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88、お風呂は気持ちいい
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空side
陽ちゃんが嬉しそうだと僕もなんだか嬉しいな、
「空~、お風呂入ろうか」
お風呂…
まだ少し怖い…でも…昨日も入ってないし…
「大丈夫、気持ちいいことだけだよ。」
「ぶくぶくしない?」
「しないよ。苦しいことも冷たいこともしない。」
陽ちゃんはそんなことしない。
そんなこと分かってるのに…思い出して怖くなる。
「難しかったら明日にする?」
でも…明日は神山先生と城崎先生が来てくれる。
ちゃんと綺麗にしたい。
「入る…」
陽ちゃんの服をギュッと握りしめ勇気を出した。
「分かった、怖くなったら途中で出てもいいからね。」
コクリ
着替えを持ってお風呂に行く。
病院や僕のお家のお風呂より広い。
お風呂の中を必要以上に見てしまう。
「服脱げるか?」
陽ちゃんはあとパンツだけなのに僕はまだ服を着たまま立っていた。
病院でも何度もお風呂には入ってるのに…どうしてこんなに怖いの…
「空、無理しなくていいよ。」
ホントは入りたくない…でも…
服に手をかけるが震えて上手く脱げない。
陽ちゃんに手伝ってもらってやっと脱げた。
この歳にもなって1人で服を脱ぐこともできないなんて…
情けないのとお風呂の恐怖で我慢していた涙がぐーっと上に集まってくる。
「大丈夫、大丈夫、」
抱きしめられ思わず陽ちゃんの首に腕を回す。
肌と肌が直接触れ、体温を直に感じる。
陽ちゃんってこんなに温かかったんだ。
そんなことを考えていたらいつの間にか震えも治まっていた。
陽ちゃんから体を離す。
「お風呂行く。」
「うん、行こうか、」
お風呂に入ると椅子に座るよう促される。
「お湯の熱さこのくらいで良い?」
「うん、」
手で触り確認する。
「頭洗うね。」
「自分で洗える…」
「俺が洗いたいの、イヤ?」
そんな言い方されたらイヤなんて言えない。
黙って洗ってもらうことにした。
病院でも何度か陽ちゃんに洗ってもらった。陽ちゃんの触り方はいつも優しくて気持ちいいから安心する。
「痒いとこないか?」
「ないよ。」
「はーい、じゃあ流すから目つぶってね~」
頭を洗い終え体を洗う。
「体は自分で洗う、」
いつもやってもらってるのに何だか恥ずかしくて、ボディータオルを手に取る。
「どうした?恥ずかしいのか?」
わざわざ言わなくてもいいじゃん!
余計恥ずかしくなり、陽ちゃんはほっといて適当に体を洗う。
「俺も洗おー」
陽ちゃんも頭や体を洗い終え、一緒に湯船に浸かろうとするけどやっぱりお湯がはられた湯船を見ると喉が詰まって息が苦しくなる。
それに気づいた陽ちゃんはそっと僕の体を包み込む。
足がすくみ、その場にしゃがみこんでしまった。
「体冷えちゃうからお湯だけかかろうね。」
湯船が見えないように後頭部を押さえられ陽ちゃんの胸に頬をつける。
腰から下に湯船のお湯をゆっくりかけられ、体が温まってゆく。
徐々にかける位置が上がって行き、肩にお湯がかかる。
ここの水は冷たくもないし、熱くもない。
大丈夫…大丈夫…
「お湯入る。」
陽ちゃんに肌をくっつけたまま伝える。
「うん、入ろうか。おいで、」
僕のタイミングで湯船に入れるように先に入って待ってくれる。
勇気が出るまでに少し時間はかかったが、無事湯船に浸かることができた。
陽ちゃんの上に座り、後ろから抱きしめられる。
陽ちゃんの腕をしっかりと持って体を支える。
少しでもバランスを崩してしまうとパニックを起こしてしまうのを知っている陽ちゃんは腰をギュッと引き寄せる。
「温かいか?」
「うん、気持ちいい。陽ちゃんとのお風呂はいつも気持ちいいね。」
いつも気持ちいい。入ってしまえばいつもそう思うのだけれど、入るまでの勇気を出すのにいつも時間がかかってしまう。
いつか何も考えずにお風呂に入れる日がきたらいいな。
「そろそろ上がろうか。」
「うん」
お風呂を出て体を拭く。
体の痣も綺麗に消え、普通の肌になった。
お肉も前よりは付いたかな。
「どうした?自分の体まじまじと見て、」
「ん?いや、痣無くなったなっと思って。」
「ホントだな、治って良かったな。
骨折も綺麗に治って良かったな。
もう痛いとこないか?」
「うん、ないよ。陽ちゃんは鍛えてるの?」
引き締まって、薄らと割れた腹筋。
何度見てもカッコイイな。
その腹筋に触れる。
「いや、特に何かをしてるわけじゃないんだけどな、」
「良いな~僕も陽ちゃんみたいにカッコよくなりたい。」
「初めて病院で一緒にお風呂に入った時もそんなこと言ってたよな。空だってちゃんと食べてお肉ついたら俺みたいになるよ。」
「そうなのかな?」
今のひ弱な体からは一切想像できない。
「ほら、服着るぞ。体冷えちゃうからな。」
「うん」
陽ちゃんが嬉しそうだと僕もなんだか嬉しいな、
「空~、お風呂入ろうか」
お風呂…
まだ少し怖い…でも…昨日も入ってないし…
「大丈夫、気持ちいいことだけだよ。」
「ぶくぶくしない?」
「しないよ。苦しいことも冷たいこともしない。」
陽ちゃんはそんなことしない。
そんなこと分かってるのに…思い出して怖くなる。
「難しかったら明日にする?」
でも…明日は神山先生と城崎先生が来てくれる。
ちゃんと綺麗にしたい。
「入る…」
陽ちゃんの服をギュッと握りしめ勇気を出した。
「分かった、怖くなったら途中で出てもいいからね。」
コクリ
着替えを持ってお風呂に行く。
病院や僕のお家のお風呂より広い。
お風呂の中を必要以上に見てしまう。
「服脱げるか?」
陽ちゃんはあとパンツだけなのに僕はまだ服を着たまま立っていた。
病院でも何度もお風呂には入ってるのに…どうしてこんなに怖いの…
「空、無理しなくていいよ。」
ホントは入りたくない…でも…
服に手をかけるが震えて上手く脱げない。
陽ちゃんに手伝ってもらってやっと脱げた。
この歳にもなって1人で服を脱ぐこともできないなんて…
情けないのとお風呂の恐怖で我慢していた涙がぐーっと上に集まってくる。
「大丈夫、大丈夫、」
抱きしめられ思わず陽ちゃんの首に腕を回す。
肌と肌が直接触れ、体温を直に感じる。
陽ちゃんってこんなに温かかったんだ。
そんなことを考えていたらいつの間にか震えも治まっていた。
陽ちゃんから体を離す。
「お風呂行く。」
「うん、行こうか、」
お風呂に入ると椅子に座るよう促される。
「お湯の熱さこのくらいで良い?」
「うん、」
手で触り確認する。
「頭洗うね。」
「自分で洗える…」
「俺が洗いたいの、イヤ?」
そんな言い方されたらイヤなんて言えない。
黙って洗ってもらうことにした。
病院でも何度か陽ちゃんに洗ってもらった。陽ちゃんの触り方はいつも優しくて気持ちいいから安心する。
「痒いとこないか?」
「ないよ。」
「はーい、じゃあ流すから目つぶってね~」
頭を洗い終え体を洗う。
「体は自分で洗う、」
いつもやってもらってるのに何だか恥ずかしくて、ボディータオルを手に取る。
「どうした?恥ずかしいのか?」
わざわざ言わなくてもいいじゃん!
余計恥ずかしくなり、陽ちゃんはほっといて適当に体を洗う。
「俺も洗おー」
陽ちゃんも頭や体を洗い終え、一緒に湯船に浸かろうとするけどやっぱりお湯がはられた湯船を見ると喉が詰まって息が苦しくなる。
それに気づいた陽ちゃんはそっと僕の体を包み込む。
足がすくみ、その場にしゃがみこんでしまった。
「体冷えちゃうからお湯だけかかろうね。」
湯船が見えないように後頭部を押さえられ陽ちゃんの胸に頬をつける。
腰から下に湯船のお湯をゆっくりかけられ、体が温まってゆく。
徐々にかける位置が上がって行き、肩にお湯がかかる。
ここの水は冷たくもないし、熱くもない。
大丈夫…大丈夫…
「お湯入る。」
陽ちゃんに肌をくっつけたまま伝える。
「うん、入ろうか。おいで、」
僕のタイミングで湯船に入れるように先に入って待ってくれる。
勇気が出るまでに少し時間はかかったが、無事湯船に浸かることができた。
陽ちゃんの上に座り、後ろから抱きしめられる。
陽ちゃんの腕をしっかりと持って体を支える。
少しでもバランスを崩してしまうとパニックを起こしてしまうのを知っている陽ちゃんは腰をギュッと引き寄せる。
「温かいか?」
「うん、気持ちいい。陽ちゃんとのお風呂はいつも気持ちいいね。」
いつも気持ちいい。入ってしまえばいつもそう思うのだけれど、入るまでの勇気を出すのにいつも時間がかかってしまう。
いつか何も考えずにお風呂に入れる日がきたらいいな。
「そろそろ上がろうか。」
「うん」
お風呂を出て体を拭く。
体の痣も綺麗に消え、普通の肌になった。
お肉も前よりは付いたかな。
「どうした?自分の体まじまじと見て、」
「ん?いや、痣無くなったなっと思って。」
「ホントだな、治って良かったな。
骨折も綺麗に治って良かったな。
もう痛いとこないか?」
「うん、ないよ。陽ちゃんは鍛えてるの?」
引き締まって、薄らと割れた腹筋。
何度見てもカッコイイな。
その腹筋に触れる。
「いや、特に何かをしてるわけじゃないんだけどな、」
「良いな~僕も陽ちゃんみたいにカッコよくなりたい。」
「初めて病院で一緒にお風呂に入った時もそんなこと言ってたよな。空だってちゃんと食べてお肉ついたら俺みたいになるよ。」
「そうなのかな?」
今のひ弱な体からは一切想像できない。
「ほら、服着るぞ。体冷えちゃうからな。」
「うん」
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