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43、悪夢 奏side

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ふわふわ温かい

あれ?ここどこだろう、

『どこ行ってたんだ、仕事の時間だ。服を着ろ。』

父さん…?
腕を引かれる。

今からお仕事…そっか…
今日のお客さんはどんな人だろう。
痛いことするのかな、

ドアを開けると男性がベッドに座っている。

お客さんの前に行って頭を下げて挨拶をする。
『今日はよろしくね。いっぱい気持ちよくなろうね。』

この声…どこかで聞いたことある…

顔を上げるとそこにいたのは斗真さんだった…

斗真さんが今日のお客さん?



斗真さんなら…そんな甘い考えは一瞬で覆された。
目の前の人は僕の知ってる優しい斗真さんではなく、不気味に笑いながら僕の首を絞める。

斗真さん…

苦しくて涙が目に溜まっていく。

『助けて…斗真さん…ごめん…なさい…』

最後の力を振り絞ってごめんなさいを伝える。
僕の知ってる斗真さんは優しい人…
きっと謝ったら…優しい斗真さんに戻るはず…





っ!ハッ!

はぁ、はぁ、はぁ、

こ、ここは…
薄暗くてよく見えないけど…
この匂い…斗真さん?

荒い息を繰り返し、頭を整理する。

さっきまでのは夢?


「どうした?ごめん、苦しかったか?」

斗真さんが抱きしめていた腕を解こうとする。
やだ!離れないで…行かないで…っ!

離れていく斗真さんに必死にしがみつき離さない。

「どうした?大丈夫、大丈夫。」

もう一度抱きしめてもらい背中を優しくさすられる。

僕の知ってる優しい斗真さんだ…
やっぱりさっきの怖い斗真さんは夢だったんだ。
良かった…よかった…ぅう…

「え?!どうした?しんどいか?」

「う゛ぅ…ん…っ…うう」

安心したら張りつめていたものが一気に破裂したように涙が溢れ出した。
泣いている間、今まで声なんてあんまり出なかったのに抑えることもできず涙と一緒に漏れた。


「大丈夫、大丈夫、いっぱい泣いたら落ち着くよ。」

斗真さんは僕がこの家に来た日と同じように涙が止まるのを待ってくれた。





「もしかして怖い夢でも見たのか?」

怖い夢…

怖い…

そっか…僕、怖かったんだ。

コクリ

「そっか、もう大丈夫だ。俺がいるからな。」

コクリ

斗真さんが一緒にいてくれる。それは僕にとって1番安心できることだった。
ずっと、斗真さんとずっと一緒にいたい。
そう思い、もう一度胸に顔を押し付けると優しく頭を撫でて抱きしめてくれる。
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