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いざ、フィンなんとか王国へ
私が決めたのは(α)
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「私はやっぱり…夫と子供が1番なの…。でも、あの夢の中の私もきっと私…。だけど…」
「だけど?」
「子供は産む。でも、現実では…できない。それに、夢の中でエッチするのも……ルー以外は無理…」
私の声はだんだん小さくなっていった。最後の言葉はこの女神に届いただろうか。リチェ様に恐る恐る目線を向けると、リチェ様はにっこり微笑んでいた。
「マイカさんの愛する人だけ、という気持ちはとても素晴らしい。ルイスも貴方の愛する人になってしまったのですね。しかし、現実の夫への操をたてたい。しかしこの世界に来て好意を抱いたルイスへも、この世界での操をたてたい。と、いうことですね」
「うん…優柔不断って思う?」
「私は思いませんよ」
「うん…」
「ではマイカさんの夢の記憶はどうしますか?」
「ルーだけ覚えておきたい」
「なるほど。では、私から提案です。私の世界にいられるのは3年。そして、それはルイスと一緒にいられる時間もそれだけしかないという事です」
「うん」
「ですので、先程の提示したお話をルイスを対象にして考えてみては?という提案です」
「えっと、つまり?」
リチェ様の話がよく掴めなくて、私は首を傾げて話しかけた。
「では質問です。ルイスと夢の中での性行は覚えていたいのですよね?では3年の間、夢の中でルイスとだけは恋人、夫婦のように関係を築く。心の触れ合いも肌の触れ合いもできる。そういった事はしたくはないですか?」
「え!?」
「だって3年しかありませんよ?」
「でも。子供を妊娠してる時があるでしょう?その…肌を重ねる…のは…」
「夢は精神世界。もちろん夢の世界ではお腹は大きくありませんし、現実の胎児にも影響はないよう手配しますよ」
「う…うーん」
「では、どうですか?ルイスと夢の中だけでも夫婦のように過ごしたくないですか?」
私は俯きながら考えた。夢の中だけ…口づけたり、抱きしめ合ったり、愛しあったり…過ごしてみたい。でもふと考えたことも含めてリチェ様に伝えた。
「過ごしたい…。でも、それって精神的浮気な気がする」
「ふふ。そう言うと思ったので、もう一つ質問です。元の世界に帰った時、ここの記憶はどうしますか?」
「えっ」
「マイカさんが望むなら、ルイスと夢で過ごしたことも私の力で消せますよ。もちろんここの世界のこと全て」
「すべて…」
「それでもいいと言うならば、ルイスに思い出を残して去る事もできるのでは?」
「でも。ルーは覚えてて、私は忘れてるんでしょう?それって…とても…残酷じゃない?ルーに対して」
「ではルイスがそれを望んだら、そうしますか?」
うぐっと私は言葉に詰まった。まだ恋なのか愛なのかわからないけれど、私の心は夫に向けるように彼に気持ちを向けたいとは思っている。ここが現実ではないと思ったことで芽生えてしまった気持ち。気持ちを育てる育てないにしろ3年しかないのか…。うーっと唸りながら私は言った。
「ルーが…私と思い出が欲しいなら…それもいいけど。もし、ルーがそれを選択したら…ルーとの思い出を私も忘れたく…ないかも」
「元の世界で苦しくなりません?」
「大丈夫…たぶん。元彼か…何かだと思うことにする」
「ふふふ。まぁ、私はどっちでもいいんです。記憶の件はまた考えが変わったら教えてくだいね」
「わかった」
私はコクンっと頷いた。元の世界の夫に会ったとき、私はどんな顔で会うのだろう。本当に、いいのだろうか。悶々とするけれど、でも、ルーに芽生えた気持ちも大切にしたかった。
「ではでは。話をまとめますよ?」
「うん」
「子作り方法は当初の予定通り。夢の記憶はルイス以外消す。そして、夢の中でルイスと夫婦のように過ごす」
「うん。あの質問なんだけど…」
「はい?何か違いました?」
「いや、それはあってるの。あのルーと現実で抱きしめあったりキスしたら…どう思う?」
「おそらく、そのまま襲われますね」
「うぐっ」
「ルイスも男ですよ?それに、彼も夢だから止めることができる衝動というものがあると思いますしね」
「えとあと、順番なんだけど」
私はぽりぽりと頬をかいてリチェ様を見つめた。
「面談の順番でもいいかなって思って」
「なるほど。理由を聞いても?」
リチェ様はテーブルのティーセットを指を鳴らして消すと、世界に渡る前に作っていた契約書をどこからか取り出してテーブルに広げていた。
「えと、アートは私への好意は聖女としてという目線があると思うの。本人は違うって思ってても、多分根っこは王子様なんだと思うの。国のためなら何でもできる人。だからこそ、1番初めに子供が必要だと思ったの。アート、多分1番以外だと暴走しそうだし」
「ふむふむ」
「エリオは、私のことを以前のルーのように少し神格化しちゃってて。そんな私と抱き合ったことで、神格化した私との行為に溺れてるだけだと思うんだ。だから早めに子供を授けて、奥さんと子育てしだしたら、きっと一時的なあの欲望はなくなると思うの。美味しいけど、なくても生きて行ける。お菓子みたいな存在なんだと思うから」
「なるほど」
「アレクは、そうね。あの家は少し子供を育てる環境かどうか心配だからって理由でリオより先にって感じ」
「アレクは性格的な問題ではないと言うことですね」
「うん。次にリオは…犬になる!ってなってるから大丈夫だとは思うけど、あの心が落ち着いたまま奥様方との関係を改善しておいて欲しいから下から二番目にした感じかな」
「ダリオンは性格と環境ですか」
「最後にルーは…今奥さんと関係を修復し始めるみたいだし、あと…最後…まで接する日が欲しいから…かな」
「はい、わかりました。マイカさんの気持ちの通りに」
ニコッと笑ったリチェ様は契約書に書き足していたようで、内容確認のために私に差し出してきた。私は内容をみて間違いがないことを確認すると、一つ頷いてリチェ様に契約書を返した。
「では、今日のうちに発表しますか?あと2回彼らと交流ありましたけど」
「うん。もう今から起きたら伝えようかな。5人が納得するなら、子供も…明日からでもいいよ」
「では、それは真っ黒達に気持ちを聞いてみましょうか」
「うん」
「ではそろそろ、目覚めましょう」
リチェ様がそう言うと、私はふわっと意識を飛ばした。
「人間とは複雑です。マイカさんが私の世界で楽しく暮らせるならば、私は何でもしましょう」
リチェ様は私が消えた空間でポツリと呟いた。
「だけど?」
「子供は産む。でも、現実では…できない。それに、夢の中でエッチするのも……ルー以外は無理…」
私の声はだんだん小さくなっていった。最後の言葉はこの女神に届いただろうか。リチェ様に恐る恐る目線を向けると、リチェ様はにっこり微笑んでいた。
「マイカさんの愛する人だけ、という気持ちはとても素晴らしい。ルイスも貴方の愛する人になってしまったのですね。しかし、現実の夫への操をたてたい。しかしこの世界に来て好意を抱いたルイスへも、この世界での操をたてたい。と、いうことですね」
「うん…優柔不断って思う?」
「私は思いませんよ」
「うん…」
「ではマイカさんの夢の記憶はどうしますか?」
「ルーだけ覚えておきたい」
「なるほど。では、私から提案です。私の世界にいられるのは3年。そして、それはルイスと一緒にいられる時間もそれだけしかないという事です」
「うん」
「ですので、先程の提示したお話をルイスを対象にして考えてみては?という提案です」
「えっと、つまり?」
リチェ様の話がよく掴めなくて、私は首を傾げて話しかけた。
「では質問です。ルイスと夢の中での性行は覚えていたいのですよね?では3年の間、夢の中でルイスとだけは恋人、夫婦のように関係を築く。心の触れ合いも肌の触れ合いもできる。そういった事はしたくはないですか?」
「え!?」
「だって3年しかありませんよ?」
「でも。子供を妊娠してる時があるでしょう?その…肌を重ねる…のは…」
「夢は精神世界。もちろん夢の世界ではお腹は大きくありませんし、現実の胎児にも影響はないよう手配しますよ」
「う…うーん」
「では、どうですか?ルイスと夢の中だけでも夫婦のように過ごしたくないですか?」
私は俯きながら考えた。夢の中だけ…口づけたり、抱きしめ合ったり、愛しあったり…過ごしてみたい。でもふと考えたことも含めてリチェ様に伝えた。
「過ごしたい…。でも、それって精神的浮気な気がする」
「ふふ。そう言うと思ったので、もう一つ質問です。元の世界に帰った時、ここの記憶はどうしますか?」
「えっ」
「マイカさんが望むなら、ルイスと夢で過ごしたことも私の力で消せますよ。もちろんここの世界のこと全て」
「すべて…」
「それでもいいと言うならば、ルイスに思い出を残して去る事もできるのでは?」
「でも。ルーは覚えてて、私は忘れてるんでしょう?それって…とても…残酷じゃない?ルーに対して」
「ではルイスがそれを望んだら、そうしますか?」
うぐっと私は言葉に詰まった。まだ恋なのか愛なのかわからないけれど、私の心は夫に向けるように彼に気持ちを向けたいとは思っている。ここが現実ではないと思ったことで芽生えてしまった気持ち。気持ちを育てる育てないにしろ3年しかないのか…。うーっと唸りながら私は言った。
「ルーが…私と思い出が欲しいなら…それもいいけど。もし、ルーがそれを選択したら…ルーとの思い出を私も忘れたく…ないかも」
「元の世界で苦しくなりません?」
「大丈夫…たぶん。元彼か…何かだと思うことにする」
「ふふふ。まぁ、私はどっちでもいいんです。記憶の件はまた考えが変わったら教えてくだいね」
「わかった」
私はコクンっと頷いた。元の世界の夫に会ったとき、私はどんな顔で会うのだろう。本当に、いいのだろうか。悶々とするけれど、でも、ルーに芽生えた気持ちも大切にしたかった。
「ではでは。話をまとめますよ?」
「うん」
「子作り方法は当初の予定通り。夢の記憶はルイス以外消す。そして、夢の中でルイスと夫婦のように過ごす」
「うん。あの質問なんだけど…」
「はい?何か違いました?」
「いや、それはあってるの。あのルーと現実で抱きしめあったりキスしたら…どう思う?」
「おそらく、そのまま襲われますね」
「うぐっ」
「ルイスも男ですよ?それに、彼も夢だから止めることができる衝動というものがあると思いますしね」
「えとあと、順番なんだけど」
私はぽりぽりと頬をかいてリチェ様を見つめた。
「面談の順番でもいいかなって思って」
「なるほど。理由を聞いても?」
リチェ様はテーブルのティーセットを指を鳴らして消すと、世界に渡る前に作っていた契約書をどこからか取り出してテーブルに広げていた。
「えと、アートは私への好意は聖女としてという目線があると思うの。本人は違うって思ってても、多分根っこは王子様なんだと思うの。国のためなら何でもできる人。だからこそ、1番初めに子供が必要だと思ったの。アート、多分1番以外だと暴走しそうだし」
「ふむふむ」
「エリオは、私のことを以前のルーのように少し神格化しちゃってて。そんな私と抱き合ったことで、神格化した私との行為に溺れてるだけだと思うんだ。だから早めに子供を授けて、奥さんと子育てしだしたら、きっと一時的なあの欲望はなくなると思うの。美味しいけど、なくても生きて行ける。お菓子みたいな存在なんだと思うから」
「なるほど」
「アレクは、そうね。あの家は少し子供を育てる環境かどうか心配だからって理由でリオより先にって感じ」
「アレクは性格的な問題ではないと言うことですね」
「うん。次にリオは…犬になる!ってなってるから大丈夫だとは思うけど、あの心が落ち着いたまま奥様方との関係を改善しておいて欲しいから下から二番目にした感じかな」
「ダリオンは性格と環境ですか」
「最後にルーは…今奥さんと関係を修復し始めるみたいだし、あと…最後…まで接する日が欲しいから…かな」
「はい、わかりました。マイカさんの気持ちの通りに」
ニコッと笑ったリチェ様は契約書に書き足していたようで、内容確認のために私に差し出してきた。私は内容をみて間違いがないことを確認すると、一つ頷いてリチェ様に契約書を返した。
「では、今日のうちに発表しますか?あと2回彼らと交流ありましたけど」
「うん。もう今から起きたら伝えようかな。5人が納得するなら、子供も…明日からでもいいよ」
「では、それは真っ黒達に気持ちを聞いてみましょうか」
「うん」
「ではそろそろ、目覚めましょう」
リチェ様がそう言うと、私はふわっと意識を飛ばした。
「人間とは複雑です。マイカさんが私の世界で楽しく暮らせるならば、私は何でもしましょう」
リチェ様は私が消えた空間でポツリと呟いた。
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