ホントの気持ち

16、逃げる方法

空side


昨日はあれから何度もベランダの外に体を落ちるギリギリまで出したり、
気が済むまで殴る蹴るの暴力が続いた。


いつ寝たんだろう。
口のタオルは外されていた。
でも、叫んで助けを求める事はできなかった。
普段暴力に慣れていないからか恐怖と痛みで心も体もボロボロになっていた。
抵抗することもできず、ただ耐えるしかなかった。




どのくらい経ったんだろう。
もう空は明るい、昼くらいかな……
今日は城崎先生と放課後話す予定があったんだ…何を話すのかな。
でも行けないからもういいや、
窓には鍵がかかっていてこの場から出ることもできない。
もうずっとこのままなのかな……

お腹空いた。

昨日の晩から何も食べていない。
父さんは家にはいないみたい、仕事かな。

横になってぼーっと空を見上げていた。






空が一面赤く染まり、暗くなった。


ガチャ

「はぁ、いい加減にしろよ」


父さんが帰ってきた。
俺と目が合うなり、思い切り蹴ってきた。

「うぅ゛……」
痛い。怖い。もう嫌だ。逃げたい。








死にたい＿＿＿＿


今までとは違う、本音だった。

逃げる方法はもう『死』しか思い浮かばなかった。


そっか、死ねばいいんだ。
解決策が見つかり心が軽くなった。
その途端、父さんからの暴力や暴言に反応を示さなくなった。




気付けば、父さんは部屋に戻っていた。


何も考えずぼーっとっと壁を眺めていた。