれたんだ…出したくない…
首を振って必死に飲み込もうとする…
それでも喉は言うことを聞いてくれず口の端からこぼれ落ちてしまった。
ごめんなさい…せっかく普通のご飯を作ってくれたのに…
もしかしたらもう作ってくれなくなってしまうかもしれない…
そんな不安が頭を駆け巡り俯いて涙を堪えることしかできなかった。
「苦しかったな。大丈夫、大丈夫」
斗真さんに背中をさすられ我慢していた涙が大粒になって落ちる。
「お粥難しかったかぁ、これならどうかな?」
キッチンから出てきた美香さんが卵スープを作ってくれた。
斗真さんに一口飲んでもらって、スプーンを受け取ろうとしたらスプーンを引っ込められた。
さっき食べれなかったから…
もう…ご飯ないのかな…
でも…仕方ない…僕が悪い…
「別に取るわけじゃねーんだからそんな顔すんなよ笑 意地悪してるみたいじゃん笑」
取ったんじゃない?
くれるの?
「ほら、あーん。ゆっくりでいいからな。」
斗真さんに食べさせてもらうけどやっぱり喉はかたく閉じたまま言うことを聞いてくれず焦って目に涙が溜まっていく。
「ゆっくり鼻で息して、そう、上手。」
呼吸をしたら自然と喉が開いて流れていった。
飲めた…
「美味しい?」
「おいしい」
声も出た。
二口目からは自分で呼吸を意識して飲むことができた。
全部飲めた。
「完食~すげぇじゃん!」
透さんにも褒めてもらって嬉しくなる。
目の前にはまだ卵粥が残ってる…
せっかく作ってくれた…僕のために作ってくれたご飯…ちゃんと食べたい。
「たまご…がゆ」
「ああ、これは俺がもらうよ。」
斗真さんが取ろうとした卵粥のお皿を両手で持ち、
「たべる…たべたい…」
「でも、もうお腹いっぱいだろ?」
確かにお腹は少し苦しい。
けど…けど…これは…
「ぼくの…ぼくの…っ」
子どもの駄々っ子のように言う僕に苦笑して小皿に僕の分を分けてくれる。
「じゃあこれだけでもいい?ホントに無理しちゃダメだよ?」
コクリ
「あーん」
斗真さんに食べさせてもらって口に入れる。
「ゆっくり息してね、」
背中をさすってもらい飲み込むことができた。
美味しい。
次々と飲み込んでいき、小皿に入った卵粥を全部食べることができた。
お皿に残った卵粥を見つめていると、
「だーめ!これ僕の!」
「あははは!それ奏くんの真似?!全然似てねーじゃん!」
斗真さんがお皿を両手で持って僕の真似をしてるのを見て透さんがお腹をかかえて笑っている。
斗真さんが卵粥を美味しそうに食べてくれた。
「奏くんお粥も食べてくれたんだ~ありがとう。」
美香さんにお礼を言われて、慌てて僕もお礼を言おうと口を開く。
「………っ」
どうして…さっき斗真さんと話してる時は声出たのに…
何度口を開いても音のない息ばかりが出る。
慌てて紙とペンを取りに布団のところに行く。
どうして…
どうして出ないの…
でも…ちゃんと伝えなきゃ、ちゃんと美香さんにお礼言わなきゃ
〈ありがとう おいしかった〉
「わぁ~ありがと~嬉しいわ。作って良かった~」
紙を受け取った美香さんは僕に抱きついて喜んでくれた。
初めて女の人に抱きしめてもらった…
母さんにも抱きしめられたことなかった…
温かい…
「え?!ごめんね、怖かった?!」
気付いたら涙が頬を伝っていた。
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