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38、奏くんの訴え 斗真side
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「いや…いや……いや……」
大丈夫だと言ってもて嫌と言って泣きじゃくる奏くんをどうしたらいいか分からなくなった。
今まで筆談でしか会話ができなかった奏くんが声でこんなに必死に気持ちを伝えてくれてるのに、どうしたら安心できるかが全然分からない。
「どうしたの?」
「母さん、」
「奏くんの声が聞こえたから様子見に来たんだけど、どうしたの?どこか痛い?」
ゆっくりと奏くんに近づき背中に手を当てる。
「んー、んー、」
触れたられた途端奏くんは自分の手の甲を噛む。
「手噛んだら痛いわよ、離そうね。」
母さんは必死に口を開かせようとするがさらに強く噛み血が出ている。
もうお手上げだ、そう思った途端
ピンポーン
「出てくるわね、」
「うん」
2人になった部屋には奏くんの荒い息が大きく聞こえる。
どうしてこうなった。
奏くんは1人では熟睡できないことは知っていた。だから昨晩のように一緒に横になろうと思っていたのに、それをそういう行為だと勘違いして俺の股間を触ってきた。
昨晩と同じだった、でも今日は朝食の後…
どうしてそうなった…
「よっ!昨日ぶり~」
「透?!」
「今日休みだったからか奏くんの様子見に来た~大変そうだねぇ、」
「呑気なこと言ってる場合じゃないんだ、奏くんがっ!」
「分かってるよ。おばさん、袋に氷入れてちょーだい」
「氷?ちょっと待ってね」
透は氷を持って奏くんに近づく。
「奏くん、聞こえる?
今から奏くんに痛いことするよ。良いよね。」
そう言って奏くんの手に氷を当てる。
確かに氷は長時間皮膚に当てていると痛くなってくる。
けど、それで何か変わるのか?
「痛い?」
コクリ
小さく頷き手の甲から口を離した。
「結構噛んだね~いっぱい血出てる。奏くんなら痛い手当ても我慢できるよね。」
奏くんは透が手当てしているのをじっと見つめている。
「終わったよ。我慢できて偉かったね。」
透に頭を撫でられ、落ち着いた表情をしている。
「痛みがなくて不安だったんだよな。」
「痛み?」
「今まで痛み中心の生活をしてたのに急に痛みがなくなったら生きてるかどうか分からなくなって不安になるんだ。だからさっきみたいに自傷行為をして生きてるかどうか確認する。
さっきは自傷行為よりも他人から与えられる痛みを求めていた。
だから氷で痛みを与えてもらって気持ちが落ち着いた。そういうわけだ。
多分斗真に怒られるようなことをしたんだろ。な?奏くん」
「別に俺は怒ってなんかっ」
「お前には聞いてない。奏くんに聞いてんだ。斗真を怒らすことしたのか?」
奏くんは俯きじっと床を見つめる。
「悪いことしたらどうするんだった?昨日俺にしたように斗真にもしておいで、そしたら斗真は許してくれるよ。」
透に言われ俺のもとに来て口をパクパクさせる。
声を出そうとしてるのか?
口からは声は出ず息だけが出ている。
紙とペンを前に出しても受け取らずに必死に声を出そうとしている。
「っ…んっ…ご…ごめんなさい…」
「良いよ。俺こそごめんね。」
奏くんは俺の目を見てしっかりと謝った。
正直謝られるほどのことはされていないという気持ちが大きかったが、こんなに頑張って言葉を発してくれた奏くんの気持ちを無下にはできず、お互い様ということで俺も謝ると奏くんは目を丸くさせた。
「おばさん、ちょっと話したいから3人にしてくれる?」
「分かったわ、リビングにいるわね。」
3人になり奏くんは落ち着きなく俺や透を交互に見ている。
「何があったか教えてくれる?できれば奏くんに教えて欲しいんだけど良いかな?」
奏くんは俯き静かに頷いた。
大丈夫だと言ってもて嫌と言って泣きじゃくる奏くんをどうしたらいいか分からなくなった。
今まで筆談でしか会話ができなかった奏くんが声でこんなに必死に気持ちを伝えてくれてるのに、どうしたら安心できるかが全然分からない。
「どうしたの?」
「母さん、」
「奏くんの声が聞こえたから様子見に来たんだけど、どうしたの?どこか痛い?」
ゆっくりと奏くんに近づき背中に手を当てる。
「んー、んー、」
触れたられた途端奏くんは自分の手の甲を噛む。
「手噛んだら痛いわよ、離そうね。」
母さんは必死に口を開かせようとするがさらに強く噛み血が出ている。
もうお手上げだ、そう思った途端
ピンポーン
「出てくるわね、」
「うん」
2人になった部屋には奏くんの荒い息が大きく聞こえる。
どうしてこうなった。
奏くんは1人では熟睡できないことは知っていた。だから昨晩のように一緒に横になろうと思っていたのに、それをそういう行為だと勘違いして俺の股間を触ってきた。
昨晩と同じだった、でも今日は朝食の後…
どうしてそうなった…
「よっ!昨日ぶり~」
「透?!」
「今日休みだったからか奏くんの様子見に来た~大変そうだねぇ、」
「呑気なこと言ってる場合じゃないんだ、奏くんがっ!」
「分かってるよ。おばさん、袋に氷入れてちょーだい」
「氷?ちょっと待ってね」
透は氷を持って奏くんに近づく。
「奏くん、聞こえる?
今から奏くんに痛いことするよ。良いよね。」
そう言って奏くんの手に氷を当てる。
確かに氷は長時間皮膚に当てていると痛くなってくる。
けど、それで何か変わるのか?
「痛い?」
コクリ
小さく頷き手の甲から口を離した。
「結構噛んだね~いっぱい血出てる。奏くんなら痛い手当ても我慢できるよね。」
奏くんは透が手当てしているのをじっと見つめている。
「終わったよ。我慢できて偉かったね。」
透に頭を撫でられ、落ち着いた表情をしている。
「痛みがなくて不安だったんだよな。」
「痛み?」
「今まで痛み中心の生活をしてたのに急に痛みがなくなったら生きてるかどうか分からなくなって不安になるんだ。だからさっきみたいに自傷行為をして生きてるかどうか確認する。
さっきは自傷行為よりも他人から与えられる痛みを求めていた。
だから氷で痛みを与えてもらって気持ちが落ち着いた。そういうわけだ。
多分斗真に怒られるようなことをしたんだろ。な?奏くん」
「別に俺は怒ってなんかっ」
「お前には聞いてない。奏くんに聞いてんだ。斗真を怒らすことしたのか?」
奏くんは俯きじっと床を見つめる。
「悪いことしたらどうするんだった?昨日俺にしたように斗真にもしておいで、そしたら斗真は許してくれるよ。」
透に言われ俺のもとに来て口をパクパクさせる。
声を出そうとしてるのか?
口からは声は出ず息だけが出ている。
紙とペンを前に出しても受け取らずに必死に声を出そうとしている。
「っ…んっ…ご…ごめんなさい…」
「良いよ。俺こそごめんね。」
奏くんは俺の目を見てしっかりと謝った。
正直謝られるほどのことはされていないという気持ちが大きかったが、こんなに頑張って言葉を発してくれた奏くんの気持ちを無下にはできず、お互い様ということで俺も謝ると奏くんは目を丸くさせた。
「おばさん、ちょっと話したいから3人にしてくれる?」
「分かったわ、リビングにいるわね。」
3人になり奏くんは落ち着きなく俺や透を交互に見ている。
「何があったか教えてくれる?できれば奏くんに教えて欲しいんだけど良いかな?」
奏くんは俯き静かに頷いた。
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