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妊婦には優しく
夢の世界③
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「マイカ」
「ん?」
「マイカ起きてください」
肩を揺さぶられてぼんやりとした頭のまま目を開けると、紫の瞳と目があった。
「あれ…夢?」
「ええ。マイカが繋げたのではないのですか?」
はて?っと首を傾げて体を起こすと、どこかの家のリビングにある大きめのソファーに寝ていたようだ。
「ん?今回も私の世界に似てる感じかな」
「そうみたい、ですね。私もここまで体にピッタリとした服を着るのは初めてです」
目を擦りながらルーに目線を向けると、紺色の上下スーツに白いワイシャツ、ワインレッドのネクタイをして、長い髪を緩めの三つ編みで肩から流すように結んでいる姿だった。
「ひぃ…外資系のイケメンエリート的?!スパダリ的な!?」
「何を言っているのか分かりませんが…似合うということでしょうか」
「うん、似合う!」
うんうんっと頷くとルーは嬉しそうに微笑んだ。そして私に目線を向けると、うーんっと首を捻りながら見つめてきた。
「ところで、マイカは…なぜそのような格好なのでしょう」
「ん?」
質問されて自分の服を確認した。
この夢の世界は、なぜ私にこのような服を…いやこれは服なのか?とにかくなぜ。なぜなのか。
なぜ、私は上半身裸にフリフリの白いエプロンをつけている状態なのでしょうか。
「…これは…服では…服では…」
「何やら…料理をする時の服装ですか?」
「え!?いや、この姿ではしないけど!この白いエプロンは確かにそうよ…」
「マイカの世界は面白いですね。こんなに…そそられる服を見せられると、たまりません」
ルーは首元のネクタイをシュッと少し緩ませながら色気のある微笑みで見つめてきた。
「や、やだ…イケメンすぎる…」
恥ずかしくなって私は顔が真っ赤になった。
「それはきっと褒め言葉…なのでしょうね」
ルーは床にしゃがむとエプロンの裾をペロンっとめくってきた。
「や!見ちゃダメ!」
手で隠そうとするが、うまく防御されて布を取り返す事ができなかった。
「ここは下着をつけているのですね。しかし、白から黒が出てきました。おや?またお尻は…」
私の手をうまく防御でかわしながら、ルーは股をグイッと広げてきた。
「やっ、なに?なんなの?」
「いや、以前の白い下着のように…お尻は紐なんだなと思いましてね」
ふふっと笑ったルーは私の足から手を離して立ち上がった。
「ここは探検をすべきですね」
「あー、またルーの凝り性が…」
ルーはウキウキとした様子で私の事を抱き起こして手を繋いで歩き始めた。
「あ、ここはキッチンだね。料理するところ。しかもアイランドキッチンだぁ。いいなぁ。このキッチン置けるってことは…敷地的な意味でもお高そうなお家っぽい」
「そうなのですか。ここは…食事を取るところと作るところが部屋として分かれてはいないのですね」
「そう!それが特徴でもあるんだけど…ほら、こうやって私がキッチンに立っててもリビングの向こうやダイニングテーブルにいる人と話したりできるの」
私はルーの手を離してキッキンのシンクの前に立って、ダイニングテーブルの前で立っているルーに手を振って声をかけた。
「なるほど…。背を向けているよりも周りに目を向けやすくていいですね」
「うん。特に子供がリビングで遊んでるなら…すぐに声かけできるしね」
シンクも高そうなじゃ口だった。手をかざすだけで水が出るタイプだった。
「いいな、こんなお家に住んでみたい」
「マイカの…家は…」
「え?もっとせまーい!背面敷きキッチンだよ。お情けでカウンターがある感じ」
ゲラゲラ笑ってルーに話しかけると、ルーはダイニングテーブルの椅子に座って、テーブルに肘をついて頬に手を当ててこちらをみてきた。
「成程。ではこのように話しながらはできないのですね。…まるで新婚のようです」
「…た、たしかに」
私はエプロンを付けているし、ルーは仕事帰りに見えなくもない。夫を家で待つ新妻といえば、確かにそう見える。
「あ、キッチン以外も見に行こう」
ルーに近寄って手を差し出すと、ルーは手を取って立ち上がった。
「次はどこに行きましょう」
「浴室かな!」
手を繋いで目的の場所を探す。トイレは別にあった。これもセンサーで水が流れるタイプだ。
脱衣所に洗濯機や乾燥機、洗面台があった。この空間だけでも中々広々としている。洗面台には2本歯ブラシが置いてあった。住んでいる人数は2人のようだ。
脱衣所を抜けて扉を開けると浴室が現れた。
「うわ、豪華なお風呂」
浴室も広く、浴槽は背の高い男性でも足が伸ばせるほどの大きさだった。
「ふむ。なかなか広いですね」
ルーはキョロキョロを見渡しながらシャワーに目を向けた。
「あれはなんでしょう」
「あれはシャワーだよ。あのベッドから水が出るの。立ったままでお湯を浴びれるんだ」
「…なるほど…」
「ルーの世界は湯船で全部終わらせるもんね」
「ええ。平民は魔法が使えないのであのように沢山の水は使えませんが…」
「あ、そうなんだ」
ふーんっと思いながらルーの世界のことを思い浮かべた私はふと気になる事を思いついて質問した。
「そういえば、トイレってどんな仕組みなの?水流さなくてもいいって初めびっくりしたんだけど」
あの世界は椅子の座面に穴が空いたような便座に座って済ませると、綿の布で拭いて終わりなのだ。マリアに布をもらってトイレに入って、使ったものは…そう、マリアに返す。恥ずかしくて初めは慣れなかったが、途中洗浄魔法を覚えてからはサッと綺麗にしてから渡すようにして私の心は守られている。
「ああ、あれは…なかに消滅魔法が組み込まれているので流す必要がないのですよ。魔力を持ったものが使えば発動します。消えるものも指定されているので、例え手を入れで消える事はありません」
「へ、へー…。あ、じゃあ平民は?」
「平民達は家の外の共同汚物処理場に運んで後始末していますよ」
「なるほど…。おまる的な感じで捨てるのね。だから街並みは綺麗だったのかぁ。とりあえず魔法がなかったら衛生面で耐えられなかったかもしれない…」
「ふふ。こうしてみるとマイカの世界はかなり…発展してはいますが、水などが無いと大変そうですね」
「そうなのよね。水やガス、電気がないと無理なの」
話しながら手を繋いで浴室から出ると、2階へつながる階段があった。そのまま2階に上がると扉が複数現れた。
「部屋の数も多い…」
2人で扉を開けて中を確認した。子供部屋のような部屋、書斎のような部屋、大きなベッドがある部屋、客室のような部屋があった。
「うーん、子供部屋が用意されてる…って事は、結婚してる夫婦なのかな」
「家の家主がですか?」
「そう。私はこんな家見たことも住んだこともないから…なんで現れてるのかわからないけど」
2階から一階のリビングに移動して、初めに座っていたソファーの場所に戻ってきた。テレビや観葉植物があって内装もモデルルームのようだ。窓も大きくて開放的であった。
もし、ルーが…私の世界にいたら、貴族だし…コレぐらい大きな家に住んでいたのだろうか。
ふとそんな事を考えていると、シュルっと背中の結び目を外された。
「えっ?!」
「家を見ていて思ったのですが、なんだか私たち2人が夫婦になって住んでいる家だと思えてくるんです。仕事が終わったら、妻が出迎えてくれる家」
大きな手で背中を撫でられながら耳元で囁かれた。
「んっ…ちょっと、私もそう…思った…」
「夢の中では…夫婦という事でしょうか」
ルーは耳元から首筋にチュッと音を立てながら唇を落としてきた。
「そ、なのか…な」
「もう私たちは夢の中では一年半、こうして触れ合ってますね」
首筋から肩、腕、手の甲へと唇を落としてルーは最後に指先に口付けながら私に微笑んできた。
「…もう、私今日…というか、さっき?アレクの子供産んでばかりなんだけど?」
「そして寝るときに私をベッドに誘ってくれたでしょう?隣で眠るマイカを抱きしめて…現実の私は生殺しでした。体温に誘われて眠ってしまいましたが。しかし、こうして夢が繋がったので結果的に良かったです…」
手の平に口づけながらルーは目線をこちらに向けている。懇願されているような気分になってきた。
「ぅう…」
ルーをベッドに誘ったは、眠たくてあの時の本能に従ったからだ。誘惑するとかじゃなくて…。
お腹から赤子が産まれてしまったことに、急に寂しくなったからだ。なぜ寂しかったのかあの時はわからなかったが、今はならわかる。
あと2人。いや、もうあと2人なのだ。
私たちのこの時間もあと少しで終わってしまう。
そう思ったら、ルーを求めてしまったのだろう。
「マイカ…そんな顔をしないでください」
私はいつの間にか目に涙を溜めていたようで、ルーは目元の涙を指で掬ってきた。
「だって…もう…すぐって思ったら…」
「マイカ。私も同じ気持ちです。マイカと離れる時間が迫っているのは辛い。だから、まだ泣かないで下さい。あと少しの間一緒にいられるのですから…マイカには笑っていて欲しい」
ルーは私の目元に口付けると、優しく微笑んだ。
「るぅ…今は…何も考えたくない。考えたくなっ…んっむ」
私が涙を流しながらルーを見つめていると、話終わる前に荒々しく唇に口づけされた。
「ふぁん…んっ…んっ」
そして、それからはお互いにお互いを激しく求めあった。
リビングのソファーの上で、私だけ裸で一度。
ダイニングテーブルでそのままもう一度。
お互いに裸になって浴室で一度。
最後に寝室の大きなベッドで三度。
ルーもそんなに精も体力もあるわけではないはずだ。しかし、夢の中だからだろうか。お互いに欲求が止まらなかった。
私達はこの不毛とも言える関係が終わる事実を受け入れつつも、どうにもならない気持ちを埋めるため交じり合い、互いの気持ちを囁き合った。
「ん?」
「マイカ起きてください」
肩を揺さぶられてぼんやりとした頭のまま目を開けると、紫の瞳と目があった。
「あれ…夢?」
「ええ。マイカが繋げたのではないのですか?」
はて?っと首を傾げて体を起こすと、どこかの家のリビングにある大きめのソファーに寝ていたようだ。
「ん?今回も私の世界に似てる感じかな」
「そうみたい、ですね。私もここまで体にピッタリとした服を着るのは初めてです」
目を擦りながらルーに目線を向けると、紺色の上下スーツに白いワイシャツ、ワインレッドのネクタイをして、長い髪を緩めの三つ編みで肩から流すように結んでいる姿だった。
「ひぃ…外資系のイケメンエリート的?!スパダリ的な!?」
「何を言っているのか分かりませんが…似合うということでしょうか」
「うん、似合う!」
うんうんっと頷くとルーは嬉しそうに微笑んだ。そして私に目線を向けると、うーんっと首を捻りながら見つめてきた。
「ところで、マイカは…なぜそのような格好なのでしょう」
「ん?」
質問されて自分の服を確認した。
この夢の世界は、なぜ私にこのような服を…いやこれは服なのか?とにかくなぜ。なぜなのか。
なぜ、私は上半身裸にフリフリの白いエプロンをつけている状態なのでしょうか。
「…これは…服では…服では…」
「何やら…料理をする時の服装ですか?」
「え!?いや、この姿ではしないけど!この白いエプロンは確かにそうよ…」
「マイカの世界は面白いですね。こんなに…そそられる服を見せられると、たまりません」
ルーは首元のネクタイをシュッと少し緩ませながら色気のある微笑みで見つめてきた。
「や、やだ…イケメンすぎる…」
恥ずかしくなって私は顔が真っ赤になった。
「それはきっと褒め言葉…なのでしょうね」
ルーは床にしゃがむとエプロンの裾をペロンっとめくってきた。
「や!見ちゃダメ!」
手で隠そうとするが、うまく防御されて布を取り返す事ができなかった。
「ここは下着をつけているのですね。しかし、白から黒が出てきました。おや?またお尻は…」
私の手をうまく防御でかわしながら、ルーは股をグイッと広げてきた。
「やっ、なに?なんなの?」
「いや、以前の白い下着のように…お尻は紐なんだなと思いましてね」
ふふっと笑ったルーは私の足から手を離して立ち上がった。
「ここは探検をすべきですね」
「あー、またルーの凝り性が…」
ルーはウキウキとした様子で私の事を抱き起こして手を繋いで歩き始めた。
「あ、ここはキッチンだね。料理するところ。しかもアイランドキッチンだぁ。いいなぁ。このキッチン置けるってことは…敷地的な意味でもお高そうなお家っぽい」
「そうなのですか。ここは…食事を取るところと作るところが部屋として分かれてはいないのですね」
「そう!それが特徴でもあるんだけど…ほら、こうやって私がキッチンに立っててもリビングの向こうやダイニングテーブルにいる人と話したりできるの」
私はルーの手を離してキッキンのシンクの前に立って、ダイニングテーブルの前で立っているルーに手を振って声をかけた。
「なるほど…。背を向けているよりも周りに目を向けやすくていいですね」
「うん。特に子供がリビングで遊んでるなら…すぐに声かけできるしね」
シンクも高そうなじゃ口だった。手をかざすだけで水が出るタイプだった。
「いいな、こんなお家に住んでみたい」
「マイカの…家は…」
「え?もっとせまーい!背面敷きキッチンだよ。お情けでカウンターがある感じ」
ゲラゲラ笑ってルーに話しかけると、ルーはダイニングテーブルの椅子に座って、テーブルに肘をついて頬に手を当ててこちらをみてきた。
「成程。ではこのように話しながらはできないのですね。…まるで新婚のようです」
「…た、たしかに」
私はエプロンを付けているし、ルーは仕事帰りに見えなくもない。夫を家で待つ新妻といえば、確かにそう見える。
「あ、キッチン以外も見に行こう」
ルーに近寄って手を差し出すと、ルーは手を取って立ち上がった。
「次はどこに行きましょう」
「浴室かな!」
手を繋いで目的の場所を探す。トイレは別にあった。これもセンサーで水が流れるタイプだ。
脱衣所に洗濯機や乾燥機、洗面台があった。この空間だけでも中々広々としている。洗面台には2本歯ブラシが置いてあった。住んでいる人数は2人のようだ。
脱衣所を抜けて扉を開けると浴室が現れた。
「うわ、豪華なお風呂」
浴室も広く、浴槽は背の高い男性でも足が伸ばせるほどの大きさだった。
「ふむ。なかなか広いですね」
ルーはキョロキョロを見渡しながらシャワーに目を向けた。
「あれはなんでしょう」
「あれはシャワーだよ。あのベッドから水が出るの。立ったままでお湯を浴びれるんだ」
「…なるほど…」
「ルーの世界は湯船で全部終わらせるもんね」
「ええ。平民は魔法が使えないのであのように沢山の水は使えませんが…」
「あ、そうなんだ」
ふーんっと思いながらルーの世界のことを思い浮かべた私はふと気になる事を思いついて質問した。
「そういえば、トイレってどんな仕組みなの?水流さなくてもいいって初めびっくりしたんだけど」
あの世界は椅子の座面に穴が空いたような便座に座って済ませると、綿の布で拭いて終わりなのだ。マリアに布をもらってトイレに入って、使ったものは…そう、マリアに返す。恥ずかしくて初めは慣れなかったが、途中洗浄魔法を覚えてからはサッと綺麗にしてから渡すようにして私の心は守られている。
「ああ、あれは…なかに消滅魔法が組み込まれているので流す必要がないのですよ。魔力を持ったものが使えば発動します。消えるものも指定されているので、例え手を入れで消える事はありません」
「へ、へー…。あ、じゃあ平民は?」
「平民達は家の外の共同汚物処理場に運んで後始末していますよ」
「なるほど…。おまる的な感じで捨てるのね。だから街並みは綺麗だったのかぁ。とりあえず魔法がなかったら衛生面で耐えられなかったかもしれない…」
「ふふ。こうしてみるとマイカの世界はかなり…発展してはいますが、水などが無いと大変そうですね」
「そうなのよね。水やガス、電気がないと無理なの」
話しながら手を繋いで浴室から出ると、2階へつながる階段があった。そのまま2階に上がると扉が複数現れた。
「部屋の数も多い…」
2人で扉を開けて中を確認した。子供部屋のような部屋、書斎のような部屋、大きなベッドがある部屋、客室のような部屋があった。
「うーん、子供部屋が用意されてる…って事は、結婚してる夫婦なのかな」
「家の家主がですか?」
「そう。私はこんな家見たことも住んだこともないから…なんで現れてるのかわからないけど」
2階から一階のリビングに移動して、初めに座っていたソファーの場所に戻ってきた。テレビや観葉植物があって内装もモデルルームのようだ。窓も大きくて開放的であった。
もし、ルーが…私の世界にいたら、貴族だし…コレぐらい大きな家に住んでいたのだろうか。
ふとそんな事を考えていると、シュルっと背中の結び目を外された。
「えっ?!」
「家を見ていて思ったのですが、なんだか私たち2人が夫婦になって住んでいる家だと思えてくるんです。仕事が終わったら、妻が出迎えてくれる家」
大きな手で背中を撫でられながら耳元で囁かれた。
「んっ…ちょっと、私もそう…思った…」
「夢の中では…夫婦という事でしょうか」
ルーは耳元から首筋にチュッと音を立てながら唇を落としてきた。
「そ、なのか…な」
「もう私たちは夢の中では一年半、こうして触れ合ってますね」
首筋から肩、腕、手の甲へと唇を落としてルーは最後に指先に口付けながら私に微笑んできた。
「…もう、私今日…というか、さっき?アレクの子供産んでばかりなんだけど?」
「そして寝るときに私をベッドに誘ってくれたでしょう?隣で眠るマイカを抱きしめて…現実の私は生殺しでした。体温に誘われて眠ってしまいましたが。しかし、こうして夢が繋がったので結果的に良かったです…」
手の平に口づけながらルーは目線をこちらに向けている。懇願されているような気分になってきた。
「ぅう…」
ルーをベッドに誘ったは、眠たくてあの時の本能に従ったからだ。誘惑するとかじゃなくて…。
お腹から赤子が産まれてしまったことに、急に寂しくなったからだ。なぜ寂しかったのかあの時はわからなかったが、今はならわかる。
あと2人。いや、もうあと2人なのだ。
私たちのこの時間もあと少しで終わってしまう。
そう思ったら、ルーを求めてしまったのだろう。
「マイカ…そんな顔をしないでください」
私はいつの間にか目に涙を溜めていたようで、ルーは目元の涙を指で掬ってきた。
「だって…もう…すぐって思ったら…」
「マイカ。私も同じ気持ちです。マイカと離れる時間が迫っているのは辛い。だから、まだ泣かないで下さい。あと少しの間一緒にいられるのですから…マイカには笑っていて欲しい」
ルーは私の目元に口付けると、優しく微笑んだ。
「るぅ…今は…何も考えたくない。考えたくなっ…んっむ」
私が涙を流しながらルーを見つめていると、話終わる前に荒々しく唇に口づけされた。
「ふぁん…んっ…んっ」
そして、それからはお互いにお互いを激しく求めあった。
リビングのソファーの上で、私だけ裸で一度。
ダイニングテーブルでそのままもう一度。
お互いに裸になって浴室で一度。
最後に寝室の大きなベッドで三度。
ルーもそんなに精も体力もあるわけではないはずだ。しかし、夢の中だからだろうか。お互いに欲求が止まらなかった。
私達はこの不毛とも言える関係が終わる事実を受け入れつつも、どうにもならない気持ちを埋めるため交じり合い、互いの気持ちを囁き合った。
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