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52、いい子になりたい。
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空side
「ん……」
今何時だろう…
「おはよう、6時だけど夕食食べれそう?」
「あ、おはようございます。寝ちゃってた…」
城崎先生、ずっと隣にいてくれてたのかな、
「ご飯どうする?」
「え、あ、食べたいです。」
「じゃあ取ってくるね、名取先生仕事が忙しいらしいから今日は2人だよ。」
そう言って夕食を取りに行ってくれた。
「はい、今日はハンバーグだって~美味しそうだな」
城崎先生が笑顔で話しかけてくれる。
…なのに、どうしてだろう…上手く笑えない…
胸がどんどん濁っていく気がした。
「大丈夫、美味しいもん食べたら元気出るぞ!
ほら、食うぞ!」
「「いただきます」」
僕は大きく頷き食べだした。
ハンバーグは美味しくて全部食べることができた。
「「ごちそうさまでした」」
「退院、不安か?」
城崎先生が唐突に聞いてきた。
「大丈夫…です…」
ホントはすっごい不安…でも、素直に言えなかった。
ホントのことを言ったらもっと不安になる気がして怖いから…
「俺はすげー不安だ。」
「え?」
城崎先生も不安に思ってるの?
「ちゃんと夕紀のこと安心させてやれるかな~とか、
夕紀が俺といて嫌じゃないかな~とか、
もし何かあったら対処できるのかな~とか、
俺心配性で構いすぎちゃうからウザがられないかな~とか、
夕紀が我慢してることとか辛いって思ってることとか気づいてやれるかな~とか、
夕紀遠慮しそうだから遠慮せずに暮らせるようにできるかな~とか、
他にも言い出したらきりないけど退院後のことすげー不安。
夕紀は?不安じゃない?」
「僕は…僕は…」
先生そんなに不安だったんだ…しかも全部僕の事…
先生になら僕の不安言っても良いかな、もしかしたら解決してくれるかな…
この黒く濁った胸のモヤモヤとギューッっていう痛みなくなるかな…
「僕…も…不安…」
「だよな~!
マジで不安だよ~
俺、夕紀に嫌われんのマジやだも~ん!」
先生はいつもの笑顔で僕の頭をわしゃわしゃした。
「ぼ、僕は…いい子でいられるか…不安…」
「いい子か~
夕紀が思ういい子ってどんなの?」
僕が思ういい子…えっと…
「先生が………はぁ、はぁ、…」
「大丈夫、ゆっくりで良いよ。大丈夫、大丈夫、」
言いたいことを考えると悪い子だった家にいた頃の自分を思い出し怖くなった…もう…痛いの嫌だ…
先生に抱きしめられ、先生の胸に顔を押し付けて呼吸が落ち着くのを待った。
「先生が…殴りたいって思わない子…
…大きい声…もう嫌だから…
…苦しいのも…寒いのも…痛いのも…もう…嫌…
だから、いい子なる…
ごめんなさい…ごめん…なさい…
だから、もう…もう………」
ガタガタ体を震わせ先生の服を力いっぱい掴みながら思っていることを伝えた。
「夕紀っ!」
「っ!!」
先生が落ち着いた声ではっきりと僕の名前を言った。
僕はその声に驚き、手を離し先生の顔を見た。
「夕紀、辛かったな、しんどかったな…
痛かったな、寒かったな…苦しかったな…
でも、もうそんなこと感じなくていいから、
今は想像できないかもしれないけど、
絶対安心できるようにするから、大丈夫、
そんなこと考えなくていいようにするから、
夕紀は俺よりずっと不安だったんだな。」
先生はぎゅっと優しく抱きしめ背中をずっと撫でてくれた。
すると、だんだん胸の痛みが和らいでいく感じがした。
やっぱり先生の手って凄いな。
気付くとまた大量の涙が先生の服を濡らしていた。
慌てて離れようとしたが、「大丈夫、」と言ってまたぎゅっとしてくれたから、さっきと同じように涙を全部流したら止まると思い、止めず全部出るのを待った。
「ん……」
今何時だろう…
「おはよう、6時だけど夕食食べれそう?」
「あ、おはようございます。寝ちゃってた…」
城崎先生、ずっと隣にいてくれてたのかな、
「ご飯どうする?」
「え、あ、食べたいです。」
「じゃあ取ってくるね、名取先生仕事が忙しいらしいから今日は2人だよ。」
そう言って夕食を取りに行ってくれた。
「はい、今日はハンバーグだって~美味しそうだな」
城崎先生が笑顔で話しかけてくれる。
…なのに、どうしてだろう…上手く笑えない…
胸がどんどん濁っていく気がした。
「大丈夫、美味しいもん食べたら元気出るぞ!
ほら、食うぞ!」
「「いただきます」」
僕は大きく頷き食べだした。
ハンバーグは美味しくて全部食べることができた。
「「ごちそうさまでした」」
「退院、不安か?」
城崎先生が唐突に聞いてきた。
「大丈夫…です…」
ホントはすっごい不安…でも、素直に言えなかった。
ホントのことを言ったらもっと不安になる気がして怖いから…
「俺はすげー不安だ。」
「え?」
城崎先生も不安に思ってるの?
「ちゃんと夕紀のこと安心させてやれるかな~とか、
夕紀が俺といて嫌じゃないかな~とか、
もし何かあったら対処できるのかな~とか、
俺心配性で構いすぎちゃうからウザがられないかな~とか、
夕紀が我慢してることとか辛いって思ってることとか気づいてやれるかな~とか、
夕紀遠慮しそうだから遠慮せずに暮らせるようにできるかな~とか、
他にも言い出したらきりないけど退院後のことすげー不安。
夕紀は?不安じゃない?」
「僕は…僕は…」
先生そんなに不安だったんだ…しかも全部僕の事…
先生になら僕の不安言っても良いかな、もしかしたら解決してくれるかな…
この黒く濁った胸のモヤモヤとギューッっていう痛みなくなるかな…
「僕…も…不安…」
「だよな~!
マジで不安だよ~
俺、夕紀に嫌われんのマジやだも~ん!」
先生はいつもの笑顔で僕の頭をわしゃわしゃした。
「ぼ、僕は…いい子でいられるか…不安…」
「いい子か~
夕紀が思ういい子ってどんなの?」
僕が思ういい子…えっと…
「先生が………はぁ、はぁ、…」
「大丈夫、ゆっくりで良いよ。大丈夫、大丈夫、」
言いたいことを考えると悪い子だった家にいた頃の自分を思い出し怖くなった…もう…痛いの嫌だ…
先生に抱きしめられ、先生の胸に顔を押し付けて呼吸が落ち着くのを待った。
「先生が…殴りたいって思わない子…
…大きい声…もう嫌だから…
…苦しいのも…寒いのも…痛いのも…もう…嫌…
だから、いい子なる…
ごめんなさい…ごめん…なさい…
だから、もう…もう………」
ガタガタ体を震わせ先生の服を力いっぱい掴みながら思っていることを伝えた。
「夕紀っ!」
「っ!!」
先生が落ち着いた声ではっきりと僕の名前を言った。
僕はその声に驚き、手を離し先生の顔を見た。
「夕紀、辛かったな、しんどかったな…
痛かったな、寒かったな…苦しかったな…
でも、もうそんなこと感じなくていいから、
今は想像できないかもしれないけど、
絶対安心できるようにするから、大丈夫、
そんなこと考えなくていいようにするから、
夕紀は俺よりずっと不安だったんだな。」
先生はぎゅっと優しく抱きしめ背中をずっと撫でてくれた。
すると、だんだん胸の痛みが和らいでいく感じがした。
やっぱり先生の手って凄いな。
気付くとまた大量の涙が先生の服を濡らしていた。
慌てて離れようとしたが、「大丈夫、」と言ってまたぎゅっとしてくれたから、さっきと同じように涙を全部流したら止まると思い、止めず全部出るのを待った。
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