こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

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10、朝食 奏side

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「涙止まったか?」

夜と同じように涙が止まるまで待ってくれていた。

どうして涙が出るんだろう。今までこんな事なかったのに…

「朝ごはん、パンとごはんどっちがいい?」

朝ごはん…朝も食べるんだ…

食べたくないな…
俯いて小さく首を横に振る。

「朝食べないと元気出ないぞ~」

元気なんていらない…
元気があったら痛みを敏感に感じる気がする。
だからちょっと頭がぼーっとするくらいがちょうどいい。

「とりあえずリビング行こうか、」

斗真さんに手を引かれ向かう。

「ほら、ちゃんと椅子に座る。
ヨーグルトなら食べれるか?」

やっぱり食べなきゃダメなの?
食べたくないってさっき首振ったのに見てなかったのかな。

「はい、これだけでもいいから食べて、」

ヨーグルト…
どうしよう…食べなかったら怒るかな…

何入ってるか分からないし、
それに食べたとしてもし吐いちゃったらどうしよう…

怒られたくない…
殴られないのも不安なのに殴られると思うとそれも怖くて何もできない…
なんでこんな事思うの…
もう全部嫌だ…



結局手を付けれず俯くしかできない。



「食べたくないか? パクッ、美味しいぞ?一口だけでも良いから食べてみ?」

斗真さんは昨日と同じように一口食べて差し出した。

恐る恐る口を開け少しだけ口に入れる。

初めての味…薬の味はしない…

胸のもやもやが晴れた。
飲み込み二口目も食べれた。
少し残してしまったがほとんど食べれた。

「ちょっと残ってるけどもう無理か?…まぁいっか。
じゃあ片付けるからソファー座ってて、」

片付け、
片付けならできる。
僕がしたい。
ちゃんとできたらちゃんと僕のこと見てくれる…?

空いたお皿を持って斗真さんよりも速くキッチンに行った。

「俺がやっとくから、奏くんは休んでなー、」

やりたいと伝えたくて斗真さんの目を見つめた。
伝わるかな…?

「分かったよ。じゃあ一緒にしようか、俺が洗うから拭いてくれる?」

頷き斗真さんから布巾を受け取った。







「奏くんが手伝ってくれたから早く終わった。ありがとな。…っあ、ごめん。」

斗真さんが頭を撫でようとしてくれたのに咄嗟に目をつぶって強ばって身構えた。
気を遣わせてしまった…
今は怒ってないのに…癖で…

斗真さん怒らせちゃったかな…?
笑ってたけど…殴らないかな…?



答えのないことばかりをグルグル頭で考える。
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