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23、仲立ち 透side

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少し落ち着いたので、次は斗真も入れた3人で話そう。奏くんが思っていることも伝えたいし、何より捨てる捨てないの話は斗真から言った方がいいだろうしな、

「そろそろ、斗真のとこ行こうか」

コクリ

「奏くんが書いてくれたこれ斗真に見せてもいい?」

コクリ

ドアを開ける。

「おまたせ、3人で話がしたいんだけどいいか?」

「うん、分かった。何か温かい飲み物でも準備するよ。」

「ありがとう」

「奏くんは水かカフェオレどっちがいい?」

「……」

「あ、えっと」

水のペットボトルとカフェオレを見せ指をさしてもらった。

「オッケー、水ね。座って待ってて~」

「奏くんおいで~一緒に待っていような、」

奏くんは俺の隣で静かに待ってくれている。っつてもさっきまであんなに話してたのにもう肩に力が入ってる。
ちょっとは慣れてくれたと思ったんだけどな~
そう簡単にはいかないか、

「おまたせ、奏くんは飲めそう?一口飲もうか?」

スッ
頷きコップを斗真の方に押し返した。
ゴク、

斗真はそれを一口飲んで奏くんの前に置く。
毒味?
奏くんはじっくりと斗真の反応を見てから一口飲んだ。
何も入っていないことを確認し肩の力が抜けていく。
てっきり、俺が隣にいることに緊張しているのだと思ってた。
飲み物に警戒していたのか、
今までは飲み物に薬か何かを混ぜられていたのかな…睡眠薬?売りをしていたなら媚薬か?

「話って?」

「え?あ、ああ、えっとな、奏くんさっき俺と話したこと全部俺から話してもいい?」

コクリ

「ありがとう、じゃあまず、これを見てくれ、さっき奏くんと筆談してたんだが、1つずつ説明する。」

紙を見せながらどんな話をしたのか、奏くんの気持ちを説明していく。


「大丈夫か?」
話していくうちに斗真が手を強く握り歯を食いしばっていた。

「あ、ああ、大丈夫だ。続けてくれ」

「聞いてるだけでも辛いよな。俺も聞いてて心が痛んだ。」

黙って聞いていた奏くんも俯いたまま顔をあげない。

「奏くん、」

斗真が奏くんの名前を言うと目元を真っ赤にさせた奏くんが顔を上げた。

「こっちおいで、もう大丈夫だよ、泣いてもいいよ。」
斗真は奏くんを抱き寄せ背中をさする。
奏くんは斗真の胸に顔を付け静かに涙を零した。

そら辛いよな。思い出したくない記憶だもんな…

「じゃあここから話すな。」

「……」
無言で頷く斗真の顔を見ると目に涙を溜めて今にも溢れそうだった。
そっとティッシュを渡すと目頭を強く抑える。
本当は声を出して泣きたいだろうが、今は奏くんもいるし我慢したいのだろう。
後でちゃんと斗真の心のケアもしないとな、

_______________

「っていう話をさっきしてたんだ。
で、斗真と話したいのは今後の奏くんについてどうしたいと思っているかを聞きたい。」

「ああ、分かった。奏くん、俺は、」

奏くんの肩を持ち目を合わせてゆっくりと話し出した。
奏くんも不安で目を少し泳がせながらも斗真の言葉を聞ことうとしている。

「俺は、奏くんのことは絶対に捨てない。父さんや母さんも同じ気持ちだ。
俺は奏くんと一緒にいたい。奏くんはどうしたい?」

紙とペンを渡す。

〈いっしょにいたい〉
:一緒にいたい

「そっか、じゃあ俺と同じ気持ちだな。」

「斗真の気持ち聞けて良かったな。」

安心したのか、また斗真の胸に顔埋めて涙を流した。

「大丈夫、大丈夫、一緒にいるからな。」



「仕事は大丈夫なのか?」
一緒にいるという話をした後にするのもどうかと思ったが、斗真は2週間後には自分の家に戻るだろうから一応聞いておこう。

「そうだよな…そこは奏くんに決めてもらおうかな。実家にいるでもいいし、俺と一緒に住むでもいいし。それはゆっくり考えたらいいと思う。病院は実家とそこまで距離変わらないし、」

「そっか、奏くんお前に懐いてるから離れるの嫌かなって思っただけ、着いてきてもいいと思ってるなら心配ないな。」

正直、斗真から一言捨てないと言われて、すんなり納得したのは少し予想外だった。
よっぽど斗真の事を信用してるんだろうな。

俺ができることは体と心の傷をどうするか…
明日、病院に来れそうなら色々検査したいな。
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