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「、、ふぅ」
ついにこの部屋にある本を半分以上読んでしまった
法律や領地経営に関する本は難しく、分からないことも多かったが
いつでも話しかけて良い
と言ってくれたレストの言葉に甘えて色々質問するとなんでも答えてくれた
まるで家庭教師だ
知らない事ないの?
と思うくらいなんでも深く理解している為説明も分かりやすくどんな質問をしても澱みなく答えてくれた
はじめに聞いた本の賢者か?という質問
本人が自覚していないだけで本当はそうなんじゃないかと思い始めている
読み終えた本を本棚に戻す
まだ読み終えていない残りの半分はというと、魔法関連の専門書だ
魔法に関する記憶がなぜか一切無い為いきなり専門書を読んだところで分からないだろう
案の定、適当に一冊取って開いたが、、意味不明だ
「レスト、少し良いですか?」
私の声かけに数秒ペンを走らせた後、
なんですか?
と、レストは相変わらず物腰柔らかく答えてくれる
作業を中断されているのにこの穏やかさ、、見習いたい限りだ
「魔法について何も分からなくて、、もっと初級の、分かりやすい本はありませんか?」
私の言葉にレストはうーんと少し考えた後、
パチンと指を鳴らす
相変わらず、顔に似つかわしく無い豪華な手だ
手首にも華美に装飾品がついている
そういう趣味なのだろうか
ドサドサッと机の上に本が数冊積み重なる
「この辺りが初等教育課程で使われる一般的な魔法の教科書ですね
読んでみてまた分からない箇所があれば遠慮なく聞いて下さい」
そう微笑み、また書類に目を落とす
私は書類仕事に戻ってしまったレストのサラサラとした黒髪を眺めながら目を輝かせる
待って!!とんでもない事実が発覚した!
レストに頼めば本が出てくる、
つまり、、読み切ってしまうという危険性がないという事!?
なんて素晴らしいの、、!
やはりこの絵本、、普通じゃない
それにレストも只者ではない
絶対本の賢者だわ!!
私はウキウキとソファーに座り、新たに出してもらった本を一冊取り
めくる
どうやら魔法とは、から学べるようだ
ありがたい
魔法は基本全ての人間が使えるようだ
血液と同じように魔力というものが全身を流れている
稀に一切魔法が使えない人もいるそうだが、さして問題はないとの事
というのもほとんどの人が微風を起こしたり、大さじ一杯程度の水が出せるなど、大した魔法は使えないそうだ
つまり魔法は生活においてそう重要視されていない
それでも一応六歳になると神殿か、それに準ずる施設で魔法適性や魔力量を調べるのが一般的らしい。
私も六歳の時にやったのだろうか?
魔力量が多かったり希少な属性だと平民でも魔塔に所属したり、場合によっては貴族になれる事もあるらしい
辺境では魔物との争いも多く、強い領主というのが必要とされているようだ
そんな魔法だが、生活に関係ないかといえばそうではなく
魔力石をエネルギー源として様々な文明が発展し、生活が豊かになったと記載もある
つまり、魔力石が照明など様々な生活の基盤を支えてはいるが、自身の魔力が少なくても問題なく生きていけるということか。
ただ、魔力がたくさんあれば適性のある魔力石に魔力を送ってエネルギーをチャージ出来たりする
え、、魔力が強いって=節約になるって事なの、、?
なんだか思ったのと違うなぁなんて思ったが
そういえばレストはよく魔法を使っている
浮遊させたり、、さっきは本も出していた
本の中だから、という可能性もあるが、、本の賢者は偉大な魔法使いだという、、、
なんだかどんどん確信めいてきてしまう
もしレストが本の賢者ならば、私の事も本に入れてくれたらいいのに、、
そしたらこの部屋で2人、レストとずっと一緒に穏やかな時間が過ごせるはずだ
なんて、妄想してぽぽぽっと頬が熱を帯びる
いやだ、私ったら、、
不埒な思考を振り払ってもう一度本に目を落とす
ー
ーー
ーーー
ーーーー
一通り読んでみて、やはり思うのは
私も魔法、、使ってみたいなぁなんて
こんなにごっそり魔法についての記憶がないとなると、、もしかして私の犯した罪と魔法が関係あるのでは?とも思えてしまうが
それ以上の好奇心が私を掻き立てる
だって仕方ないじゃないか、
罪を犯したのかもしれないがその記憶さえないのだ
自覚のないものを反省することは出来ない
いやまぁ、、反省すべきなんだろうけど、、、
私は教科書に書いてある魔法の使用方法というのを少し試してみることにした
立ち上がり、机の横に移動すると開いたままの本を確認する
「えっと、、魔力を手に集中させて、、」
、、、、、
手に集中させるって何?
そもそも魔力なんて体に感じない
うーん??
一生懸命手に何かを感じようとするが何も分からない
分かるのはここ最近の頑張りを証明するペンだこと、
指に少しついたインクが伸びて青っぽくひろがり指紋がくっきりしているなぁってことくらい
あ、やだ
袖にもインクついてる
ちなみに私はパジャマ以外の服が支給されることはないのでいつでもパジャマ姿だ
だから袖にインクがついていたとして、気になるのはこのままベットに飛び込んで真っ白なシーツにインク染みがついたら申し訳ないなぁ
ということくらいだ
あ、、いけないいけない
集中集中
うーんと目を瞑り、手に集中していると急にフワリと暖かな手が重ねられた
驚いて目を開けるとレストが目の前に立っていた
放出するイメージと思い、前に伸ばしていた手をそっと握られている
向かい合って、両手共繋いだような状態、、
下から私の手を支えるように握られた手の温かさに一気に顔に熱が集まる
全部の指に指輪ついてる、、ブレスレットもじゃらじゃら、、
恥ずかしさについつい他のことを考えてしまう
黒曜石のような真っ黒な宝石のついたアクセサリーたちはレストの白い肌をより一層白く見せる
「目を閉じて、今から私の魔力をステラに流します」
ぽわんと暖かな何かが手の中に入って体中をゆっくりと巡る
あったかい紅茶を飲んだ時のようなじんわりとした熱が体を循環する
「分かりますか?」
「、、はい」
腕を通って頭の先からつま先まで
これが魔力かぁ、、うん、、血のように体に巡っているのが分かる
そして嫌なこともわかってしまった
例の、肩口にある奴隷紋、、あそこで魔力が滞り渦のようになっている
制限か何か、、かけられているのだろうか
それで魔力の流れが自認しにくかったのかもしれない
「今度はステラが、私に魔力を流してみて下さい」
手に集中というやつか、、
流すということは、体に流れているこの魔力を集めて、、手から出すイメージかなぁ
うん、、なんとなく出来そう、、
つま先から頭のてっぺんまで
今流れている魔力を真ん中に、、真ん中に集めて
手に持ってきて、、
放つーー
カッと目を開き解き放つイメージをした瞬間
パチパチパチッと視界を電気が走る
繋いだ手から衝撃波のように風が吹き、私とレストの髪が靡く
そしてレストについた華美な装飾品の黒曜石がたちまち光だし赤、青、紫と様々な色の輝く宝石と変わる
不思議な光を放つそれらが魔石だということに今更ながら気がついた
そういえば初めてここにきた時、彼が浮遊魔法を使った際に人差し指にはめられた指輪が光っていた
レストは驚いたように指や手首の魔力石を確認すると、ゴソゴソと胸元を漁り
服の中から一際大きな真紅の宝石を取り出す
なんだか、肩が凝りそうなほどのネックレスだ
「ステラ、、大丈夫ですか?
体に異常は?」
明らかに動揺しながらも私を心配するレストに大丈夫だと返そうとした時
グラッと視界が歪む
立ちくらみのような症状に思わず倒れ込みそうになるとすかさずレストが受け止めてくれる
「すまない、まさかこれほどまでの魔力を一度に放出してしまうとは
とりあえず座って」
いつもの柔らかい敬語と少し違う
動揺しているからか少し砕けた口調になんだか嬉しい気がする
慌てる彼を見ながらそんなことを思うなんて、、余裕があるようだが
ここは少し甘えてしまおう
ソファーに座ってもなお自分にもたれさせるように包み込んでくれるレクスに緊張と安心という複雑な二つの感情が入り混じる
ドクン、ドクンと聞こえる彼の心音が心地よくて
包まれる温かさと、彼に似合うほのかに甘い香りを感じながら
私は少し目を閉じるだけのつもりがスーッと意識が遠のいていった
ついにこの部屋にある本を半分以上読んでしまった
法律や領地経営に関する本は難しく、分からないことも多かったが
いつでも話しかけて良い
と言ってくれたレストの言葉に甘えて色々質問するとなんでも答えてくれた
まるで家庭教師だ
知らない事ないの?
と思うくらいなんでも深く理解している為説明も分かりやすくどんな質問をしても澱みなく答えてくれた
はじめに聞いた本の賢者か?という質問
本人が自覚していないだけで本当はそうなんじゃないかと思い始めている
読み終えた本を本棚に戻す
まだ読み終えていない残りの半分はというと、魔法関連の専門書だ
魔法に関する記憶がなぜか一切無い為いきなり専門書を読んだところで分からないだろう
案の定、適当に一冊取って開いたが、、意味不明だ
「レスト、少し良いですか?」
私の声かけに数秒ペンを走らせた後、
なんですか?
と、レストは相変わらず物腰柔らかく答えてくれる
作業を中断されているのにこの穏やかさ、、見習いたい限りだ
「魔法について何も分からなくて、、もっと初級の、分かりやすい本はありませんか?」
私の言葉にレストはうーんと少し考えた後、
パチンと指を鳴らす
相変わらず、顔に似つかわしく無い豪華な手だ
手首にも華美に装飾品がついている
そういう趣味なのだろうか
ドサドサッと机の上に本が数冊積み重なる
「この辺りが初等教育課程で使われる一般的な魔法の教科書ですね
読んでみてまた分からない箇所があれば遠慮なく聞いて下さい」
そう微笑み、また書類に目を落とす
私は書類仕事に戻ってしまったレストのサラサラとした黒髪を眺めながら目を輝かせる
待って!!とんでもない事実が発覚した!
レストに頼めば本が出てくる、
つまり、、読み切ってしまうという危険性がないという事!?
なんて素晴らしいの、、!
やはりこの絵本、、普通じゃない
それにレストも只者ではない
絶対本の賢者だわ!!
私はウキウキとソファーに座り、新たに出してもらった本を一冊取り
めくる
どうやら魔法とは、から学べるようだ
ありがたい
魔法は基本全ての人間が使えるようだ
血液と同じように魔力というものが全身を流れている
稀に一切魔法が使えない人もいるそうだが、さして問題はないとの事
というのもほとんどの人が微風を起こしたり、大さじ一杯程度の水が出せるなど、大した魔法は使えないそうだ
つまり魔法は生活においてそう重要視されていない
それでも一応六歳になると神殿か、それに準ずる施設で魔法適性や魔力量を調べるのが一般的らしい。
私も六歳の時にやったのだろうか?
魔力量が多かったり希少な属性だと平民でも魔塔に所属したり、場合によっては貴族になれる事もあるらしい
辺境では魔物との争いも多く、強い領主というのが必要とされているようだ
そんな魔法だが、生活に関係ないかといえばそうではなく
魔力石をエネルギー源として様々な文明が発展し、生活が豊かになったと記載もある
つまり、魔力石が照明など様々な生活の基盤を支えてはいるが、自身の魔力が少なくても問題なく生きていけるということか。
ただ、魔力がたくさんあれば適性のある魔力石に魔力を送ってエネルギーをチャージ出来たりする
え、、魔力が強いって=節約になるって事なの、、?
なんだか思ったのと違うなぁなんて思ったが
そういえばレストはよく魔法を使っている
浮遊させたり、、さっきは本も出していた
本の中だから、という可能性もあるが、、本の賢者は偉大な魔法使いだという、、、
なんだかどんどん確信めいてきてしまう
もしレストが本の賢者ならば、私の事も本に入れてくれたらいいのに、、
そしたらこの部屋で2人、レストとずっと一緒に穏やかな時間が過ごせるはずだ
なんて、妄想してぽぽぽっと頬が熱を帯びる
いやだ、私ったら、、
不埒な思考を振り払ってもう一度本に目を落とす
ー
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一通り読んでみて、やはり思うのは
私も魔法、、使ってみたいなぁなんて
こんなにごっそり魔法についての記憶がないとなると、、もしかして私の犯した罪と魔法が関係あるのでは?とも思えてしまうが
それ以上の好奇心が私を掻き立てる
だって仕方ないじゃないか、
罪を犯したのかもしれないがその記憶さえないのだ
自覚のないものを反省することは出来ない
いやまぁ、、反省すべきなんだろうけど、、、
私は教科書に書いてある魔法の使用方法というのを少し試してみることにした
立ち上がり、机の横に移動すると開いたままの本を確認する
「えっと、、魔力を手に集中させて、、」
、、、、、
手に集中させるって何?
そもそも魔力なんて体に感じない
うーん??
一生懸命手に何かを感じようとするが何も分からない
分かるのはここ最近の頑張りを証明するペンだこと、
指に少しついたインクが伸びて青っぽくひろがり指紋がくっきりしているなぁってことくらい
あ、やだ
袖にもインクついてる
ちなみに私はパジャマ以外の服が支給されることはないのでいつでもパジャマ姿だ
だから袖にインクがついていたとして、気になるのはこのままベットに飛び込んで真っ白なシーツにインク染みがついたら申し訳ないなぁ
ということくらいだ
あ、、いけないいけない
集中集中
うーんと目を瞑り、手に集中していると急にフワリと暖かな手が重ねられた
驚いて目を開けるとレストが目の前に立っていた
放出するイメージと思い、前に伸ばしていた手をそっと握られている
向かい合って、両手共繋いだような状態、、
下から私の手を支えるように握られた手の温かさに一気に顔に熱が集まる
全部の指に指輪ついてる、、ブレスレットもじゃらじゃら、、
恥ずかしさについつい他のことを考えてしまう
黒曜石のような真っ黒な宝石のついたアクセサリーたちはレストの白い肌をより一層白く見せる
「目を閉じて、今から私の魔力をステラに流します」
ぽわんと暖かな何かが手の中に入って体中をゆっくりと巡る
あったかい紅茶を飲んだ時のようなじんわりとした熱が体を循環する
「分かりますか?」
「、、はい」
腕を通って頭の先からつま先まで
これが魔力かぁ、、うん、、血のように体に巡っているのが分かる
そして嫌なこともわかってしまった
例の、肩口にある奴隷紋、、あそこで魔力が滞り渦のようになっている
制限か何か、、かけられているのだろうか
それで魔力の流れが自認しにくかったのかもしれない
「今度はステラが、私に魔力を流してみて下さい」
手に集中というやつか、、
流すということは、体に流れているこの魔力を集めて、、手から出すイメージかなぁ
うん、、なんとなく出来そう、、
つま先から頭のてっぺんまで
今流れている魔力を真ん中に、、真ん中に集めて
手に持ってきて、、
放つーー
カッと目を開き解き放つイメージをした瞬間
パチパチパチッと視界を電気が走る
繋いだ手から衝撃波のように風が吹き、私とレストの髪が靡く
そしてレストについた華美な装飾品の黒曜石がたちまち光だし赤、青、紫と様々な色の輝く宝石と変わる
不思議な光を放つそれらが魔石だということに今更ながら気がついた
そういえば初めてここにきた時、彼が浮遊魔法を使った際に人差し指にはめられた指輪が光っていた
レストは驚いたように指や手首の魔力石を確認すると、ゴソゴソと胸元を漁り
服の中から一際大きな真紅の宝石を取り出す
なんだか、肩が凝りそうなほどのネックレスだ
「ステラ、、大丈夫ですか?
体に異常は?」
明らかに動揺しながらも私を心配するレストに大丈夫だと返そうとした時
グラッと視界が歪む
立ちくらみのような症状に思わず倒れ込みそうになるとすかさずレストが受け止めてくれる
「すまない、まさかこれほどまでの魔力を一度に放出してしまうとは
とりあえず座って」
いつもの柔らかい敬語と少し違う
動揺しているからか少し砕けた口調になんだか嬉しい気がする
慌てる彼を見ながらそんなことを思うなんて、、余裕があるようだが
ここは少し甘えてしまおう
ソファーに座ってもなお自分にもたれさせるように包み込んでくれるレクスに緊張と安心という複雑な二つの感情が入り混じる
ドクン、ドクンと聞こえる彼の心音が心地よくて
包まれる温かさと、彼に似合うほのかに甘い香りを感じながら
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