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仕事と恋の両立
お仕事について
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「休日に呼び出したのに、すぐ来てくれてありがとうございます」
「あ、お久しぶり振りです」
「久しぶりですね、可愛い小鳥さん」
アイザックさんは優しく微笑んで抱き抱えられてる僕を見つめてきた。キョロキョロと部屋の中を見渡すと、学長室ではなかった。何処だろうっと首を傾げていると、ソファーに座っているアイザックさんが対面側のソファーに座るように目配せしてきた。
オリーは何も言わずにソファーに座ると僕を膝の上に乗せたまま、おろそうしなかった。
「あ、おろ、おろしてよ」
「嫌だ」
「おやおや。そんなに警戒しなくても、アシェル君に手は出しませんよ」
アイザックさんはクスクス笑って優しい瞳で見つめてきた。オリーはフンっと鼻を鳴らすとめんどくさそうな声で話しかけた。
「で?話しって?」
「ああ。そうでしたね。仕事の内容についてです」
「はい」
僕は真剣な顔になって頷くと、アイザックさんは優しく微笑んで話を続けた。
「まず、学園で唯一の恋人になったことは公表してくださいね。そうすれば君たち目当ての生徒はいなくなるでしょう。我が国は〈唯一〉とつければ、夫婦と同じように恋人も扱われますからね。あと、そうですね。困った生徒との譲渡は今まで通りするか…または…」
「または?」
僕が首を傾げるとアイザックさんはうふふっと笑った。
「2人の愛の力で乗り切るしかないですねぇ」
「何もいい案はないってことかよ…。なんで呼び出したんだ」
「ふふっ。理由はありますよ。これを問題のある生徒に配ろうと思っています」
アイザックさんは収納から色とりどりの石を5つ取り出して、テーブルに並べた。どれも大きくて僕の拳ぐらいの大きさはありそうだった。
「なんだ?このゴツゴツしたものは」
「知り合いが作った失敗作です。なんと、そばに置いておけば魔力量を石の色合いで教えてくれるそうです」
オリーさんが黄色く光る石を一つ手に取ると、石は輝きをまし始めた。そして、次に僕に青色に光る石を持たせた。こちらも手に持った方が輝きが増した。
オリバーは石を持っていない僕の手を掴むと徐々に魔力を流し始めた。視線はオリーの持っている足に向いていた。僕は魔力が入ってくる感覚を感じながらも、同じように自分の持っている石を眺めた。
「本当だな。譲渡すると輝きが減って色も若干薄くなった」
「んっ…こっちはすごく光って…オリー、あの、流しすぎ…辛いよ」
「あ、すまん」
オリーは僕に目線を向けると手を離して、顎を掴んで口付けてきた。ピチャピチャと音を立てながら僕はオリーにもらった魔力を全て返し終わると、チュッと音を立てて唇を離した。
「おやおや、見せつけてきますねぇ」
トロンっとしたままアイザックさんを見ると、僕たちを見てクスクスと笑っていた。オリーはアイザックさんのことは気にしていないのか僕の頭を撫でながら二つの石をテーブルに置いて話を続けた。
「なるほど、これなら枯渇する前に目視できるな。手に持つ方が正確なようだが、側にあってもほぼ同じ効果があるなら…座席に置かせればいいのか」
「そうです。昔に比べて魔力操作の苦手な子供が多いので、私も年々困っていたのです。部署にも一つ置いておけば、どれぐらいの量が必要なのかわかりやすいですからね。活用してください」
「はい!これなら緊急事態なのかもすぐにわかっていいですね」
それにオリーの体目当ての人も、コレなら断りやすそうだ。
僕がニコニコ微笑んでオリーを見つめると、オリーは僕を見つめ返して微笑んだ。
「では、明日から2人とも頼みましたよ。魔力感知の道具は私から配っておきましょう。壊したら弁償と付け加えて」
ふふっと黒い笑みを浮かべたアイザックさんは僕たちに真っ赤な石を手渡して、残りを全て収納してしまった。そして、アイザックさんは何かを思い出したかのようにポンっと手を叩いてからニッコリ微笑んできた。
「そうそう。今後どこに寝泊まりされますか?」
「アーシェの部屋だろうな。出来れば寮の部屋は借りたままでいたい。資料も多いし…」
オリーはポリポリと頬をかいてから、僕を見つめて微笑んだ。アイザックさんはふふっと笑った後に僕を見つめて話した。
「鍵の候補者になれなかったのは残念ですが、2人が幸せそうで私は一安心しました。君を採用して本当によかったです」
アイザックさんと少し話してから別れの挨拶をして、僕達はオリーの転移で僕の部屋に戻った。
2人で部屋付きの使用人にまずは連絡をした。唯一の恋人になった事、今後部屋を行き来する事を伝えた。
オリーの使用人は女性のようで、部屋の掃除だけしておくとと伝えてきた。イーサンは部屋の掃除と在庫管理、僕の身支度等を手伝ってくれる事になった。
そして僕達は鍵を交換した。なんと、この寮の鍵が3本あるのには理由があった。アイザックさんが何度か【鍵の候補者】とか話していたけど、あれは恋人同士になると鍵を交換する風習があるからだった。
僕とオリーは白と黒のお揃いの鍵を持つ事になった。それがまた、僕の心をポカポカとしてくれた。
休日になる前は心が痛くてボロボロしてたのに、オリーと気持ちを通わせた瞬間に、心が潤ってツルツルのピカピカになった。
幸せな気持ちなまま、2人で一緒にベッドに潜った。
明日から始まる仕事への不安はあるが、この瞬間の幸せが僕にとっては大事な時間となった。
「あ、お久しぶり振りです」
「久しぶりですね、可愛い小鳥さん」
アイザックさんは優しく微笑んで抱き抱えられてる僕を見つめてきた。キョロキョロと部屋の中を見渡すと、学長室ではなかった。何処だろうっと首を傾げていると、ソファーに座っているアイザックさんが対面側のソファーに座るように目配せしてきた。
オリーは何も言わずにソファーに座ると僕を膝の上に乗せたまま、おろそうしなかった。
「あ、おろ、おろしてよ」
「嫌だ」
「おやおや。そんなに警戒しなくても、アシェル君に手は出しませんよ」
アイザックさんはクスクス笑って優しい瞳で見つめてきた。オリーはフンっと鼻を鳴らすとめんどくさそうな声で話しかけた。
「で?話しって?」
「ああ。そうでしたね。仕事の内容についてです」
「はい」
僕は真剣な顔になって頷くと、アイザックさんは優しく微笑んで話を続けた。
「まず、学園で唯一の恋人になったことは公表してくださいね。そうすれば君たち目当ての生徒はいなくなるでしょう。我が国は〈唯一〉とつければ、夫婦と同じように恋人も扱われますからね。あと、そうですね。困った生徒との譲渡は今まで通りするか…または…」
「または?」
僕が首を傾げるとアイザックさんはうふふっと笑った。
「2人の愛の力で乗り切るしかないですねぇ」
「何もいい案はないってことかよ…。なんで呼び出したんだ」
「ふふっ。理由はありますよ。これを問題のある生徒に配ろうと思っています」
アイザックさんは収納から色とりどりの石を5つ取り出して、テーブルに並べた。どれも大きくて僕の拳ぐらいの大きさはありそうだった。
「なんだ?このゴツゴツしたものは」
「知り合いが作った失敗作です。なんと、そばに置いておけば魔力量を石の色合いで教えてくれるそうです」
オリーさんが黄色く光る石を一つ手に取ると、石は輝きをまし始めた。そして、次に僕に青色に光る石を持たせた。こちらも手に持った方が輝きが増した。
オリバーは石を持っていない僕の手を掴むと徐々に魔力を流し始めた。視線はオリーの持っている足に向いていた。僕は魔力が入ってくる感覚を感じながらも、同じように自分の持っている石を眺めた。
「本当だな。譲渡すると輝きが減って色も若干薄くなった」
「んっ…こっちはすごく光って…オリー、あの、流しすぎ…辛いよ」
「あ、すまん」
オリーは僕に目線を向けると手を離して、顎を掴んで口付けてきた。ピチャピチャと音を立てながら僕はオリーにもらった魔力を全て返し終わると、チュッと音を立てて唇を離した。
「おやおや、見せつけてきますねぇ」
トロンっとしたままアイザックさんを見ると、僕たちを見てクスクスと笑っていた。オリーはアイザックさんのことは気にしていないのか僕の頭を撫でながら二つの石をテーブルに置いて話を続けた。
「なるほど、これなら枯渇する前に目視できるな。手に持つ方が正確なようだが、側にあってもほぼ同じ効果があるなら…座席に置かせればいいのか」
「そうです。昔に比べて魔力操作の苦手な子供が多いので、私も年々困っていたのです。部署にも一つ置いておけば、どれぐらいの量が必要なのかわかりやすいですからね。活用してください」
「はい!これなら緊急事態なのかもすぐにわかっていいですね」
それにオリーの体目当ての人も、コレなら断りやすそうだ。
僕がニコニコ微笑んでオリーを見つめると、オリーは僕を見つめ返して微笑んだ。
「では、明日から2人とも頼みましたよ。魔力感知の道具は私から配っておきましょう。壊したら弁償と付け加えて」
ふふっと黒い笑みを浮かべたアイザックさんは僕たちに真っ赤な石を手渡して、残りを全て収納してしまった。そして、アイザックさんは何かを思い出したかのようにポンっと手を叩いてからニッコリ微笑んできた。
「そうそう。今後どこに寝泊まりされますか?」
「アーシェの部屋だろうな。出来れば寮の部屋は借りたままでいたい。資料も多いし…」
オリーはポリポリと頬をかいてから、僕を見つめて微笑んだ。アイザックさんはふふっと笑った後に僕を見つめて話した。
「鍵の候補者になれなかったのは残念ですが、2人が幸せそうで私は一安心しました。君を採用して本当によかったです」
アイザックさんと少し話してから別れの挨拶をして、僕達はオリーの転移で僕の部屋に戻った。
2人で部屋付きの使用人にまずは連絡をした。唯一の恋人になった事、今後部屋を行き来する事を伝えた。
オリーの使用人は女性のようで、部屋の掃除だけしておくとと伝えてきた。イーサンは部屋の掃除と在庫管理、僕の身支度等を手伝ってくれる事になった。
そして僕達は鍵を交換した。なんと、この寮の鍵が3本あるのには理由があった。アイザックさんが何度か【鍵の候補者】とか話していたけど、あれは恋人同士になると鍵を交換する風習があるからだった。
僕とオリーは白と黒のお揃いの鍵を持つ事になった。それがまた、僕の心をポカポカとしてくれた。
休日になる前は心が痛くてボロボロしてたのに、オリーと気持ちを通わせた瞬間に、心が潤ってツルツルのピカピカになった。
幸せな気持ちなまま、2人で一緒にベッドに潜った。
明日から始まる仕事への不安はあるが、この瞬間の幸せが僕にとっては大事な時間となった。
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