36 / 136
36、怒らせちゃった…
しおりを挟む
空side
「ごめん…なさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
陽ちゃんの怒っている顔…1番見たくなかった。
陽ちゃんにだけは怒られたくなかった。
なのに、怒らせてしまった。
どうしたらいい?どうしたら許してくれる?
陽ちゃんは何を求めているの?
陽ちゃんがどんどん近づいてくる。
怖くて後ずさりするが背中に壁が当たりもう下がれない…
陽ちゃんの手が僕の腕を掴んだ。
殴られると思い目を閉じ、体に力を込めた。
「はぁ、殴らねぇよ。」
想像していた痛みは来なかった。
恐る恐る目を開けると、陽ちゃんが僕を見つめていた。
「はぁ、ごめん、俺が悪かった。」
「え?」
どうして陽ちゃんが謝るの?
「空にとって風呂ってそういう場所だよな。
俺の考えが甘かった。分かってあげられてるつもりだったのに、全然分かってなかった。
ごめん、お前なりにいっぱい考えたんだよな。
苦しかったな。体もこんな冷えて…冷水でも被ったか?」
陽ちゃんは優しく抱きしめ安心させてくれた。
「怖いだろうけど、俺も一緒に入るからお湯だけ浸かろう。」
「いゃ……」
さっき入った恐怖や苦しさが僕の頭を支配していた。
もう苦しいの嫌だ…
「嫌か、苦しくないぞ?」
「……」
ほんとに苦しくないのかな…
今は陽ちゃん怒ってない?分からない…
苦しくない風呂の入り方を知らない空は首を縦に振ることができなかった。
「分かった。」
陽ちゃんが急に服を脱ぎ、
湯船に入った。
「こうやって入るんだよ、おいで、」
陽ちゃんは手を広げ、入るよう言ってきた。
だが、入る事ができない。
「空、このイス座って」
イスに座ると足にお湯をかけられた。
「?!」
「温かい?」
「うん、温かい。」
「そっか、気持ちいいな」
「気持ちいい?」
「そうだよ。これ気持ちいいって言うんだよ。」
初めて知った。何だか心まで温まる気がした。
「空、おいで。ここはもっと温かいよ。」
もっと温かくなりたい。
湯船に片足を入れた。
温かい…
「おいで~」
陽ちゃんは手を広げ待っていてくれた。
湯船に入り、陽ちゃんに抱きついた。
さっきまで水が怖かったのが嘘のよう。
今はぽかぽか心を落ち着かせてくれた。
「気持ちいいな、」
「うん、気持ちいい」
湯船に浸かり心も体もぽかぽかしていた。
「そろそろ上がろっか、」
ホントはもっと湯に浸かっていたかったが、のぼせちゃうから上がろうと言われた。
「空、体拭ける?」
「拭ける。」
陽ちゃんからタオルを受け取り、体を拭いた。
俺の体は痣で変色していたり細かったりで弱そう。
それに対して陽ちゃんの体はカッコイイ。
細いが筋肉が付いていて引き締まっている。
「そんなまじまじ見られたら恥ずかしいなw
何か気になるもんでもあったか?」
「陽ちゃんの体カッコイイ。」
「お、ありがとうwそんなストレートに言われたら照れるなw」
陽ちゃんは顔を赤くして照れていた。
服を着てドライヤーをしてもらった。
前にもしてもらったことがあったがこれも温かくてぽかぽかする。
「これも気持ちいい?」
「ん?気持ちいいか?」
「温かい」
「そっか、温かいか、確かにドライヤーは気持ちいいな。ドライヤー好き?」
ドライヤーが好きというより陽ちゃんに頭を撫でられるのが好き。
「陽ちゃんが頭触ってくれるから好き。」
「お、何だw今日はやけに素直だなw
そっか、撫でられるの好きか。可愛いな」
何が可愛いのかは分からなかったが、陽ちゃんが笑ってくれたから良かった。
「病室温まってるから、戻ろう。」
「うん、」
手を繋いで病室に向かった。
「ごめん…なさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
陽ちゃんの怒っている顔…1番見たくなかった。
陽ちゃんにだけは怒られたくなかった。
なのに、怒らせてしまった。
どうしたらいい?どうしたら許してくれる?
陽ちゃんは何を求めているの?
陽ちゃんがどんどん近づいてくる。
怖くて後ずさりするが背中に壁が当たりもう下がれない…
陽ちゃんの手が僕の腕を掴んだ。
殴られると思い目を閉じ、体に力を込めた。
「はぁ、殴らねぇよ。」
想像していた痛みは来なかった。
恐る恐る目を開けると、陽ちゃんが僕を見つめていた。
「はぁ、ごめん、俺が悪かった。」
「え?」
どうして陽ちゃんが謝るの?
「空にとって風呂ってそういう場所だよな。
俺の考えが甘かった。分かってあげられてるつもりだったのに、全然分かってなかった。
ごめん、お前なりにいっぱい考えたんだよな。
苦しかったな。体もこんな冷えて…冷水でも被ったか?」
陽ちゃんは優しく抱きしめ安心させてくれた。
「怖いだろうけど、俺も一緒に入るからお湯だけ浸かろう。」
「いゃ……」
さっき入った恐怖や苦しさが僕の頭を支配していた。
もう苦しいの嫌だ…
「嫌か、苦しくないぞ?」
「……」
ほんとに苦しくないのかな…
今は陽ちゃん怒ってない?分からない…
苦しくない風呂の入り方を知らない空は首を縦に振ることができなかった。
「分かった。」
陽ちゃんが急に服を脱ぎ、
湯船に入った。
「こうやって入るんだよ、おいで、」
陽ちゃんは手を広げ、入るよう言ってきた。
だが、入る事ができない。
「空、このイス座って」
イスに座ると足にお湯をかけられた。
「?!」
「温かい?」
「うん、温かい。」
「そっか、気持ちいいな」
「気持ちいい?」
「そうだよ。これ気持ちいいって言うんだよ。」
初めて知った。何だか心まで温まる気がした。
「空、おいで。ここはもっと温かいよ。」
もっと温かくなりたい。
湯船に片足を入れた。
温かい…
「おいで~」
陽ちゃんは手を広げ待っていてくれた。
湯船に入り、陽ちゃんに抱きついた。
さっきまで水が怖かったのが嘘のよう。
今はぽかぽか心を落ち着かせてくれた。
「気持ちいいな、」
「うん、気持ちいい」
湯船に浸かり心も体もぽかぽかしていた。
「そろそろ上がろっか、」
ホントはもっと湯に浸かっていたかったが、のぼせちゃうから上がろうと言われた。
「空、体拭ける?」
「拭ける。」
陽ちゃんからタオルを受け取り、体を拭いた。
俺の体は痣で変色していたり細かったりで弱そう。
それに対して陽ちゃんの体はカッコイイ。
細いが筋肉が付いていて引き締まっている。
「そんなまじまじ見られたら恥ずかしいなw
何か気になるもんでもあったか?」
「陽ちゃんの体カッコイイ。」
「お、ありがとうwそんなストレートに言われたら照れるなw」
陽ちゃんは顔を赤くして照れていた。
服を着てドライヤーをしてもらった。
前にもしてもらったことがあったがこれも温かくてぽかぽかする。
「これも気持ちいい?」
「ん?気持ちいいか?」
「温かい」
「そっか、温かいか、確かにドライヤーは気持ちいいな。ドライヤー好き?」
ドライヤーが好きというより陽ちゃんに頭を撫でられるのが好き。
「陽ちゃんが頭触ってくれるから好き。」
「お、何だw今日はやけに素直だなw
そっか、撫でられるの好きか。可愛いな」
何が可愛いのかは分からなかったが、陽ちゃんが笑ってくれたから良かった。
「病室温まってるから、戻ろう。」
「うん、」
手を繋いで病室に向かった。
30
お気に入りに追加
383
あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる