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魔道具研究の日々
実験実験実験ー!
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「結果をまとめると…。保存魔法をかけた薔薇はルイスさんだと5本。チャーリーさんぐらいでも3本は必要。ジャムや砂糖漬けだと、ジャムなら大さじ5、砂糖漬けだと花びらを10枚以上か…」
「それでも効果は3時間だけなのも、少し辛いね」
「そうだな」
「それに保存魔法をかけても、正直花単体で持ち帰って咲き続けるかもわからないよね…。多分大丈夫だとは思うけども…」
「激しく運動してる時の体に薔薇の冠をつけてるのも滑稽だし、男性には受け入れ難いだろうしな」
僕達は結果を見つめてウーンっと唸りながらジャムが入った瓶と砂糖漬けが入った瓶、保存魔法がかかった薔薇5本をテーブルの上に並べて話し合いをしていた。
中和としたの効果は現れたが、加工については少しばかり使い勝手が悪かった。
甘みが苦手な人もいるだろうし、男性も女性も使うと考えると男性向けではないものもあったからだ。
2人でうーんうーんっと悩んでいると部屋の扉をコンコンと叩く音がした。オリーが声をかけると、扉開けて入ってきたのはルイスさんだった。
「今日は実験はいいのか?」
「ああ。そうですね。一通り試したかった事は試せたので…。今はアーシェと今回の実験結果から次どうするべきかを悩んでました」
「なるほどな」
ルイスさんは扉を閉めて部屋に入ると向かい側のソファーに座って唸っている僕達をじっと眺めてきた。
「で、何に悩んでいるんだ?」
「少しばかり使い勝手が悪いというか…。男性向けではないなって話で…」
「…ふむ」
僕が返答するとルイスさんは顎に手を当てて何かを考え始めた。僕はその様子をぼんやりと眺めてから、また頭の中でどうするべきかを考えていると、ルイスさんがポンっと手を叩いて話しかけてきた。
「一つに絞ることで難しく考えてしまってるのかもしれないぞ。例えば二つ併用するとかな。花単体であれば男性も確かにきおくれするだろうが、装飾品としてなら問題ないだろう」
「装飾品…」
「マイカと夢の世界を歩いている時に色々なものを見たが、花びらを使っている…〈しいる〉というものがあったな」
「〈しいる〉?」
「ああ。花びらを特殊な液体で保存して、それを貼り付けて使うものだったかな。それをブローチや耳飾りに付けたりすることもできると聞いた気がする。何か透明な液体を使っている様子だったが、マイカ自身も詳しくは知らないと言っていたからそこまでしか分からないがな」
「つまり花を何かで覆って枯れないようにし、保存しているということですね。なるほど…」
「魔石に埋め込む的な感じと同じかな。そういえばそれは試してなかったよね」
僕達は同時に「ああ」と声を出すと、オリーは収納から透明な魔石を取り出した。僕は保存魔法がかかった薔薇を手に取ってオリーに手渡すと、オリーは花びらを一枚摘んだ。形状記憶の魔法の応用で、一旦魔石の形状を魔法で歪ませてからその中に花びらを一枚押し込むと、元の形に戻した。
魔石の大きさは花びらよりも小さかったが、埋め込まれた花びらは形状が元に戻るのと同時に大きさも変わり、真珠ぐらいの大きさの魔石に花びらが一つ埋め込まれた状態になった。
オリーは無言でそれをルイスさんに手渡すと、ルイスさんは受け取って出来上がった石を面白そうな顔で眺めていた。その間に魔力色を確認する魔道具をオリーは収納から取り出してルイスさんの魔力色を確認し始めた。
「花びら一つだけど、意外にも単体5本と同じぐらいの効果があるね」
「そうだな。だが……持続時間は1番短いようだな。父上、もう一つ作るので同時に砂糖漬けを一つ食べてください」
「わかった」
15分ほどで効果は薄れてしまい、すぐに色合いが戻ってしまった。オリーはもう一つ同じものを作成するとすかさずルイスさんに手渡した。ルイスさんは持っていたものと交換するように新しい石を受け取るとすぐに瓶から砂糖漬けを一枚取り出して口に含んだ。
「なるほど。一枚で30分か」
「最低でも2時間は欲しいよね…」
「そうだな。女性を悦ばせることを考えれば時間は長い方が良いだろうな」
3人で結果を見ながらそれぞれに言葉を紡ぐと、オリーはすぐにまたもう一つの石を作った。ルイスさんは同じように受け取って花びらを2枚食べて、僕は使い終わった魔石をテーブルに並べた。
単純作業を何度か繰り返すうちに、花びらを3枚食べれば1時間保つことがわかった。2時間の場合は最低でも6枚必要という結果に終わった。
次の日はジャムの場合はどうなるかを試し、一度使われた石は使いまわせるのかを試すことになった。
ルイスさんは根気よく付き合ってくれて、僕達が納得できる結果が得られたのは1週間後だった。
僕達は予定よりも滞在期間を伸ばしてフィレント王国で研究に没頭していた。
「それでも効果は3時間だけなのも、少し辛いね」
「そうだな」
「それに保存魔法をかけても、正直花単体で持ち帰って咲き続けるかもわからないよね…。多分大丈夫だとは思うけども…」
「激しく運動してる時の体に薔薇の冠をつけてるのも滑稽だし、男性には受け入れ難いだろうしな」
僕達は結果を見つめてウーンっと唸りながらジャムが入った瓶と砂糖漬けが入った瓶、保存魔法がかかった薔薇5本をテーブルの上に並べて話し合いをしていた。
中和としたの効果は現れたが、加工については少しばかり使い勝手が悪かった。
甘みが苦手な人もいるだろうし、男性も女性も使うと考えると男性向けではないものもあったからだ。
2人でうーんうーんっと悩んでいると部屋の扉をコンコンと叩く音がした。オリーが声をかけると、扉開けて入ってきたのはルイスさんだった。
「今日は実験はいいのか?」
「ああ。そうですね。一通り試したかった事は試せたので…。今はアーシェと今回の実験結果から次どうするべきかを悩んでました」
「なるほどな」
ルイスさんは扉を閉めて部屋に入ると向かい側のソファーに座って唸っている僕達をじっと眺めてきた。
「で、何に悩んでいるんだ?」
「少しばかり使い勝手が悪いというか…。男性向けではないなって話で…」
「…ふむ」
僕が返答するとルイスさんは顎に手を当てて何かを考え始めた。僕はその様子をぼんやりと眺めてから、また頭の中でどうするべきかを考えていると、ルイスさんがポンっと手を叩いて話しかけてきた。
「一つに絞ることで難しく考えてしまってるのかもしれないぞ。例えば二つ併用するとかな。花単体であれば男性も確かにきおくれするだろうが、装飾品としてなら問題ないだろう」
「装飾品…」
「マイカと夢の世界を歩いている時に色々なものを見たが、花びらを使っている…〈しいる〉というものがあったな」
「〈しいる〉?」
「ああ。花びらを特殊な液体で保存して、それを貼り付けて使うものだったかな。それをブローチや耳飾りに付けたりすることもできると聞いた気がする。何か透明な液体を使っている様子だったが、マイカ自身も詳しくは知らないと言っていたからそこまでしか分からないがな」
「つまり花を何かで覆って枯れないようにし、保存しているということですね。なるほど…」
「魔石に埋め込む的な感じと同じかな。そういえばそれは試してなかったよね」
僕達は同時に「ああ」と声を出すと、オリーは収納から透明な魔石を取り出した。僕は保存魔法がかかった薔薇を手に取ってオリーに手渡すと、オリーは花びらを一枚摘んだ。形状記憶の魔法の応用で、一旦魔石の形状を魔法で歪ませてからその中に花びらを一枚押し込むと、元の形に戻した。
魔石の大きさは花びらよりも小さかったが、埋め込まれた花びらは形状が元に戻るのと同時に大きさも変わり、真珠ぐらいの大きさの魔石に花びらが一つ埋め込まれた状態になった。
オリーは無言でそれをルイスさんに手渡すと、ルイスさんは受け取って出来上がった石を面白そうな顔で眺めていた。その間に魔力色を確認する魔道具をオリーは収納から取り出してルイスさんの魔力色を確認し始めた。
「花びら一つだけど、意外にも単体5本と同じぐらいの効果があるね」
「そうだな。だが……持続時間は1番短いようだな。父上、もう一つ作るので同時に砂糖漬けを一つ食べてください」
「わかった」
15分ほどで効果は薄れてしまい、すぐに色合いが戻ってしまった。オリーはもう一つ同じものを作成するとすかさずルイスさんに手渡した。ルイスさんは持っていたものと交換するように新しい石を受け取るとすぐに瓶から砂糖漬けを一枚取り出して口に含んだ。
「なるほど。一枚で30分か」
「最低でも2時間は欲しいよね…」
「そうだな。女性を悦ばせることを考えれば時間は長い方が良いだろうな」
3人で結果を見ながらそれぞれに言葉を紡ぐと、オリーはすぐにまたもう一つの石を作った。ルイスさんは同じように受け取って花びらを2枚食べて、僕は使い終わった魔石をテーブルに並べた。
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次の日はジャムの場合はどうなるかを試し、一度使われた石は使いまわせるのかを試すことになった。
ルイスさんは根気よく付き合ってくれて、僕達が納得できる結果が得られたのは1週間後だった。
僕達は予定よりも滞在期間を伸ばしてフィレント王国で研究に没頭していた。
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