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見たくなかった光景※

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「あっあっ…いいです…そこっ…んっ」

「菜々子ちゃん…はぁ、可愛いね」



 なんてこと、なんてこと、なんてこと!

 私は今、目の前で見えている光景に絶望している。ブルブルと震えながら口に手を覆って2人に気がつかれないように気配を消して、音を立てないようにその場から走り去ろうとした。

「あーあ」

 そんな私の肩を掴んで、小声で囁いてきた男の声にパッと顔を上げて見つめると、15年前に別れた元カレが私を見て悲しげな顔で微笑んでいた。

「あれ、俺の奥さんなんだよね。腰振ってるのってナナの旦那でしょ?」

 そう言って顎でしゃくるように、元カレのキョウは話しながら彼らを見つめた。

 視線の先には、私が見てしまった光景がまだ繰り広げられている。

 生い茂る草木に囲まれ、木に掴まってスコートを捲り上げて突かれて喘いでいる女性と、その女性の後ろからスポーツウェアのズボンをずり下げて腰を振っている夫の享楽的な行為だ。

 私は見たくなくて目を覆ってその場にしゃがみ込むと、私の隣にキョウもしゃがみ込んで優しく頭を撫でてきた。

「泊まり旅行がてら応援に来て欲しいとか言うから来てみれば、あれだもんなぁ。お互いの伴侶を呼んで、見つかるかもしれないスリルをあーやって快感に変えてんのかねぇ」

「聞きたくない」

「あ、終わった。うわー、あいつ中出ししてやがる。って、またおっぱじめやがったな。40にしては絶倫だな。いつもあーなの?」

 一度止まった女性の甲高い声が再び聞こえ始めて、私は聞きたくなくて両耳を両手で塞いで首を横に振った。

 しかしキョウは私の片手を耳から剥がして、私の耳に囁いてきた。

「ってことは、若い女に目が眩んでるだけか。やだねぇ。若いって言っても俺と同じ38だぜ?いくら顔も体型も良くてもなぁ。子供1人産んで、夫がいる女に、腰振って中出しって」

「やめて!」

 私が小声だが泣き叫ぶように声を出し、キッとキョウを睨みつけると15年前によく見ていた人懐っこいような笑顔で私に微笑んできた。

「…仕返し、しよっか」

「な、なに…やっ…何して」

 キョウは私の腕を掴んで立ち上がらせると、カサカサと音がしないように気をつけながら少し離れた場所に移動した。そして、あの女性と同じように私に木に手をつかせ、掴まるように押しつけて、履いてるサテン素材のロング丈プリーツスカートを捲った。

「だから、俺らもハメるの」

「な、なんで!!」

「ん?そりゃ、ナナをハメたいから」

 キョウはそのまま私のショーツをずり下げて、乾いている蜜壺を触ってきた。久しぶりの感覚に私の体はブルっと悦びで震えはじめた。しかし、止めて欲しくて私は肩越しに振り返ってキョウに声をかけた。

「や、やめて」

「でもさ、ナナのココ。俺の指を嬉しそうに飲み込んで、涎垂らしてる」

「んっ…やっめ…て」

「ちょっと狭い。久しぶり?どれぐらいヤッてないの?」

 15年前に私たちは体の関係を持っていた。その頃に私の弱い場所を知り尽くしていたキョウはすぐに私に快感を与え始めた。2年ぶりの快感にゾクゾクと体が震える。私の後ろに覆い被さって指を動かすキョウの顔が見たくなくて、私は前を向いて目を瞑った。

「んっふぅっ…ふう」

 そして、感じてる声を出したくなくて、私は着ていたカーディガンを口に咥えて声を抑えた。その様子を後ろから覆い被さって私の耳裏や首筋に口付けながら指を動かしているキョウはクスッと笑った。

「あーあ、ドロドロ。指1本でこんなに濡らして…2本入れたらどうなるの?」

「んん!!」

 グチュッと音を立てて、指が増えた感覚を感じると私の体はビクビクと震えた。増えた圧迫感と触られる面積が増えて、快感も増してきてしまった。

「んー…ふぅ…んっ…んん」

「あ、イキそう?中がウネウネしてきた。ナナはこれになると……」

「んっんんんんん」

「イッちゃうんだよね」

 お腹側の壁をグリグリっと鉤爪のような指で擦られて、私はあっという間に絶頂に達した。ビクビクと体を震わせて余韻に浸っていると、ヌルリと指が抜けていった。

 終わったことで私がホッと息をついていると、後ろからカチャカチャとベルトを外す音がしてくる。慌てて目を開けて後ろを振り返ると、興奮した顔のキョウが私を見ていた。

「ハメちゃうね?」

「んんんんんー!」

 イヤイヤっと首を振るが、熱くて硬いもモノが濡れた蜜壺の中にグチュッと音を立てて侵入してきた。

 久しぶりに男性を受け入れ、求められるように腰を振られる快感に私はあっという間に流されていった。

「んっふっ…んっんっ…んん」

「あー、やっぱ、ナナの…なかが…1番…だ」

 はぁはぁと息を荒くしながらキョウは腰を振った。私の弱い耳を舐めて、吸いながら卑猥な音を聞かせてくる。その音も快感の刺激になって、私をどんどん絶頂の高みに連れて行った。

「はっ…やべっ。もたねーわ…中に出すよ」

「っ!?…んんんん!んん!んんっんん!!」

 ダメっと声を出したいけど口にある布を外しては、快感に溺れた声が出てしまう。私は口の布を含んだまま首を横に振るが、キョウは腰を振る速度を早めて私を一気に快感の絶頂に到達させた。

「んんんんんん!」

「くっ…やっぱ、最高…あっ、出ちゃった」

 達してビクビクと震えている私の中で数回腰を振ってから、キョウは色っぽい声を私の耳元に囁きながら、私の中にドクドクと熱い精を注いでしまった。

 

     ガサッ



 音が聞こえてパッと視線を向けると、顔を青白くした私の夫である貴史たかしと、涙を流しているキョウの妻が私達を見ていた。

「あーあ。そっちもう終わった?ちぇー。俺も2回戦したかったなぁ」

「んっ…」

 ズルリと抜けていく感覚がまた気持ちよくて、私はブルリと体を震わせた。キョウが離れるとお尻が涼しくなるが、サッとスカートを下ろしてくれたのでそれもすぐになくなった。

 でも、中に出されたことでツーっと股の間から何かが垂れている感覚を感じていた。

 達した余韻に浸りつつも、見られてしまって茫然自失としている私の足首に引っかかっているショーツを慣れた手つきでキョウははかせた。

 その一連の様子を私達を見ていた男と女は、ただ青ざめて何も声を出さずに眺めていたようだ。

 私は口に咥えていたカーディガンを口から離して、ボーッと立っていた。

 この場で意識がしっかりしていて、考えて行動できているのは、私を抱いたキョウだけだった。

「あんたらが、ハメてたから、俺もハメただけ。中出ししてたから、中出ししただけ。何か違いがある?」

 キョウはフンっと鼻を鳴らすと、私に入れていたモノをズボンの中にしまって、いまだ木に掴まっている私を抱き起こした。

 そして優しく私に微笑むと、私を腕の中に閉じ込めてギュッと抱きしめてきた。その様子を見た夫は「あ!」と声を出してこちらに近寄ろうとする気配を感じた。

 私は頭を押さえ込まれてキョウの胸元に顔を埋めさせられているため、振り向くことができない。トクントクンと動くキョウの心臓の音と、3人が話す声しか聞くことができなかった。

「なんでそんなに怒ってんの?俺の妻をさっきまで抱いてたのお前だろ?」

「っ…だからって…俺の妻を抱かなくてもいいだろ!返せよ。香織は俺の妻だぞっ!」

「あっくん…どうして…」

 3人の声だけ聞こえてくる状況は私を少しだけ冷静にさせた。

 夫の貴史は同い年の40歳。元カレのキョウは38歳。奥さんは38歳だったか…。

 あれから、キョウはあの奥さんと結婚して子供を産んでもらったんだなぁ。そんなことぼんやりと考えていると、頭の中に昔の思い出と記憶が蘇ってきた。
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