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65、どうしたら伝わる
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名取side
いい子か、どうしたら今のままでいいって伝わるんだろう。
とりあえず環境に慣れるのを待つしかないのかな…
昨日ここに来たばかりだし、ゆっくりでいいか、
「ご飯にしようか。」
「うん…いただきます。」
今日は空が食べやすいようにって城崎先生がお粥を作ってくれた。卵が入ってて美味しそう。料理上手いんだな~
空は蓮華を持ったままお粥を見つめていた。
「食べないのか?」
「え…あ、食べる…」
食べると言っているが一向に口に運ぶ様子がなかった。
「どうした?嫌いなものでも入ってたか?」
病院ではなんでも美味しいって食べてたけど…
「食べる…」
「無理しなくてもいいよ。」
「………」
「朝ごはんはやめとこっか、」
一食抜くぐらい大丈夫だろう。
「ごめんなさい…」
「大丈夫だよ、疲れたよな。ちょっと横になろっか。」
「うーうん、座ってる……」
「…そっか、」
空はそう言ったきり黙って布団を強く握りしめ俯いた。
「…っ…ぃゃ…」
「空?」
空が小さく呟き小刻みに震えだした。
怯える空の手に触れようとしたその時、
パシッ!!
手を弾かれた。
怯えた目で俺を見つめる空、
何に怯えてるのかが分からない。どうしたら安心できる?
「…ゃめて…ぃゃ…っ………」
震えた声で訴えてくる。
「空、大丈夫、ここは安全だ。大丈夫だよ。」
「もう…いや…もう嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!あああああああああああああああああああああああああああ!!」
もう空の目には俺は映っていない。
耳を塞ぎ叫ぶ空を抱きしめるしかできなかった。
初めて病院に来た時みたいだな…
「空、大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫、…」
「陽ちゃん…どこ…どこ…陽ちゃん…陽ちゃん…」
「空、俺はここにいるよ。大丈夫、大丈夫、ここにいるからな。」
急に俺の名前を何度も呼び探し出した。
「あ、陽ちゃん…いた」
目が合った途端安心したのか静かに目を閉じ寝息を立てた。
空をベッドに寝かせ俺はリビングに行った。
「夕紀、大丈夫ですか?すごい声聞こえて…」
リビングに行った途端城崎先生が駆け寄ってきた。
さすがにあの声はリビングにも聞こえるか、
「大丈夫ですよ。今は落ち着いて眠ってます。
それより、すみません、せっかく朝食作ってくれたのに食べれなくて。」
「え、空くん体調悪いんですか?」
「熱とかはなかったんですけど、まぁ環境の変化でしんどいんのかもしれません。ストレスも相当かかってると思いますし、少し様子をみます。」
とても心配してくれている2人の顔を見て、空のことをこんなに考えてくれる人がいてくれていることが嬉しく思えた。
いい子か、どうしたら今のままでいいって伝わるんだろう。
とりあえず環境に慣れるのを待つしかないのかな…
昨日ここに来たばかりだし、ゆっくりでいいか、
「ご飯にしようか。」
「うん…いただきます。」
今日は空が食べやすいようにって城崎先生がお粥を作ってくれた。卵が入ってて美味しそう。料理上手いんだな~
空は蓮華を持ったままお粥を見つめていた。
「食べないのか?」
「え…あ、食べる…」
食べると言っているが一向に口に運ぶ様子がなかった。
「どうした?嫌いなものでも入ってたか?」
病院ではなんでも美味しいって食べてたけど…
「食べる…」
「無理しなくてもいいよ。」
「………」
「朝ごはんはやめとこっか、」
一食抜くぐらい大丈夫だろう。
「ごめんなさい…」
「大丈夫だよ、疲れたよな。ちょっと横になろっか。」
「うーうん、座ってる……」
「…そっか、」
空はそう言ったきり黙って布団を強く握りしめ俯いた。
「…っ…ぃゃ…」
「空?」
空が小さく呟き小刻みに震えだした。
怯える空の手に触れようとしたその時、
パシッ!!
手を弾かれた。
怯えた目で俺を見つめる空、
何に怯えてるのかが分からない。どうしたら安心できる?
「…ゃめて…ぃゃ…っ………」
震えた声で訴えてくる。
「空、大丈夫、ここは安全だ。大丈夫だよ。」
「もう…いや…もう嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!あああああああああああああああああああああああああああ!!」
もう空の目には俺は映っていない。
耳を塞ぎ叫ぶ空を抱きしめるしかできなかった。
初めて病院に来た時みたいだな…
「空、大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫、…」
「陽ちゃん…どこ…どこ…陽ちゃん…陽ちゃん…」
「空、俺はここにいるよ。大丈夫、大丈夫、ここにいるからな。」
急に俺の名前を何度も呼び探し出した。
「あ、陽ちゃん…いた」
目が合った途端安心したのか静かに目を閉じ寝息を立てた。
空をベッドに寝かせ俺はリビングに行った。
「夕紀、大丈夫ですか?すごい声聞こえて…」
リビングに行った途端城崎先生が駆け寄ってきた。
さすがにあの声はリビングにも聞こえるか、
「大丈夫ですよ。今は落ち着いて眠ってます。
それより、すみません、せっかく朝食作ってくれたのに食べれなくて。」
「え、空くん体調悪いんですか?」
「熱とかはなかったんですけど、まぁ環境の変化でしんどいんのかもしれません。ストレスも相当かかってると思いますし、少し様子をみます。」
とても心配してくれている2人の顔を見て、空のことをこんなに考えてくれる人がいてくれていることが嬉しく思えた。
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