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妊婦には優しく
第2回妊婦なう①(Ell)
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アートの子供を産んでしばらくはのんびりと過ごした。ご機嫌伺いに来ていたアートもあまり顔を出さなくなった。リチェ様とルー、マリアと過ごす日々も中々楽しかった。
時折、妊娠中は遠慮して来なかったリオが[待て]のご褒美が欲しいとか言って現れるようになった。初めはおやつを食べさせたり、頭を撫でたりしていたが物足りなさそうな顔になっていくため、奥様方にお尻でも叩いてもらえと話すと、しばらく来なくなった。夫婦関係がいい方向にすすんでいるのかもしれない。多分だが。
私とルーが2人っきりで話していても、リチェ様とマリアは特に気にしない。夢の中以外では触れ合う事はしないが、近くで寄り添って話す時間もお互いにとってかけがえのない時間だった。
その代わり毎日の夢は、お互いに肌を合わせたくなる日以外は繋げなくなった。こっそりしていた逢瀬がこっそりじゃなくなったのも要因だと思う。
出産後、2週間経った頃にエリオから出産の手筈について一度面会をしたいと連絡があったため、さっそく次の日に会うことになった。
広間のソファーでテーブルを挟んでお互いに座った。エリオに会うのは久しぶりだった。
「お久しぶりです、マイカ様」
「本当久しぶりだよね。あの日の話以来会ってないから…半年以上話してないね。元気にしてた?」
「はい。おかげさまで。我が家も1年後には我が子を抱けるとわかってからはお祭り騒ぎで…正室は子供部屋をあれやこれやと毎日何かしら整えて楽しみにしております」
「ふふ。可愛らしい奥様だね」
私が褒め言葉をいうと、エリオは自分のことのように嬉しそうに微笑んだ。
「あ、それでね。私はいつでも…そう。体は特に問題ないから、エリオが体液を持ってきてくれれば、すぐにでも」
私は守護石から保存瓶を取り出してテーブルの上に置くと、エリオは瓶を手を伸ばして受け取り上着のポケットに入れた。
「ありがとうございます。では早速、採取でき次第お届けいたします」
コクリと頷きて私に微笑んでエリオは広間から去って行った。
その日の夜にはエリオから瓶が届いた。真っ白な液体だ。
しかし、もう怖くない。ベタベタではないのだ。
今回は瓶に石を入れるところまではルーとリチェ様と一緒に行い、石を入れるのは1人でこっそり作業した。
そして、リチェ様にお腹を確認してもらいエリオに子供が宿った事を連絡した。
すると次の日に、ホクホクと嬉しそうな顔をしたエリオが現れて奥様から預かった綺麗なレース編みのブランケットを渡された。2人が楽しみしている様子がわかって、私も嬉しくなった。
それから、エリオは毎日屋敷に帰る前に私に会いにきた。同じ時間に現れるので、此方ものんびりと過ごして来る前は準備を整えてと段取りよく交流していた。
月日が立って、安定期に入った。
大きくなった私のお腹を見て、エリオはただただ嬉しそうに微笑んでいるだけだった。触ってみるかと聞いても、触ろうとしない。特に触りたがってる様子もないため、無理やり触らせようとは思わなかった。
その代わり子供に語りかけるように、屋敷の中での出来事、奥様方の話、そしてエリオ自身の話を私にしてくれたのだ。
エリオは本当に奥様を愛しているようで、私との距離も一線を引いている。その様子にとても好感が持てた。
お腹が大きくなるたびに、奥様からの贈り物も増えてきた。臨月の頃には出来上がったおくるみを渡されて、産まれたらこれにくるんで欲しいと要望もあったぐらいだ。
そして子育て経験がある私に、エリオを通して子供の接し方を質問して来るのだ。
会いにきてもいいと伝えても、奥様は一度も来なかった。子供には興味はもてても、愛する夫の子供を宿してる私の姿は見たくないのかもしれない。そう思って無理には誘わなかった。
エリオの子は少しおとなしい子で、胎動もそこまで激しくない。時折エリオの声を聞いて動き回ることもあるが、父親に会えて嬉しがってるのだろうと微笑ましくなるほどだ。
そんな可愛い存在も、ついにお腹から卒業する日がきた。
時折、妊娠中は遠慮して来なかったリオが[待て]のご褒美が欲しいとか言って現れるようになった。初めはおやつを食べさせたり、頭を撫でたりしていたが物足りなさそうな顔になっていくため、奥様方にお尻でも叩いてもらえと話すと、しばらく来なくなった。夫婦関係がいい方向にすすんでいるのかもしれない。多分だが。
私とルーが2人っきりで話していても、リチェ様とマリアは特に気にしない。夢の中以外では触れ合う事はしないが、近くで寄り添って話す時間もお互いにとってかけがえのない時間だった。
その代わり毎日の夢は、お互いに肌を合わせたくなる日以外は繋げなくなった。こっそりしていた逢瀬がこっそりじゃなくなったのも要因だと思う。
出産後、2週間経った頃にエリオから出産の手筈について一度面会をしたいと連絡があったため、さっそく次の日に会うことになった。
広間のソファーでテーブルを挟んでお互いに座った。エリオに会うのは久しぶりだった。
「お久しぶりです、マイカ様」
「本当久しぶりだよね。あの日の話以来会ってないから…半年以上話してないね。元気にしてた?」
「はい。おかげさまで。我が家も1年後には我が子を抱けるとわかってからはお祭り騒ぎで…正室は子供部屋をあれやこれやと毎日何かしら整えて楽しみにしております」
「ふふ。可愛らしい奥様だね」
私が褒め言葉をいうと、エリオは自分のことのように嬉しそうに微笑んだ。
「あ、それでね。私はいつでも…そう。体は特に問題ないから、エリオが体液を持ってきてくれれば、すぐにでも」
私は守護石から保存瓶を取り出してテーブルの上に置くと、エリオは瓶を手を伸ばして受け取り上着のポケットに入れた。
「ありがとうございます。では早速、採取でき次第お届けいたします」
コクリと頷きて私に微笑んでエリオは広間から去って行った。
その日の夜にはエリオから瓶が届いた。真っ白な液体だ。
しかし、もう怖くない。ベタベタではないのだ。
今回は瓶に石を入れるところまではルーとリチェ様と一緒に行い、石を入れるのは1人でこっそり作業した。
そして、リチェ様にお腹を確認してもらいエリオに子供が宿った事を連絡した。
すると次の日に、ホクホクと嬉しそうな顔をしたエリオが現れて奥様から預かった綺麗なレース編みのブランケットを渡された。2人が楽しみしている様子がわかって、私も嬉しくなった。
それから、エリオは毎日屋敷に帰る前に私に会いにきた。同じ時間に現れるので、此方ものんびりと過ごして来る前は準備を整えてと段取りよく交流していた。
月日が立って、安定期に入った。
大きくなった私のお腹を見て、エリオはただただ嬉しそうに微笑んでいるだけだった。触ってみるかと聞いても、触ろうとしない。特に触りたがってる様子もないため、無理やり触らせようとは思わなかった。
その代わり子供に語りかけるように、屋敷の中での出来事、奥様方の話、そしてエリオ自身の話を私にしてくれたのだ。
エリオは本当に奥様を愛しているようで、私との距離も一線を引いている。その様子にとても好感が持てた。
お腹が大きくなるたびに、奥様からの贈り物も増えてきた。臨月の頃には出来上がったおくるみを渡されて、産まれたらこれにくるんで欲しいと要望もあったぐらいだ。
そして子育て経験がある私に、エリオを通して子供の接し方を質問して来るのだ。
会いにきてもいいと伝えても、奥様は一度も来なかった。子供には興味はもてても、愛する夫の子供を宿してる私の姿は見たくないのかもしれない。そう思って無理には誘わなかった。
エリオの子は少しおとなしい子で、胎動もそこまで激しくない。時折エリオの声を聞いて動き回ることもあるが、父親に会えて嬉しがってるのだろうと微笑ましくなるほどだ。
そんな可愛い存在も、ついにお腹から卒業する日がきた。
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