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助けて

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 菜々子さんのことがあってから、キョウはすごく明るくなった。一度愛した人が前を向いて歩き出した姿を見たからかもしれない。

 キョウが菜々子さんを本気で愛してたと言っていた時は、一瞬ズキンと胸が痛かった。でも、私も貴史を愛していた時期があった。お互い様だし、過去のことまで嫉妬するのは違う。そう思ったことで、その時の痛みは飲み込むことができた。

 貴史からは相変わらず連絡がない。

 心配ではあるが、キョウと相談してあちらから連絡が来るまで関わらないことにした。

 5月が過ぎて、6月が過ぎて、7月が過ぎて、8月になった。

 その間に翔の誕生日や翼の誕生日がきた。どちらも皆で楽しく過ごせたし、翔と美桜ちゃんの恋もだんだんと深まっていったようだ。まだまだ初々しいけども、私は1人ニヤニヤと見て楽しんだ。キョウはまだぶつぶつ煩かったが、まぁ時間の問題だろう。


 そして、私と貴史が離婚してから1年が経った。


「じゃ、ママは今日帰るの少し遅いからね!」

「はーい、飲み会でしょ?帰ってくるまでおじさんの家で待ってるから大丈夫だよ」

「うん。ハンバーグ作るんだぁ。楽しみ!」

「そう。じゃあ、いい子で待ってね!」

 私はバタバタと仕事に行く用意をしながら、夏休みを満喫している子供達に声をかけた。子供達は去年同様に日中はキョウの家で過ごしている。

 ミンミンとセミがなく暑すぎる世界から冷房が効いたオアシスである職場に着いた。すると見慣れていない人物が目に入った。

「あ、神崎さん。お久しぶりです」

「お久しぶりです。赤ちゃんはどうですか?」

「すごく元気ですよ!保育園にも入れることができたので、安心して復帰できました」

「そう!空きがあってよかったですね!」

 育休で休んでいた社員さんが復帰したのだ。私はこのままお払い箱かと思いきや、社長から「復帰しても時短になるから、仕事のメインはお願いしたい!やめるなんていわないで!」と引き止めてもらえたため、引き続き働くことになった。

「神崎さんが管理してた表がすごく使いやすいですね!前からこれにしてればよかった」

「勝手に変えてごめんね。自分の使いやすいようにしてたらそうなってたんだ」

「いえいえ!とても参考になります!」

 復帰してばかりだというのに仕事も育児も楽しそうな彼女は今が幸せでいっぱいという顔だった。

 いつも通りに仕事をこなして夕方になると、残業もせずに皆で会社をでた。

 今夜の飲み会は、復帰祝いと私の延長記念も含めた飲み会だった。

 予約した居酒屋にて2時間ほどのコースで飲み食いして皆で親睦を深めた。社長が陽気で姉御肌だからなのか、皆とても社長を慕っている。そして、社長のためにと一丸となって働くため社員の結束力は強かった。

 私は久しぶりの飲み会だったし(むしろ外で飲んだのは仕事を辞めて以来ない)、騒いでお酒を飲んでかなり気分が良くなっていた。

 解散してキョウに帰る旨を連絡して電車に乗って、帰路についた。酔ってふわふわしたまま、マンションに向かって歩いていると声をかけられた。

「香織」

「っ!?」

 歩いていた歩道の前方からスーツ姿の人がニュッと出てきた。その人物を確認して私は目を見開いた。

「た、貴史?」

「いい御身分だな。子供を置いて夜遅くまで飲み会か?」

「………貴史に関係ある?」

「あるだろ!俺の子供だぞ!ほったらかしにして、外で飲んでくる母親がいるか!」

「ほったらかしになんてしてない。ちゃんと信頼できる人に預けてある。言葉を返すけど、私と子供達をほったらかしにして飲み歩いて不倫してた人に言われたくないんだけど」

 お酒が入っていて気が大きくなっていた私は、いつもなら反論することなく受け流していた言葉に反応していた。私の様子を見た貴史はカァァァっと顔を赤くすると、私の胸ぐらを掴んだ。

「なんだと!男は飲み会で仕事をもらったり、出かける必要があったんだ。浮気は騙されたって言っただろう!」

「離して、苦しいからっ!」

「ああ、そうか。セックスできなくて欲求不満なんだな。ほら、お前がしたかったことしてやるよ」

「いや!やめて!離して!」

 貴史は私の胸元から手を離すと、私の髪を掴んで引っ張って歩き出した。引っ張られるたびに痛い。酔っているし、男性の力に抵抗できずに私は引きずられながら近くの路地裏に連れ込まれた。

「離して!!!」

「うるせぇぇぇ!!!」

「キャァァァ!」

 抵抗すると、貴史は私の頭から手を離して思い切り私の左頬を平手打ちした。思い切り叩かれたことで私は路地の壁に体と頭をぶつけた。そしてそのまま貴史は私の両手を掴んで上に縛り上げて拘束してきた。

「なに、やめて!」

「はっ。お前が欲しいものをやるって言ってんだよ。抵抗してんじゃねぇよ」

 貴史はそう言って私が着ているシャツのボタンを引きちぎるように胸元を乱した。離してもらおうともがくが、貴史はまた私の左頬を平手打ちして殴ってきた。

「った…」

「痛いだろ?抵抗したらしただけ痛くするぞ。大人しくしてろ」

「いや!やめっんんんん」

 貴史は乱暴に私に口付けてきた。舌が入ってくる、そう思った瞬間に嫌悪感で体が震えて思わず貴史の舌を噛んだ。

「いってぇぇぇ!クソアマ!ふざけんなよ。抱いてやるって言ってんだから、大人しくヤらせろ」

 貴史は舌を切ったのか怒った顔で私の頭をガシッと掴むと、ガンッと壁に打ちつけた。その衝撃で頭がクラクラして抵抗できなくなった私のスーツのスカートの中に手を入れて、貴史はストッキングを破った。

「うっうう」

「初めから大人しくしてればいいんだよ。ほら、お前が欲しかったものやるぞ」

 貴史は私の股間に手を入れると下着のクロッチを横にずらして手を入れてきた。

「やめっ」

「ほら、ここは嬉しそうだぞ。すぐに指を飲み込みやがった」

 貴史はうまく抵抗できない濡れていない私の蜜壺にいきなり指を2本押し込んできた。すごく痛い。でも体は私の体を守るために濡れ始めていた。

「いたっいたい!」

「嘘つけ。濡れてるぞ」

 擦られるだけの行為。キョウと比べてガサツだし、私を感じさせようという手の動きではない。ただ痛いだけなのに濡れ始めたことで貴史はニヤッと笑った。

「あー、グチャグチャだな」

「ちがっ、やめっ」

「嬉しいくせに。俺に抱かれたかったんだろ?離婚だって抱かれなくて拗ねただけだろ?抱いてやるから機嫌なおせよ」

「いや、やめっ、うっ!」

 抵抗しようとする私の蜜壺を乱暴に弄りながら、貴史はまた口付けてきた。気持ちが悪い。嫌だ。そんな気持ちが前面に出ている私に舌を差し込むことはなく、ただ口封じのために口を合わせている感じだった。

「あー、もう入りそうだな。ほら足上げろよ」

「いやっ」

「とか言って、期待して嬉しいくせに」

 貴史は唇を離すと、私を拘束したまま器用にズボンのベルトを外して硬くなったモノを取り出した。貴史の目はとても虚ろだった。それが怖くてたまらない。

 でも抱かれたくなんてない。貴史なんて嫌だ。私はあの人じゃないと嫌だ。

 そんな気持ちから最後の力を振り絞って抵抗してみるが、貴史は私の片足を上げて硬いモノをあてがった。

「ほら、入るぞ。お前が欲しいやつ。ほーら」

「いやっいやっ」

「何をしている!!!」

 今にも奥に向かって突き刺されそうになった瞬間に、ピカピカと光るモノで私たち2人が照らされた。眩しくて目を凝らしていると、声をかけてきた人が大きな声を上げた。

「現行犯で逮捕する!」

「ちがっ、同意の上だ!!」

「話は署で聞く」

「違う!!香織!同意だろ?な?な?」

 3人の制服を着た男性警察官が現れて、貴史と私を引き剥がして貴史を引きずるように連れて行った。拘束がなくなって解放された私はその場にしゃがみ込んだ。ボーッとしながら叫んで私に擁護を頼む貴史を眺めていると、女性が声をかけてきた。

「大丈夫ですか?すぐに駆けつけられなくてすみません」

「……いえ、あなたは?」

「あ、えと。目撃して通報した者です。犬の散歩をしてたら貴方が殴られて髪の毛を掴まれて引きずられて連れて行かれるのを見ちゃって。すごく抵抗してたから暴行だ!って思って通報したんです。警察が来るまで貴方が嫌がってる声をただ聞くことしかできなくて、ごめんなさい」

 女性はそういうとポロポロと涙を流した。私より少しだけ年下ぐらいの女性を眺めてから、チラッと足元を見るとその場におすわりをしたダックスフンドが飼い主と私をチラチラと見ていた。

「いえ…ありがとう…ございます」

 終わってホッとしたのか、悲しいのか…。感情が抜け落ちてしまったような感じで、私はただ泣いている女性に「大丈夫です」と繰り返し言っていた。

 病院に運ばれて検査が終わった頃に、子供達とキョウが病院にやってきた。

「ナナ!!」

 病室のベッドでぼーっとしていた私が声がした方向に顔を向けると、心配そうな顔をした4人の顔が見えた。その瞬間に感情が戻ってきた私は目から涙が溢れた。

 検査している時も何も感情が湧かず、ただされるがままだった。でも4人の顔を見たらもうダメだった。

「うっううう」

 堪えきれない涙が次々と溢れた。キョウが私を抱きしめて、翔と翼は私の手を握った。美桜ちゃんは少し遠慮しながらも翔側から私の腕を掴んでいた。

「うっうう」

「もう大丈夫だから。俺たちがきたよ」

「ママ、守ってあげられなくてごめん」

「ママ、痛そう、うっう、うわぁぁん!」

 私が嗚咽を鳴らして泣くと皆んなが泣きながら声をかけてきた。男達は私に声をかけてくるが、美桜ちゃんは私の様子を見て声を出せないのかただ静かに泣いていた。警察に声をかけられるまで私たちは泣き続けた。

 病院で軽く聴取を受けて、頭をぶつけていたため、念のために一晩入院することになった。キョウは子供達を連れて渋々家に帰っていった。

 警察から被害届を出すのかと問われ、私は迷ってしまった。子供の実父、前科をつけるかどうか。迷った結果、一旦保留にすることにした。

 次の日、キョウが病院に迎えにきた。子供達はキョウの家で留守番をしているそうだ。着替えをもらって、着替えると少しだけ心が晴れた。鏡を見れば左頬に大きなガーゼをつけて、頭に包帯を巻いている自分が見えた。頬は一晩たって青くなってしまっていた。とても痛々しくて、キョウがとても辛そうな顔になっていた。

 仕事は休むしかなかった。電話をすると、社長は心配してくれて今日の休みを許可してくれた。

 私とキョウは調書のために警察に向かった。昨日は私達が泣いて詳しい話ができなかったからだ。そしてそこで私たちは貴史を迎えにきていた貴史のご両親にばったり会ってしまった。

「香織さん…」

〈お義母さん〉と呼んでいた女性が私の姿を見て痛ましいものを見た顔になった。そして名前を呼ぶ以外になんと声をかけていいか分からず、右腕を上げたり下げたりしている。

「すまない。馬鹿息子が…」

〈お義父さん〉と呼んでいた男性が深く頭を下げた。それに習って女性も頭を下げてきた。

「子供が狙われなくてよかったです」

「…しかし、女性を殴って襲おうなんて…。それに被害届を保留にしているとか…」

「子供達の父親に前科をつけることに迷ってるだけです。子供達の将来に関係するので」

「あっああ。そうだな。馬鹿息子のためでは…ないよな…」

 男性はそう言って少し暗い顔になった。シーンっとなった空間でキョウが私に耳打ちしてきた。

「調書は今日であればいつでもいいって感じだったし、立ち話も邪魔になるし移動した方がいいと思う」

「うん。そうだね。すみません、ここではなんですので…」

「そう、そうだな。どこか話せる場所に移動しよう」

 男性は私達の提案に頷くと、女性と一緒に歩き始めた。私達も外に出るために入り口に向かって先頭を歩いた。

 近くに喫茶店があったため、そこへ入店して飲み物だけを頼んだ。誰が話すわけでもなく静まり返っていてとても気まずい空気が流れる。しかし頼んだコーヒーが届くと、男性が口を開いた。

「すまない。妻に、女性に手をあげるなんて…男としてやってはいけないことを」

「もう離婚しています。元妻です」

「「っ??!」」

 2人はびっくりしたような顔になった。

「私たち、1年前に離婚が成立しています。彼から聞いてませんか?」

「いや、香織さんと喧嘩して…別居をしていると…」

 2人は戸惑うような顔になって顔を見合わせていた。私はハァァァっと深いため息をついて離婚の原因含めかいつまんで話をした。2人は青ざめたり、顔を赤くしたりと色合いを変えながら話を聞いた。最後まで話終わると、2人は深々と頭を下げた。

「申し訳ない。何も知らず、馬鹿息子の言い分だけを信じて…」

「香織さんが子供を連れて出て行った、マンションも解約したから実家に戻る。そう言われた時に疑問に思ったはずなのに、あの子が一時的だと言っていたその言葉を…ごめんなさい」

 それぞれが謝罪の言葉を述べて頭下げているのを私はどんよりとした気持ちで眺めた。

(子供を信じたい。親として気持ちはわかる。でも、この人たちに謝られても…)

 両親を交えなくてもすんなり決まった離婚。もし、交えていたら変わっていただろう。あの時の貴史を信じて、本人から説明をしてくれているだろうそう思っていた私の中にあった貴史への情という情が、ゼロになってマイナスになった。

「お二人に謝られても…困ります。こちらとしてはあの時の貴史さんを信じた結果であり、反省して謝って欲しい相手はお二人ではありません。頭を上げてください」

 2人は私の言葉に渋々頭を上げた。女性は鞄からハンカチを取り出して泣き出すし、男性は眉間に皺を寄せて何かを耐えている顔だった。そして、チラッとキョウへ目線を向けると、私達2人が一緒にいる意味を察した様子だった。

「昨日のことについて事情聴取があるので、私達はここで失礼します」

「香織さん!…っ」

 泣いている女性は何か言おうと私に声をかけた。だが男性がそれを止めて首を横に振るのを見て続きの言葉を話すのをやめた。私とキョウは立ち上がって軽く頭を下げてから喫茶店から出た。

「菜々子さんの方がまだ誠実」

「………たしかに…」

 私の言葉にキョウは同意していいものか悩んだ後に返事を返した。警察署に戻って事情聴取を受けた事でなぜあの場に貴史がいたのかが発覚した。


 段々と落ち着いてきた貴史はポツリポツリと話したそうだ。

 貴史は子供達をつけたらしい。学校が変わっていなかったことが仇となった。

 夏休み前から有給を使って子供達を尾行して、少しずつ住んでいる場所や私たちの生活リズムを把握したらしい。貴史も仕事をしているため、私たちを見張っていた日は飛び飛びだったそうだ。

 休日に私とキョウが出かける様子も見たらしく、そこから少しずつ精神的におかしくなったと本人は言っているそうだ。そして時折私達が住んでるマンションを仕事終わりに眺めていたらしい。私は定時に仕事を終えて帰るし、キョウは在宅だから基本的に夜は出歩かない。だから貴史が外にいただなんて分からなかった。

 あの日も貴史は私達のマンションに向かっている途中で夜遅くに帰ってきた私を見つけた。そして酔っている私を見て、何故かキョウと飲んできたのだと勘違いしたそうだ。

 私とキョウが出歩いている姿は駅で見かけただけであり、キョウが同じマンションにいるとは(今でも)知らなかったようだ。

 で、頭に血が上っていたら私を殴っていた。そう供述したそうだ。

 殴って引きずってレイプしようとした。それも全部私が悪いのだと初めは話していたそうだが、私は何も悪くないことを第三者から話をされてだんだんと自分がした過ちに気がついたのか、泣き出したらしい。

 そこまで聞いて私はなんとも言えない気持ちになった。

(私が言っても糠に釘。第三者に言われてやっと響くって…もう…)

 貴史に対しての感じた感情は〈呆れた〉その一言だけになった。

 殴られるのも初めてだったから、とても怖かった。でも知らない相手ではなかったからか、私自身トラウマにはさほどなっていない気もする。今はまだわからないが。

 ただ、貴史にはもう会いたくない。それだけだけだった。

 私は本人が反省しているならば、被害届を出さない。そのかわり接近禁止令を申請したい旨を伝えた。

 そして、手続きをして貴史は私にしばらく近寄れなくなった。

 仕事も急に休んでしまったため、その日のうちに申し訳なくて挨拶に向かうと顔の傷が思ったよりひどくて、社長からは今日含めて三日休むように言われてしまった。休んだ日が水曜日だったため実質5日の休みになった。


 無事解決と言っていいのかわからないが、貴史はご両親に監視されることになった。

 事情を全て把握したご両親はギチギチに締め上げているそうだ。貴史本人も大人しくなって、私や子供達に何かしようという気はなくなった様子らしい。憑き物が落ちた様子なのだそうだ。

 そして子供達の養育費や面会について証書を作り直した。理由は簡単だ、私がもう貴史と繋がりを持ちたくなかったからだ。

 面会は子供達が成人してから、子供が希望しない限りできない。その代わり養育費は払わなくていい。それが私が下した決断だった。佐藤さんに頼んで書き換えてもらい、別室にいた貴史とご両親に確認とサインをしてもらった。

 しかし後日、佐藤さんを通してご両親から手紙とお金を渡された。お金は子供達が成人するまでに必要だった養育費分だった。分厚い封筒にめまいを感じながら、手紙を読むと気がつかなかったことの謝罪、孫達にしてやれる唯一の謝罪だから受け取って欲しいとのことだった。

 佐藤さんにも貰えるものはもらえと言われて、私は渋々受け取ることにした。そして子供達の学費に当てるために、手をつけずに銀行に預けた。

 子供達はことの顛末を聞いて青ざめた。そして、翔はますます貴史を嫌ってしまったようだ。翼は複雑そうな顔をしていた。

 面会するかは本人の意思。成人するまでの時間で考えが変わらなければ、貴史は子供達に会うことはできなさそうだ。

 目撃して通報してくれた女性には後日、犬の散歩をしているところを突撃してお礼を言った。いくらか包んで渡そうとすると「お気持ちだけで結構です」と言ってにこやかに断られてしまった。しかし、知らない人が襲われているのを勇気を出して警察に通報し、場所がわかるように近くで待機してくれていた。それがなかったら私はもっと辛い目にあっていたはずだ。だから感謝してもしきれない。それから会うたびに挨拶して、いい距離での近所付き合いをするようになった。

 ひと騒動が終結して、やっと一安心した頃には1ヶ月たっていた。

 キョウとのデートは8月はできなくて、翌月にやっと2人で出かけることができた。




ーーーーー
【補足】
貴史は自分から専業主婦になってほしいとお願いしたにも関わらず、金も稼げない女だと年数が経つほどナナの事を見下していきました。どんなに正論をナナに言われても、馬の耳に念仏。結局、第三者(男性)に言われないと理解できなかった。
モラハラ男ぽいですね。ナナは自分がいなければ生きていけないだろう。そんな心があった。それが不倫に繋がったのかもしれません。
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