こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

25、あとはお前に任せた 透side

そっと寝室の扉を開けると、奏くんは机の下で体育座りをしていた。
いつ目が覚めたんだろう。

刺激しないようにゆっくりと部屋に入るとこっちをじっと見つめる。
警戒してるな…
少しだけライトを付け顔が見えるようにする。
つっても机の下は影で俺からは奏くんの顔は見えないけど、

どうしようかな～
扉の前に座って様子を伺うが変化は今のところない。

「おはよう。ちょっと眠れたか？」

「……」

話しかけても無反応…

俺の事認識できてるのかな？
っというか、俺が誰か分かってるか？
さっきまでのは夢だと思ってたり…

はぁ、
威嚇もしなければ怯えてるわけでもない。
それなら、

「斗真～奏くん起きてるよ～」

「早いな、もうちょっと寝てても良かったのに。」

手荒だけど斗真に任せてみよう。
多分コイツなら奏くんの心に入れる。

「？奏くん？どうしたの？」

まさか机の下にいるとは思っていなかったんだろう。頭の上はハテナでいっぱいだ。

「警戒度MAXだ。あとはお前に任せた。俺はリビングで待ってる。」

「え？!透？」

助けてって目で見てきたけど気にせず寝室を出た。

少しは会話はできるようにはなった。
けど、それは俺に心を開いたわけではない。
斗真に聞けないから俺に聞いた。
それだけだ、
しかし、奏くんは斗真には心を開きかけている。
いや、斗真のことは信じたいと思ってる。の方が正しいか、

まっ、どっちにせよ。
奏くんがパニックになっていないなら俺より斗真の方が心に入れる。


俺はソファーでゆっくりと時間を潰すことにした。