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旅立ちの準備
女神
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真っ白な空間にいる。見渡す限り白だ。何か他の色はないかと歩き出すと、先の方に何か光るものが見えてきた。
「なんだろ。出口か何かな」
進めば進むほど光は大きくなる。真っ白な空間で光なんて見えにくいはずなのに、なぜかその光はやけに目立っている。
「うわっ!」
近づくほどに光がはっきり認識でき、光に触れられそうなぐらい近寄ると茶色い木でできた素朴なドアが目の前に突然現れた。やっぱり出口なのか?ドアを開ければ何か変化があるのだろうかと不思議に思いながら、丸いドアノブを捻った。
「お願いします!どうか子供を産んでください!」
ドアを開けて目の前に突然現れたギリシャ神話に出てくる女神のような格好をした金髪碧眼の女性が大号泣しながら私に抱きついてきた。
「え、いや。ちょ。な、なに?」
「子供を産んでくださいぃぃぃ」
「あ、え。えと。一応息子が1人いるから出産はしたことあるよ」
「え?!」
「え?」
抱きついたまま号泣していた女性は目をまんまるに見開いて私を見た。
「じゃあ、あと5人産んでください!」
「いや、そもそもあなた誰ですか…。何故初対面の方にそんなこと言われなきゃ、ぐあっ」
「私の世界が滅んじゃうんですぅぅ!助けてくださいぃぃい!!!」
質問を言い終える前に女性は私の襟元を掴んできた。正直言って首が苦しい。離して欲しくて目線を女性に向け、相手の左手をパシパシ叩くが離す気配がない。ぱっと見美人に見えるが涙と鼻水でぐしゃぐしゃのままこちらの状況に気がついてないようだ。
「くっ、くるし…はな、し」
「助けてくださいぃぃ」
「だから、くるしっ…」
「存亡の危機なんですぅぅ」
「だー!!離してってば!」
「きゃっ!」
苦しさに耐えきれなくなり、死にたくない一心で相手を力一杯突き飛ばした。
「ぜーはー、ぜーはー。はぁ、苦しかった。死ぬかと思った」
「ご、ごめんなさい。私そんなつもりじゃ」
「そんなつもりじゃなくても、首絞めて殺しかけてくるとかやめてよ」
「ひー!ごめんなさいごめんなさい」
「はぁ。正直言って相手したくないんだけど」
「そんな!せっかく夢が繋がったのに、そんなご無体な!」
「夢が繋がった?」
「はい!私が夢を渡ってお邪魔してるような感じです」
女性はえへへと少し照れ笑いをしながら、服についた埃を払って立ち上がった。
「とにかく、私の話を聞いて下さいぃ!もう、何十人もの女性にお願いして回ってるのですがなかなか良い返事をいただけなくてて。本当に困ってるんです」
どこからか取り出した白いハンカチで涙と鼻水を拭きながら、困った顔でこちらを見つめてきた。
「あ!そうだ。お茶でも飲みながらお話を聞いてください」
「いや、まだ聞くとは言ってないんだけど」
戸惑っているこちらのことはガン無視して、女性はパチンと指を鳴らした。すると真っ白な空間からテーブルに椅子、ティーセットが現れた。
「ささっ。どうぞ」
ニコッと無害そうな笑顔を向けながら女性は椅子に座ると、反対側に座るように促してきた。あんまり乗り気はしないが、夢が覚めるには話を聞かねば終わらない気がしたため、渋々椅子に座った。
湯気が出ている紅茶のカップを手に取って一口飲む。少しだけ落ち着くことができた。
「で?話の前にあなたはそもそも何なの?」
カチャッと少し音を立ててソーサーにカップを下ろし、相手を見つめた。先ほどまでぐしゃぐしゃだった顔は綺麗になり、ぱっと見美人はよく見ると物凄く整った顔をしている。腰元まである金髪は緩やかなウェーブがかかり、絵画にある美の女神のようだ。目はぱっちり二重で少し垂れていて、魅力的だ。第一印象が迷惑なやつと思ってしまったため、この神秘的な美しさを持つ女性に対して好意はまだ持てなかった。
「私は女神です。第8世界。あなたが住んでいる世界とは違う世界を管理しています」
「…ふーん」
「ふーんって、驚かないのですか?」
「いやなんか。雰囲気的に女神的な感じはしたから、なるほど納得って思って」
「たしかにこの服装はそちらの世界の文化を参考にして女神として認識しやすいようにしています。でも今までの女性は私の姿を見た瞬間から敬意を持った態度だったのですが、貴方は少し違いますね。なぜだろう」
「そりゃ。会ってすぐに涙と鼻水まみれにされて、首しめられたから好印象なんて持たないよ」
「それもそうですね!もう断られすぎて精神的に病んでいたのです。本当に申し訳ありません。こうしてお話を聞いてくださり、ありがとうございます」
またどこからか取り出した色とりどりのマカロンが乗ったお皿をテーブルに並べ、ニコニコしている様子からこちらの態度に特に気にしてないようだ。
「聞くとは一言も言ってないけど…聞かないと帰してもらえなさそうね。それで、話って?子供5人とか正直言って面倒な感じしかないけど」
「実はですね…」
女神様は深刻そうな顔をしながら経緯を話してきた。
「なんだろ。出口か何かな」
進めば進むほど光は大きくなる。真っ白な空間で光なんて見えにくいはずなのに、なぜかその光はやけに目立っている。
「うわっ!」
近づくほどに光がはっきり認識でき、光に触れられそうなぐらい近寄ると茶色い木でできた素朴なドアが目の前に突然現れた。やっぱり出口なのか?ドアを開ければ何か変化があるのだろうかと不思議に思いながら、丸いドアノブを捻った。
「お願いします!どうか子供を産んでください!」
ドアを開けて目の前に突然現れたギリシャ神話に出てくる女神のような格好をした金髪碧眼の女性が大号泣しながら私に抱きついてきた。
「え、いや。ちょ。な、なに?」
「子供を産んでくださいぃぃぃ」
「あ、え。えと。一応息子が1人いるから出産はしたことあるよ」
「え?!」
「え?」
抱きついたまま号泣していた女性は目をまんまるに見開いて私を見た。
「じゃあ、あと5人産んでください!」
「いや、そもそもあなた誰ですか…。何故初対面の方にそんなこと言われなきゃ、ぐあっ」
「私の世界が滅んじゃうんですぅぅ!助けてくださいぃぃい!!!」
質問を言い終える前に女性は私の襟元を掴んできた。正直言って首が苦しい。離して欲しくて目線を女性に向け、相手の左手をパシパシ叩くが離す気配がない。ぱっと見美人に見えるが涙と鼻水でぐしゃぐしゃのままこちらの状況に気がついてないようだ。
「くっ、くるし…はな、し」
「助けてくださいぃぃ」
「だから、くるしっ…」
「存亡の危機なんですぅぅ」
「だー!!離してってば!」
「きゃっ!」
苦しさに耐えきれなくなり、死にたくない一心で相手を力一杯突き飛ばした。
「ぜーはー、ぜーはー。はぁ、苦しかった。死ぬかと思った」
「ご、ごめんなさい。私そんなつもりじゃ」
「そんなつもりじゃなくても、首絞めて殺しかけてくるとかやめてよ」
「ひー!ごめんなさいごめんなさい」
「はぁ。正直言って相手したくないんだけど」
「そんな!せっかく夢が繋がったのに、そんなご無体な!」
「夢が繋がった?」
「はい!私が夢を渡ってお邪魔してるような感じです」
女性はえへへと少し照れ笑いをしながら、服についた埃を払って立ち上がった。
「とにかく、私の話を聞いて下さいぃ!もう、何十人もの女性にお願いして回ってるのですがなかなか良い返事をいただけなくてて。本当に困ってるんです」
どこからか取り出した白いハンカチで涙と鼻水を拭きながら、困った顔でこちらを見つめてきた。
「あ!そうだ。お茶でも飲みながらお話を聞いてください」
「いや、まだ聞くとは言ってないんだけど」
戸惑っているこちらのことはガン無視して、女性はパチンと指を鳴らした。すると真っ白な空間からテーブルに椅子、ティーセットが現れた。
「ささっ。どうぞ」
ニコッと無害そうな笑顔を向けながら女性は椅子に座ると、反対側に座るように促してきた。あんまり乗り気はしないが、夢が覚めるには話を聞かねば終わらない気がしたため、渋々椅子に座った。
湯気が出ている紅茶のカップを手に取って一口飲む。少しだけ落ち着くことができた。
「で?話の前にあなたはそもそも何なの?」
カチャッと少し音を立ててソーサーにカップを下ろし、相手を見つめた。先ほどまでぐしゃぐしゃだった顔は綺麗になり、ぱっと見美人はよく見ると物凄く整った顔をしている。腰元まである金髪は緩やかなウェーブがかかり、絵画にある美の女神のようだ。目はぱっちり二重で少し垂れていて、魅力的だ。第一印象が迷惑なやつと思ってしまったため、この神秘的な美しさを持つ女性に対して好意はまだ持てなかった。
「私は女神です。第8世界。あなたが住んでいる世界とは違う世界を管理しています」
「…ふーん」
「ふーんって、驚かないのですか?」
「いやなんか。雰囲気的に女神的な感じはしたから、なるほど納得って思って」
「たしかにこの服装はそちらの世界の文化を参考にして女神として認識しやすいようにしています。でも今までの女性は私の姿を見た瞬間から敬意を持った態度だったのですが、貴方は少し違いますね。なぜだろう」
「そりゃ。会ってすぐに涙と鼻水まみれにされて、首しめられたから好印象なんて持たないよ」
「それもそうですね!もう断られすぎて精神的に病んでいたのです。本当に申し訳ありません。こうしてお話を聞いてくださり、ありがとうございます」
またどこからか取り出した色とりどりのマカロンが乗ったお皿をテーブルに並べ、ニコニコしている様子からこちらの態度に特に気にしてないようだ。
「聞くとは一言も言ってないけど…聞かないと帰してもらえなさそうね。それで、話って?子供5人とか正直言って面倒な感じしかないけど」
「実はですね…」
女神様は深刻そうな顔をしながら経緯を話してきた。
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