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魔道具研究の日々
でも中和ってどうするの?
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あの後いつものように夜を過ごしたが、毎日していたベッドの上での運動はしなかった。なぜなら何もせず、2人で抱きしめあってベッドの中にいるだけで全てが幸せだったからだ。
同性同士の場合、どちらか一方が別の男性や女性と体の関係を結んで産んでもらう。どちらかの血を引く子供を望む場合はそれしか方法はない。しかもそこで生まれた子供同士を結婚なりさせない限り2人の血は混ざらないのだ。
でも僕達は違う。2人の血を分けた子供が産まれてくるのだ。これもそれも全てオリーの産みの母親である聖女のおかげだ。彼女がこの世界に来なければオリーは生まれなかったし、オリーの父親であるルイスさんと愛し合わなければ僕達に石は残らなかった。だから〈聖女〉という存在は本当に神に近い存在なのだ。僕は会ったことがない聖女に祈りを捧げながらオリーの腕の中で眠った。
次の日、仕事場に2人で向かって部屋に入るとオリーはポツリと呟いた。
「毎朝の刺激的な日課も口実がないからお休みか?」
中に入ってオリーは僕を後ろから抱きしめながらサワサワとお尻を撫でてきた。僕はその手を掴んで上を見上げるとにっこり微笑んで話しかけた。
「……そもそも、職場でするのが変なんだよ?帰ってから沢山しよう?」
「誰か来るかもしれないって思うと、お前がすごく興奮して淫らになるから、また違った意味で最高なんだがな」
オリーは僕の首筋をチュッチュッと口付けて何かをねだるような仕草をしてきた。僕はオリーの頭を首筋から離させると、腕の中から抜け出てオリーの正面に向き合った。そして腰に両手を当ててキッと睨みつけながら話しかけた。
「もう!オリーの頭の中はそんなことでいっぱいなの!?」
「アーシェを愛することでいっぱいなだけだ」
「夜にできるでしょう!」
オリーはさも当然ですという顔をしながら僕の近寄ってきた。僕は伸びてくる腕をヒラヒラとかわしながら後ろへ移動していると、ドンッと背中が何かにぶつかった。後ろを振り返るとソファーの後ろ側の背もたれに体がぶつかった様だ。オリーはニヤニヤと笑いながら僕に話しかけて来た。
「ソファーにぶつかったな。さて、どこに逃げる?」
「うっうう」
「嫌か?」
「オリーとする事に嫌なことなんてないよ。でも、ほら…職場でするのはやっぱりおかしいというか…」
「真面目だな」
オリーはクスクス笑うと僕に近寄ってきて、頭を優しく撫でてきた。僕はその手を払い除けることはせずに撫でられながら話しかけた。
「それに今日から中和の何かを作らなきゃ。長期休暇まで後3ヶ月ほどしかないんだから…」
「そうだな」
「僕の家族に会う、オリーの家族に会う、僕達の子供について白猫に聞く、代理の母親を誰に頼むのか引き受けてくれるのかの交渉、さらに魔道具。やること沢山あるんだからね」
「わかってる」
「とにかく、まずは中和をどうするべきか考えなきゃ」
「ああ」
僕が指を折りながら今後の予定について話している間もオリーはニコニコしながら僕の頭を撫でていた。紫の瞳は本当に幸せそうだ。今まで研究していた方法では成果をあげられなかったが、本来の目的は達成できるからだろうか。
オリーは今まで何かにすがって、焦っている様子もあったがそれも無くなって心に余裕ができた様に見えた。
でもこの部屋でイチャイチャするのはやはり違う。僕はもう一度キッと睨みつけてオリーの名前を低めの声で呼んだ。
「オリー」
「くく。わかったわかった。夜まで我慢する」
「ならよし。さあ、早速どうするか考えよう」
僕はにっこり微笑んでオリーの腕を掴んで2人のデスクへと向かった。
僕達は生徒が来るでずっとどうすべきかを話し合った。液体に移す場合は壊れることはないが、子供を作るたびに飲むとなると味や値段も考えなければいけない。
逆に魔道具は壊れる事もあるけど、一つ購入すれば壊れるまで何度も使える。その利点は大きかった。
「色は灰色を混ぜ合わせるのはどうだ?」
「もっと白くなくていいの?」
「できれば白に限りなく近い色がいいだろうが…。少しでも薄くなればいいってことなら、灰色でも問題ないはずだ」
「僕達の魔力色が誰かの体に混じって子供を作ってるって…ちょっと複雑…」
僕がブーっと口を尖らせて呟くとオリーはクスクスと笑った。
「魔力色だけだぞ?別に抱かれるわけでもない」
「そうだけど…。でもほら、僕達が死んだ後は?灰色がいなくなったら?この色合いを薄くする道具が作れないのでは意味がないよ」
「それは確かにな…」
僕とオリーはまたヴーンっと唸って意見交換を続けた。なかなか意見が纏まらないし、どんなものにするのか構想も浮かばない。僕達は〈中和〉という壁の難しさに頭を抱えることになった。
それから半月経っても何も決められなかった。その代わり僕が家族に送った伝達魔法の返事が速達で届いた。
種の1月から女学校に通うエミリーが落ち着き、畑仕事が一段落したと連絡が来た。
こうして種の2月、第2土の日に家族に会いにいくことになった。
同性同士の場合、どちらか一方が別の男性や女性と体の関係を結んで産んでもらう。どちらかの血を引く子供を望む場合はそれしか方法はない。しかもそこで生まれた子供同士を結婚なりさせない限り2人の血は混ざらないのだ。
でも僕達は違う。2人の血を分けた子供が産まれてくるのだ。これもそれも全てオリーの産みの母親である聖女のおかげだ。彼女がこの世界に来なければオリーは生まれなかったし、オリーの父親であるルイスさんと愛し合わなければ僕達に石は残らなかった。だから〈聖女〉という存在は本当に神に近い存在なのだ。僕は会ったことがない聖女に祈りを捧げながらオリーの腕の中で眠った。
次の日、仕事場に2人で向かって部屋に入るとオリーはポツリと呟いた。
「毎朝の刺激的な日課も口実がないからお休みか?」
中に入ってオリーは僕を後ろから抱きしめながらサワサワとお尻を撫でてきた。僕はその手を掴んで上を見上げるとにっこり微笑んで話しかけた。
「……そもそも、職場でするのが変なんだよ?帰ってから沢山しよう?」
「誰か来るかもしれないって思うと、お前がすごく興奮して淫らになるから、また違った意味で最高なんだがな」
オリーは僕の首筋をチュッチュッと口付けて何かをねだるような仕草をしてきた。僕はオリーの頭を首筋から離させると、腕の中から抜け出てオリーの正面に向き合った。そして腰に両手を当ててキッと睨みつけながら話しかけた。
「もう!オリーの頭の中はそんなことでいっぱいなの!?」
「アーシェを愛することでいっぱいなだけだ」
「夜にできるでしょう!」
オリーはさも当然ですという顔をしながら僕の近寄ってきた。僕は伸びてくる腕をヒラヒラとかわしながら後ろへ移動していると、ドンッと背中が何かにぶつかった。後ろを振り返るとソファーの後ろ側の背もたれに体がぶつかった様だ。オリーはニヤニヤと笑いながら僕に話しかけて来た。
「ソファーにぶつかったな。さて、どこに逃げる?」
「うっうう」
「嫌か?」
「オリーとする事に嫌なことなんてないよ。でも、ほら…職場でするのはやっぱりおかしいというか…」
「真面目だな」
オリーはクスクス笑うと僕に近寄ってきて、頭を優しく撫でてきた。僕はその手を払い除けることはせずに撫でられながら話しかけた。
「それに今日から中和の何かを作らなきゃ。長期休暇まで後3ヶ月ほどしかないんだから…」
「そうだな」
「僕の家族に会う、オリーの家族に会う、僕達の子供について白猫に聞く、代理の母親を誰に頼むのか引き受けてくれるのかの交渉、さらに魔道具。やること沢山あるんだからね」
「わかってる」
「とにかく、まずは中和をどうするべきか考えなきゃ」
「ああ」
僕が指を折りながら今後の予定について話している間もオリーはニコニコしながら僕の頭を撫でていた。紫の瞳は本当に幸せそうだ。今まで研究していた方法では成果をあげられなかったが、本来の目的は達成できるからだろうか。
オリーは今まで何かにすがって、焦っている様子もあったがそれも無くなって心に余裕ができた様に見えた。
でもこの部屋でイチャイチャするのはやはり違う。僕はもう一度キッと睨みつけてオリーの名前を低めの声で呼んだ。
「オリー」
「くく。わかったわかった。夜まで我慢する」
「ならよし。さあ、早速どうするか考えよう」
僕はにっこり微笑んでオリーの腕を掴んで2人のデスクへと向かった。
僕達は生徒が来るでずっとどうすべきかを話し合った。液体に移す場合は壊れることはないが、子供を作るたびに飲むとなると味や値段も考えなければいけない。
逆に魔道具は壊れる事もあるけど、一つ購入すれば壊れるまで何度も使える。その利点は大きかった。
「色は灰色を混ぜ合わせるのはどうだ?」
「もっと白くなくていいの?」
「できれば白に限りなく近い色がいいだろうが…。少しでも薄くなればいいってことなら、灰色でも問題ないはずだ」
「僕達の魔力色が誰かの体に混じって子供を作ってるって…ちょっと複雑…」
僕がブーっと口を尖らせて呟くとオリーはクスクスと笑った。
「魔力色だけだぞ?別に抱かれるわけでもない」
「そうだけど…。でもほら、僕達が死んだ後は?灰色がいなくなったら?この色合いを薄くする道具が作れないのでは意味がないよ」
「それは確かにな…」
僕とオリーはまたヴーンっと唸って意見交換を続けた。なかなか意見が纏まらないし、どんなものにするのか構想も浮かばない。僕達は〈中和〉という壁の難しさに頭を抱えることになった。
それから半月経っても何も決められなかった。その代わり僕が家族に送った伝達魔法の返事が速達で届いた。
種の1月から女学校に通うエミリーが落ち着き、畑仕事が一段落したと連絡が来た。
こうして種の2月、第2土の日に家族に会いにいくことになった。
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