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始まった新生活

僕はもう…※

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「んっ…」

 また包まれているような感覚を感じながら僕は目を覚ました。下半身だけお互いに裸で、上着だけ着ているという変な姿で僕たちは横のなっていたようだ。

「なんじ…いま…」

 ボーッとしながら時刻を見ると赤の1だった。僕はびっくりして飛び起きると、ピキッと腰に鈍い痛みが走った。

「いてて…何で腰…あ!!そうだ!朝からオリバーさんと練習したんだ」

 痛む腰をさすっていると、隣から大きな手が僕の腰を撫でて僕に話しかけてきた。

「おはよう」

「もうお昼ですよ」

「あー。休日にこんなにのんびりするのも久々だ」

 オリバーさんが「ファイロ」っと治癒魔法の呪文を呟くと、徐々に痛みが消えて行った。

「あ、ありがとうございます。お腹空きました、でも体だるいです」

「そうか。じゃあ…練習するか」

 僕は後ろから聞こえる声の主の足をゲシッと蹴ってからベッドから降りた。そして振り返って腰に手を当てて睨むと、蹴られたオリバーさんは何故か嬉しそうに笑って僕を見ていた。

「変なこと言ってないで起きてくださいね!」

 プリプリ怒りながら自分の下着とズボンを床から拾って履いた後にソファーに座って、収納から残りの食材を全て出した。

 サンドイッチ、野菜の入ったスープ、骨付きのお肉、果物をテーブルに並べているとやっとオリバーさんは起き上がって僕の隣にやってきた。

 僕の右横に立って、ぶらんっとしたモノを僕に見せつけた後、僕の右頬に押し付けてきた。僕はムッとしながら、横を向かないようにオリバーさんを見上げた。

「練習が先だ」

「はぁ?いやです。夜にしてください」

「ちっ。つまんねーの」

「…明日からもう仕事なんですから、今日は泊まりませんよね?夜も青の10には帰ってくださいよ」

「…朝帰り」

「ダメです。イーサンが見たら変に思われるじゃないですか」

「ここの国の奴らは気にしねーよ。ああ、また一つ愛がウンタラカンタラってなるだけだ」

「それでも嫌です」

 ニヤニヤと笑うオリバーさんを横目で見つめながら怒った声で話しているのに、オリバーさんはニヤニヤ笑うだけで僕の怒りが伝わっていないようだった。

 やっと下着を履いてくれたオリバーさんと2人で食事をして、お茶を飲んでいると赤の3になっていた。僕はフーッとため息をついてお皿達に洗浄魔法をかけてから収納に収めると、寝巻きの上着を脱いで衣装棚の扉を開けた。

「なんだ?練習か?」

「オリバーさんは練習しか頭にないのですか?外出するんでしょう?早く行かないと暗くなりますよ」

「何故かお前との練習で頭がいっぱいだ」

 僕は着替えながらオリバーさんを睨みつけると、オリバーさんは少しだけ肩をすくめてから外出するために身支度を始めてくれた。僕はその様子を見てホッと息をついて着替えを続けた。

 オリバーさんは時々変なことを言う。その言葉を聞くたび、僕の中に芽生えた何かが期待で膨らむ。

 もしかして、オリバーさんも僕と同じなの?

 僕の心はオリバーさんを求めるように声を上げた。でも、まだ口に出す勇気はない。それに、芽生えてきた気持ちを僕自身が受け入れる覚悟がなかった。

 僕の国では同性同士なんて不毛だと言われて、差別の対象だ。僕も今まで気になったり、心が浮ついたのは女性にだけだ。でもオリバーさんと体を繋げる事に嫌悪感はないし、芽生えてしまった何かを封印する気持ちにもなれなかった。

 この気持ちは言葉をつけてもいいのだろうか。それを自覚してしまったら、僕はどうなるんだろう。

 悶々としながら髪の毛を結っていると、暢気な声のオリバーさんが話しかけてきた。

「あー。肉をたくさん買おうな。酒に合うやつ」

「はいはい。僕のお金じゃないし、好きにしてください」

 その後はオリバーさんと2人で馬車に乗って、市場に向かった。この前行った時よりも店の数は少なかったが、屋台には僕の国の食べ物があったり、衣類も安いものが沢山売られていた。オリバーさんが食材をあれこれ買い込んでる合間に、見つけた衣類を買って2人で寮に戻った。

 市場は、人が多い通りから外れた場所で男女が睦み合っているし、行き交う人々の組み合わせは基本的に男女のペアだった。

 この国でもやっぱり同性は不毛なのかも。体の関係は楽しんでも、それ以上の関係にはならないのだろうか。眺める度にそんな気持ちが湧き上がって、ため息しか出なかった。

 馬車も並んで座るし、手は繋いで歩くし、体の関係がある同性の同僚ってこの国ではどんな位置なんだろう。

 手を引かれながら歩いていると僕の部屋の前に着いてしまった。僕はボーッとしながら鍵を収納から取り出して扉を開けると、オリバーさんは僕を引っ張るように部屋の中に引き入れて内鍵をかけると僕を扉に押さえつけて口付けてきた。

「んっん…ぁ…ん」
 
 荒々しく口付けされ、刺激を与えられると僕の体は快感に痺れて体の力が抜けて行った。熱いモノを絡めながらオリバーさんの首に両腕を回して熱を分け合った。

「ふぁっ…ぁ…急に…どうしたんですか」

 唇が離れると同時にオリバーさんを見上げると、ギラギラと何かの色を浮かべた紫の瞳が僕を見つめていた。

「街で、見てただろ。羨ましそうに」

「…なにを?」
 
 何のことか分からなくて僕が首を傾げると、オリバーさんは僕のお尻を撫でながら、熱を込めた瞳で見つめてきた。

「男と女が遊んでるところだよ」

「あ、あれは…その…」

 僕が人々の睦ごとを発見する度に見ていた事を知られて、恥ずかしくて思わず頬が熱くなるのを感じながらウロウロと目を泳がせているとオリバーさんはニヤニヤと笑い始めた。

「なんだ?」

「だから、その…わ!ズボンの中に手を入れないでください!ああ、魔道具まで、まって!」

「して欲しいんだろ?あんなに熱心に見つめて、羨ましそうに見て」

「ちがっ、ぁあん…やっ…指…はふっ」

 オリバーさんは器用に僕の蕾から魔道具を取り除いて、蕾に指を入れて弄り始めた。たったまま与えられる刺激に僕は体を支えていられなくて、ギュッとオリバーさんの首元に抱きついた。

「朝もしたから、もう入るな」

 オリバーさんはズボンと下着をずり下ろした。足首まで降りると、器用に僕の足を片足ずつ持ち上げて脱がせてしまった。同時にズボンから硬いモノを取り出すして、持ち上げていた右足の膝の裏に手を入れたまま、股を開かせて下から僕の蕾を貫いてきた。

「ぁああ!やっぁ…立った…まま…あっああ」

「そんなこと言ってても、俺をキュウキュウ締めて嬉しいのがバレてるぞ」

 オリバーさんの体にくっつきながら与えられる刺激に酔い始めると、オリバーさんは僕の両足を持ち上げて僕の背中を扉に押し付けながら刺激を与えてきた。

「あっああ…ぁっあん…はげ…ち…はぁん」

「あー、クソ気持ちいい…お前本当、最高」

 体を揺すられる度に扉はガタガタと音が鳴るし、下からは皮膚がぶつかる音が鳴る。僕はどんどん快感の波に乗って絶頂に向かって行った。

「あっああ…でちゃ…あっ…んっんん…んっ」

 喘ぎながらオリバーさんを見つめると、僕を狙う瞳が近づいてきて僕の唇も食べはじめた。

 口との中と体の中を舐るような刺激を与えられ、僕はどんどん高みに上った。

「んっんんっ…んんんっ!」

 とうとう頂上に快感が上ると僕はビクビクっと体を震わせて、僕のモノは熱い液体を自分の体にかけていた。オリバーは口づけながら数回腰を動かしてから僕の中にドクドクと熱い精を放ってきた。

「んっ…んっ…ふぁふ…んっ」

 お互いに精を出しても口づけを止めずに余韻に浸った。やっと唇が離れた頃には頭の中はボーッとして、体の力は抜けているからオリバーさんにしがみつくのもやっとになっていた。

「あー、生徒に味合わせたらもったいねーなー」

「はぁ…はぁ…でも、仕事なら…しかたな…い」

「俺がちゃんと見ててやるからな。だから、此処は簡単に触らせるなよ?わかったか?」

「はぁ…はぁ。わかり…ましたけど、この練習はしなくて…も、いいのでは?」

「…いや、必要だろ?」

「魔力流してないのに?」

「場数を踏むほど快楽に支配させずに仕事ができる。な?」

 僕はオリバーさんにしがみつきながら、ハーっとため息をついた。まだ繋がってるし、オリバーさんは自分の意見を曲げる気はなさそうだし、僕は仕方なく返事をした。

「休日だけなら…」

「休日はうさぎの日」

 オリバーさんは嬉しそうに笑って僕からモノを引き抜くと、僕のお尻を腕で持って抱き抱えるとソファーに座らせてくれた。そして蕾から溢れる白い液体を嬉しそうに眺めてから、魔道具をはめ込んできた。

 この魔道具は僕の体の一部になってしまった。ハァっとため息をついてコレから先のことを考えた。

 休日は体を繋げる事になってしまった。今日で終わりじゃない事に喜びを感じつつも、不安もあった。

 その後は下着とズボンを履いてから、しばらくソファーでだらけた。オリバーさんは僕の隣でムシャムシャとお肉を食べて、ゴクゴクとお酒を飲んでいた。今は青の6だ。少し前に昼ごはんを食べたのに、まだ食べるオリバーさんを呆れて見つめながら時折お肉やパンを摘んで僕も夕飯を終えた。

 僕が先にお風呂に入って、ソファーでオリバーさんを待った。そして湯上がりのオリバーさんが寝巻き姿で出てくるのを見て、ハァっとため息をついた。

「泊まる気ですね?」

「ああ」

「はぁぁ…赤の5には帰ってくださいね?」

「ちっ。此処から仕事に行けばいいだろ?」

「いやです。僕たちは同僚でそれ以上ではないのでしょう?」

 僕は会話を続けながらオリバーさんを少しだけ揺さぶるような言葉をかけた。ここで、この関係に何か言葉をつけるような発言をしてくれたら……

「確かにな。仕方ない。わかったよ」

 オリバーさんは僕の頭を撫でるとさっさとベッドに向かって行った。

 ああ、オリバーさんは僕と同じじゃないのか…。じゃぁ本当に練習なんだ…

 残念な気持ちになりながらも、ベッドに潜ってオリバーさんに抱きしめられるとすぐに気持ちがふわふわと夢心地になる。

「はぁ。なんか隣にあると落ち着くな。匂いも色も感触も体温も」

 オリバーさんは僕を抱きしめながらニッと笑ってきた。また僕の心は何かを期待してしまう。

「僕も好きですよ。オリバーさんの匂いも体温も色も感触も全部」

 僕は言葉にだして〈好き〉と意識して伝えた。オリバーさんはニッと笑うだけで特に何も反応しなかった。

 そして僕を抱きしめながら安心したような顔で眠ってしまった。

 もう僕の中に芽生えた気持ちに名前をつけてしまった。出会ってまだ数日の、しかも男性に、恋するなんて。

 僕はもう狼に囚われた兎だ。そして、子供のようで大人のような貴方を守ってあげたい。

 僕はコレから先のことは考えず、今僕を包む温もりを大事にしながらオリバーさんの腕の中で眠った。

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