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始まった新生活

オリバーさんの屁理屈※

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 朝、昨日と同じ時刻と思われる時間にイーサンに起こされた。昨日と同じようにお世話をしてもらって、食堂に連れて行かれた。

 食堂は昨日と同じように、生徒たちは楽しそうに笑って学年関係なくおしゃべりをしている。イーサンに連れられて座った席からぼーっと周りを眺めていると、僕の右横にエラさんが座ってきた。

「おはよぉ。アシェルちゃん」

 チラッと目線を向けると、昨日とは違う服装だが、相変わらず胸元を強調した服だった。僕は軽く頭を下げてから返事を返した。

「おはようございます。エラさん」

「大丈夫?オリバー君にいじめられてない?あの子ちょっと口が悪いけど、根は優しい子だから。あとあっちも上手いわ」

 エラさんはウフフっと笑ってから僕の左手小指の指輪に気がついた。

「あら!その魔道具買ったのね。じゃあ…今晩私とどう?」

 僕の右手を手に取って、エラさんはその手を太ももの上に置いた。男の体とは違い、太ももが柔らかい。同時に昨日のカローさんの胸の柔らかさを思い出して、頬が熱くなるのを感じた。

「あらん、可愛いわぁ。ちょっと味見したいなぁ」

 目線を太ももからエラさんに向けると、エラさんは僕を見つめていた。舌先を唇から少し出して柔らかそうな唇をペロリと舐める様子を見ていると、なんだか吸い込まれそうな気分になった。ゆっくり体が傾き始めた頃に、イーサンの声が聞こえてきた。

「ランベルツ様、お待たせいたしました」

 イーサンの声にハッと気がついた僕は、近寄ろうとしていた体を止めて座り直した。エラさんはイーサンを眺めて、不満そうな声を出した。

「ちょっとぉ。今いいところだったのに」

 イーサンは僕の前に朝食を並べてから、僕の後ろに立って横にいるエラさんに頭を下げた。

「申し訳ございません」

「もう!」

 僕は怒ったようなエラさんの様子が気になって、立ち上がったエラさんの行動を見つめた。エラさんは頭を下げているイーサンの顎を下から掴んで顔を上にあげると、イーサンの唇に口づけはじめた。

「ピャッ!?」

 僕はその様子を見ていられなかった。視線を前に向けて、後ろから聞こえてくるクチュクチュという音を聞かないように耳を塞いだ。

 一刻も早くここから逃げたい。僕は耳を塞ぎたいけど、でもお腹が空いている。食べるには両手を使わなきゃ。とにかく!とにかく早く食べよう。僕は後ろを気にしないようにしながら耳から手を離して朝食を食べ始めた。

「んっ…貴方上手いわ。許してあげる」

「ありがとうございます」

「じゃ、アシェルちゃんまたねー!」

 エラさんはご機嫌な声で僕に話しかけると去って行った。やっと終わった音にホッと息をついていると、イーサンが声をかけてきた。

「あまり急いで召し上がりますと危険ですので、ゆっくりお召し上がりください」

「う、うん」

 イーサンの声を聞くと、エラさんとイーサンの唇がくっついたところや音を思い出してしまった。また頬が熱くなってくる。恥ずかしくてイーサンの顔は見られなかった。

 イーサンはその様子を見てクスリと笑うと何も言わずに僕の後ろに控えた。

 やっと自分のペースで食べ始めて、食べ終わった頃には薄い赤色の7だった。

「あ。もう行かなきゃ」

「左様でございますね。昨日の洗濯物はお部屋にお届けいたします。行ってらっしゃいませ」

「いってきまーす」

 立ち上がってイーサンに声をかけてから僕は職場に向かって歩き始めた。

「後ろで知り合いが口づけあってる姿や音なんて、勘弁してほしい…」

 ハァァァっとため息をついて廊下を歩いていると、半分だけ扉が開いている部屋があった。不思議に思って、部屋の扉の前に行ってチラッと中を覗いた。部屋の中には窓とソファーが一つだけあった。そしてソファーに捕まってお尻を突き出している赤毛の女子生徒の後ろから、薄い紫色の髪をした男子生徒が腰を動かしていた。

「ひゅっ」

 声が出そうになって口元を両手で押さえると、こちらに気がついたのか男子生徒が振り向いた。茶色の瞳で目元に黒子がある男子生徒は僕に気がつくと、口元に人差し指を立ててニコッと微笑んできた。
 
 僕はウンウンっと頷いてから扉を閉めた。

「ハァァァ…朝からしてるなんて…」

 扉が開いていても音が聞こえなかったことから、防音の魔法を使っているのは明らかだった。何故開けっぱなしでしていたのか、疑問しかない。

 朝から2つも顔見知りの何かを見てしまった僕は、ゲンナリとしたまま職場の扉を開いた。

「おはようございます…」

「おう、おはよう。なんか元気ないな」

「…朝から、酷い目に…」

 僕は自分のデスクの椅子に座ると、デスクの上に突っ伏した。オリバーさんは口に煙草を咥えてぷかぷかと煙を吐いていた。

「なんだ?あ、生徒の何かを見たな」

「…………」

 僕がスッと表情を消して無言になると、オリバーさんはケラケラ笑って煙草をふかした。

「あー、この学校な。所々にあるんだよ、そういう部屋が。使う時は扉にある札をひっくり返せば誰でも使える。鍵は内鍵だけだしな」

「閉まっていませんでした…」

「あー。あいつだな?ブルックスだろ?」

「はい……」

「あいつ見られるのに興奮するタイプだからな。よくやるんだよ」

「ハァァァ」
 
「慣れるしかないな。この国じゃ道を歩けばどっかで誰かがいたしてる」

「ハァァァ」

 何度もため息を吐いても、何も軽くならなかった。憂鬱な気分でずっと突っ伏してると、オリバーさんは僕の左横に何かを置いた。

「譲渡してると、俺たちも魔力が減る。もってるとは思うが容量が多いやつ持っとけ。俺のお古で悪いがやるよ」

 チラッと目線を左横に向けると、魔力蓄積の魔道具だった。よく見るとかなり蓄積できるものだった。僕は体を起こしてオリバーさんを見つめた。

「いいんですか?高そうです」

「お古だって言ったろ?俺はあるんだよ。余ってたからやるよ。使い方は知ってるだろ?」

「はい。すみません。ありがとうございます」

 僕の魔道具は正直言ってちゃっちい。この仕事をする上では物足りなさすぎる量しか蓄積しない。僕はありがたく魔道具を受け取って、収納の中に入れた。

 自動で蓄積する場合は服の上からでも、体に近い場所にあればされる。手動の場合は握り決めて魔力移動だ。毎日少しずつ貯めておくものなので、寝る前にするのが一番いい。

 いいものをもらって少しだけ気分が上がってきた頃に、オリバーさんから声をかけられた。

「よし。朝一からおバカが来ることは少ない。練習するぞ」

「わかりました」

 オリバーさんは椅子から立ち上がると、僕の前に来て手を差し出してきた。今日はこのままするのかなっと思った僕は座ったまま手を握った。でも、オリバーさんは僕を引き上げて、手を繋いでソファーに歩き始めた。

「え?ちょ、手を繋ぐ必要はないですよね?」

「あ?繋ぎたかったから繋いだ。だめか?」

「ダメですよ!何言ってるんですか!」

 オリバーさんはうーんっと考えながら僕をソファーに座らせて、隣に座ってきた。手はそのまま離さなかった。

「なんか、触りたいんだよなぁ」

 握っていない方の手で煙草を持ちながらぷかぷかと甘い香りを出しているオリバーさんは、少し首を捻っていた。

 とりあえず皮膚接触をしているし、丁度いい。僕はオリバーさんに向かってゆっくり魔力を流し始めた。

「お、何も言わずとも始めたか」

 煙草を咥えたままニヤッと笑ったオリバーさんに、ググッと多めの魔力を流した。ある程度流したら、魔力を止めてチラッとオリバーさんを見つめた。

「じゃ、次は俺の番」
 
 オリバーさんは僕の口に煙草を入れてきた。甘い味が口に広がる。スーッと甘い蜜を吸っていると、じわじわと魔力が入ってきた。その感覚を感じながら白い煙を吐き出すと甘い香りが鼻から抜けていった。

 美味しいものを食べた余韻に浸っていると、グググっと強めに魔力が流れ込んできた。

「っ…」

 何故だか流れ込んでくる魔力が昨日の何かの波に似ていた。ゾワゾワと体が落ち着かなくなる。気を紛らわせるためにもう一度甘い蜜を吸って、白い煙を出す頃にやっと魔力が全て返ってきた。

 オリバーさんは何も言わずに僕から煙草を取り上げると、テーブルの上に置いた。僕は煙草を吸うと甘い蜜と匂いで少しぼーっとなるようだ。ぼんやりしたままオリバーさんを見つめていると、紫の瞳がギラっと輝いた。

 やばい、アレは狙う目だ

 身の危険を感じた僕は余韻に浸るのをやめて、手を振り払おうとした。しかし、オリバーさんの力が強くて振り払えない。逃げ出そうと暴れていて、少し体がグラつくとオリバーさんが僕をソファーに押し倒した。そして、両腕はオリバーさんの両手に拘束された。

「っ…オリバーさん。ダメです。距離感!」

「だめか?昨日みたいに体液の練習もするだろ?な?」

「きゅ、休日に…するのは、違うんですか?」

「ソレはソレ。コレはコレ。な?」

 オリバーさんは妖美に笑うと色香を出し始めた。その雰囲気に酔いそうになった僕は足をばたつかせて抵抗するがオリバーさんはお構いなしに、僕に口付けてきた。

「んん!」

 突然の感触に驚いて口を開けてしまった。その隙を狙って口の中に熱いものが押し入ってきた。熱いものは甘い甘い味をさせながら僕の中を弄り始めた。

「んっんん…んっふ…んん」

 口元からは朝に聞いてしまった音と同じものが聞こえてくる。僕が気持ちがいいと思っている場所は既にバレているようで、オリバーさんは念入りに刺激してきた。

「んっんん…んん…ぁ…ん」

 どんどん与えられる刺激と甘さと香りに酔ってしまった僕は抵抗することをやめて、熱いものを受け入れて一緒に遊び始めた。

「んっ…ん…ちゅ……はぁ…んっ」

 唇の角度を変えながら、何度も何度もお互いの口を刺激しあっていると股間がどんどん熱くなっていった。

「んっ……はぁ……アシェル…今日も甘いの飲んでいいか?」

「はぁ…はぁ…だめ…です…」

「じゃあ明日は?」

 オリバーさんは僕の首筋をチュッチュッと口付けながら懇願するような声で話してきた。口付けられるたびに体が震えて、力が抜ける。僕は溶けそうになる何かを必死に集めた。

「だめです。オリバーさん距離感」

「…もう酔いから覚めたか」

 オリバーさんは残念そうな声を出しながら、僕の左手への拘束をやめて、僕の股間を右手で撫で始めた。

「んっ…ちょ。だめ…です!オリバーさん!」

「無理。毎日飲まないと…」

 オリバーさんはお互いの額が合うように顔を近づけて、ねっとりとした視線で僕を至近距離から見つめてきた。右手はその間も動いてて、ズボンの中から器用に硬くなったモノを取り出していた。

「ちょ!ダメ!ダメ!」

「だめか?俺が握ったら嬉しそうに震えたぞ」

 オリバーさんの右手は僕のモノを包み込んで、動き始めていた。

「ぅうう…だめって…ぁう」

「滑りも良くなって…蜜が出てる」

「っぅ…だめ…で、す」

 どんどん動きが速くなると何も考えられなくなってくる。ただ、出してしまいたいという欲求が膨れ上がってくるが、何とかしたい。僕は拘束が解かれた左手で刺激を止めようと手を伸ばすが届かなかった。

「だめ…でちゃ…」

「出すなら、こっち」

 オリバーさんは僕を見つめながら口を開けて少し舌を出した。そして、恍惚とした顔で微笑むとそのまま顔を下げて僕のモノを食べた。

「あっあああ、だめ…ぁっ」

 生暖かいものに包まれ、吸われた。それだけで堪えていたものが、堪えきれなくなった僕のモノはドクンっと震えて、オリバーさんの口の中に出してしまった。

「ぁ…ぁぁ」

 ドクドクと出ていく感覚を感じながら余韻に浸っていると、オリバーさんは口からモノを抜いてゴクゴクと喉を鳴らして飲んでしまった。

「うまい…。病みつきになる」

 オリバーさんは幸せそうに笑って僕を見つめてきた。僕は余韻から抜け出して徐々に冷静になってきた。そして、オリバーさんをキッと睨めつけた。

「はぁ…はぁ…まって、ください。魔力ながしてないし、それを飲むのは…研修ですか?」

「研修だろ?魔力を渡すときに快楽に溺れてたら、魔力を込める余裕がないだろ?刺激に慣れないとだめだ。な?」

 オリバーさんはもっともらしいことをいいながら僕の拘束を解いて体を離した。そして僕の股間に魔法をかけて綺麗にすると、熱が出たモノをズボンの中にしまった。僕は寝転がりながら上機嫌なオリバーさんをさらに睨みつけた。

「…いや、だから…今、魔力を流してないですよね?口づけの時から」

「…忘れてた。もう一回」

「だめ!だめ!だめ!もうだめです!」

「じゃあ、1日1回ならいいか?」

「そういう問題じゃないです!」

 オリバーさんはうーんっと考えて始めた。そして何かを思いついたのかポンっと手を叩いて話してきた。

「でも、練習はするだろ?じゃ、毎朝の練習内容は皮膚と体液の2種類にしよう。決まりだ」

「…つまり?」

「いまと同じことを毎日する」

「……本当にそれは練習ですか?」

「勿論だ」

 ニコニコ笑っているオリバーさんの表情からは何も読み取れなかった。研修で練習と言われると、何とも拒否がし難い。僕は深いため息をついた。

「わかりました。毎朝これですね」

「ああ」

 オリバーさんはニコニコ笑ってテーブルの上の煙草を手に取った。また吸い始めるのかと思いきや、収納に片付けてしまった。そして僕の頭を撫でて微笑んだ後に、ソファーから立ち上がってデスクに向かっていった。

 僕はもう何もしたくなくて、寝っ転がったまま天井を眺めた。ボーッと眺めていると疲れからかいつの間にか眠ってしまった。


 その後。昼食前に起きて、ご飯を食べてからは本を読んでまったりした。オリバーさんは煙草も吸わずに何かを黙々と作っていた。

 青の5になったら2人で部署を出て、別れの挨拶をして帰宅した。オリバーさんは「明日も楽しみだなぁ」っと煙草も吸わずにとてもご機嫌で帰っていった。でも僕は左腕にキラキラ光る腕輪があることに気がついた。

 僕はあれを見るとちょっとモヤモヤする。理由はわからないけれども。明日から始まる練習が今日と同じになると、さらに距離感がわからなくなる。

 仕事として割り切るにしても、オリバーさんの反応が僕の何かを期待させるのだ。何に期待してるのかもわからないけれども、今の僕はオリバーさんと距離感を保つために平常心でいようと決めた。

 イーサンに夕飯は部屋に持ってきてもらい、湯浴みをしてその日は眠った。
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