【完結】守り手のご褒美は私

あさリ23

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守り手のご褒美は私

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「あむっ。ふぁぁ、おいしぃ」

 私は口の中にピンクの丸いものを入れて、コロコロと転がしていた。

「ふー。12時間お腹が空かない飴を食べ続けて3日。このスキルに気が付かなかったら…野垂れ死だわ」

 溶けていく甘い桃の味を感じながら、森の中にあるおおきな樹のウロの中に入って、雨模様の空を眺めた。


 高藤 伊織(20歳)は現在知らない土地で迷子だ。

 気がついたら鞄一つ、Tシャツにジーパン姿で森の中で寝てた。何故ここに来たのか、どうやって来たのか。そんなことは覚えていない。

 初めはパニックになって持っていたスマホの電波を探して森を彷徨った。が、結局電波はなかった。仕方ないので元の場所に戻ろうとしたが、戻り方が分からず…

 闇雲に歩いて、空腹で倒れそうになった時に頭の中に浮かんだのが『美味しいものが食べたい。お腹いっぱい』だった。

 すると私の右手のひらに何かあることに気がついて、手のひらを開けると透明な球体があった。指でつまむと少しネチャっとして、匂いを嗅ぐと少し甘い。この感じに身に覚えがあった私は『飴だ!』っとパクっと口に入れた。

 入れた瞬間に今まで食べたことがある『美味しいもの』の味が次々と口の中に広がった。そして、お腹が満たされるような気分になったのだ。

 それは気分ではなくて、3時間ぐらいは本当にお腹いっぱいだったのだ。

 ここで私は気がついた。もしかして、日本じゃないのかもしれないと。

 よくあるお話みたいに自分が別の世界に来たのだとしたら?私は何か作り出す能力があるのかもしれない。

 そう思って、今いる大樹のウロで試行錯誤した。

 結果、私の能力はおおよそ【食べたい味、食べたい大きさの飴に〇〇になるなどの効果を付与し、時間を設定したものを作り出すことができる】ということがわかった。

 それでまず作ったのは【チョコ味の一口サイズの飴、12時間はお腹いっぱいになる】という飴だった。口に広がる美味しい味、そしてお腹いっぱいになる感覚。私はそれでやっと空腹から脱出したのだった。

 動き出そうとしたけど、あいにくの雨で動くことができなかった。

 外には作り上げた飴たちで食べきれなかったものが転がっている。雨に打たれてだんだんと小さくなっていく飴を眺めながら、私はため息をついた。

「はぁ…流石に森で暮らすのは嫌だな。服が綺麗になるとか作っても、効果はなかったし…。結局は身体的精神的に影響するものだけで、物理的なものは無理なんだもんなぁ」

 ふーっとため息をついていると、少し肌寒くなって来た。私は自分の体を抱きしめて縮こまって、暖をとった。

「ふぁぁ。ちょっと寝よう」

 シトシトと降る雨の音を聞きながら私はゆっくり目を瞑った。





「おい、おい。こんなところに人間がいるとは……おい、起きろ」

「んっんん?」

 目を開けると大きな体の男性が私の肩を掴んで大きく揺すっていた。私が目を開けた事に気がついた男性は少しホッとした顔になった後に眉間に皺を寄せて私を見つめて来た。

「女。なぜ、ここにいる。ここは神聖な森だ。人間は入れないはずだぞ」

「んっ……ごめんなさい。気がついたらここにいて、ここがどこかも知らなくて…」

「…まさか。いや、まぁ…森が呼んだというのなら…連れ帰っても問題ないのか?」

 男性はブツブツ呟くと、私を不機嫌そうな顔で見つめて話した。

「俺の家に行くぞ。ここの森はもう少しで雪が降る」

「え!?」

「…迷ってる暇はないぞ」

 男性は大きな手で私の腕を掴むと、ヒョイっと肩に担いで歩き始めた。シトシト降っているはずの雨は何故か私たちの体には当たらず、私は俵のように抱えられて揺れる振動と男性の温かさでゆっくりと意識を失った。



「ん?んんん?」

 寝起きで頭が機能していない間に連れ出されて、私はいつの間にか暖炉に火が入ったポカポカ暖かい部屋のソファーで眠っていた。

「どこ、ここ。あれ、えと…でっかい男の人がきて、話しかけられて…えーっと」

 何が起きたのか思い出そうと、こめかみに両人差し指をあてて考えるが、それ以上は何も思い出せなかった。

「お、起きたか」

「にゃ!」

 声がした方に目線を向けると、大柄の男性が佇んでいた。私がびっくりして飛び上がると、男性はクスクスと笑い始めた。

「そんなに驚かなくても…くくっ。カウの乳をあっためたものだ。飲むか?」

 男性の手を見ると、湯気がたってる木のコップのような物を持っていた。私が小さく頷くと、そっと私の目の前に差し出してきた。木のコップに入っていたのは真っ白な液体だった。

 受け取ってからクンクンと匂いを嗅ぐと少しだけ甘い香りがする。一口含んでみると、優しい甘さが口の中に広がった。

「んん!ホットミルクだ!」

 久しぶりに飴ではない物を口に入れて、私は夢中になって飲み始めた。男性は私の隣に座るとその様子を見ながら優しく微笑んでいた。

「ぷはぁぁぁ。おいしかった」

「よかったな。に、してもよく生きてたな…。獰猛な魔獣もいるような森なんだがな」

「え!?…そ、そうなんですか?木々と草と花、時折囀る鳥の声ぐらいしか…静かな森だと思ってました」

「ふー。森の加護持ちなのは確定だな。お前、この世界の人間じゃないな?」

 私はギクっと体を震わせて、〈何故わかった〉という顔で男性を見つめた。男性は私から木のコップを取り上げてから私が口付けてたところをぺろっと舐めた。

「ぎゃっ!?何してるの!?」

「いや。まさかなっと思って…」

「何の!?」

 男性はうーんっと悩んでから立ち上がると一旦部屋から出て行った。それから手ぶらになって帰ってくると、着ていた上着を脱ぎ始めた。

「ぎゃ!?なに、なに!?」

 びっくりして手で目を覆うと、私の前に何かが立った気配がした。

「ちょっと見てくれ」

「ど、どこをで、で、ですか」

「背中」

 背中?っと思いながら指の隙間から前を見つめると、大きな背中いっぱいに熊が咆哮をあげているような絵が描かれていた。

「熊?」

「…やっぱりか。これが何か見えるんだな」

「う、うん。いや、はい」

 覆っていた手を外して、顔を出すとコクリと頷いて返答した。それを肩越しに見ていた男性はフーッと深く息をついて話を続けた。

「これはある意味加護であり、呪いだ。この森の守り手に現れる証だ。そしてどんな姿になるのかは本人も変身してからしか分からない。だが、長い年月、無事に森を守り続けるとご褒美がもらえる」

「ご褒美?」

「伴侶だ」

「ふぁ!?」

 口をポカーンっと開けて男性を見つめていると、男性は立ち上がって上着を着た。そしてまた私の隣に座ると私の頭から足先までじっと眺め始めた。

「な、なんでしょう」

「伴侶は別世界から来る、そして守り手の体のどこかにある模様を見れば何が描かれていて、何に変身するのかを言い当てる。また、伴侶の体液は甘い。コレが守り手の引き継ぎ時に聞く話だ。たしか、前に伴侶が来たのは500年前だったか…」

「…あの、つまり私は…森に選ばれて貴方の奥さんになるためにここに連れてこられた…と?」

 確認するために同じことを繰り返すように声をかけると、男性は首を縦に振った。

「ああ。しかも、冬籠りする直前に与えるとは…くくっ。家から出るなという事だろうな」

「雪だから?」

「そうだな。寒いしな」

 どこかニヤつくような声で男性は笑うと、私のTシャツの襟を引っ張って、上から覗き込んだ。

「ちんちくりんだと思ったが、体は成人だな」

「な!」

 男性の手と頭を引き剥がしてから、胸元を腕で押さえてキッと睨みつけた。しかし男性は狙うような目で私を見つめて笑った。

「あとな、伴侶を見つけたらやらねばならんことがある」

「な、なに」

「見つかって一日以内に交わらんと、伴侶は儚くなる」

「ふあ?!死ぬって!?」

 またびっくりしてポカーンっと口を開けていると、男性は私の手を優しく撫でながら話を続けた。

「ああ。お前、何か蜜を固めたような物が出せるだろ?」

「!?!?!」

 飴のことを何故知ってるの!?っと思いながら男性を見つめると、顔に全て出ているのか男性はニヤニヤと笑った。

「やはりな。お前は液体以外はその蜜の塊しか食えんそうだ。伴侶に出会うまでは森が蜜を作る手助けをする。しかし、伴侶と出会ってからは蜜を作り出すために体液の交換がいる。そしてその後は伴侶の体液を常にもらわねば蜜が出せなくなる」

「なんですと!飴が主食!?でも、味を変えたり…時間の設定したり…」

「お前の世界の知識を元に作られるそうだ。細かくできるとは知らなかったが…」

「つま、つまり。貴方とエッチしないと…食べ物が出せなくて死ぬと…」

「〈えっち〉の意味はわからんが、こちらの考えとお前の考えは合っていそうだ。つまり、そういうことだな」

 私はヒェッと声を出してから私の手を撫でている男性の手を見つめた。

(男らしい大きな手)

 その後に男性の顔を見つめた。出会った時は不機嫌そうだったけど、今はかなりご機嫌だ。

 茶色い髪の毛に茶色い瞳、逞しい体に似合っている野性味あふれる顔立ち。短く切り揃えられた髪の毛がさらにそれを引き立たせていた。

 熊だとしたら…ヒグマ、いやグリズリー…。とにかく大きな熊だろう。

 私が観察している事に気がついているのか、男性も私のことをジロジロと見ていた。

「あ、あの…すぐに必要ですよね…」

「そうだな」

「えと…私初めて…で、その…大きなのは…無理かなぁって」

「できないような伴侶をよこすわけがないだろ?」

「うっ」

 男性はニヤッと笑うと暖炉の前に行って火を消した。そして私の前にやってくるとヒョイっと持ち上げて、また俵のように抱えて歩き始めた。

「あ、あ、あの…」

「お前の蜜はお前にしか効果がない。だから、何か作って食えばいいんじゃないか?怖くないようにとか痛みを感じないようにとかな」

 男性は歩きながら声をかけると、別の部屋の扉を開けた。そしてふかふかの上に私をポイっと投げた。私は柔らかい感触を感じながらキョロキョロと周りを見渡した。

 大きな大きなクッションがある寝床のような場所だった。部屋の中は暖房器具もないのにポカポカと暖かい。心地よさを感じていると、男性は服を脱ぎ始めた。

「えっ、まって、もう!?」

「せっかくの伴侶を死なせたくはないからな」

 男性は全て脱ぐと、逞しい体と大きなアレを私に見せつけながら近寄ってきた。

(むりむり!あんなの入らないよ!…な、なんとか…えっと…何か…うっうう。漫画とか小説とかこういう時どうだっけ…えっと……あ!!)

 私は思い付いたことを思い浮かべながら、ピンクの飴を2つ作った。

【初めてでも痛くない飴】
【エッチな気分になる飴】

 効果時間や効果の威力は特に考えずに作りだした飴をパクッと口に入れて、苺味の飴を2つ舐めた。その様子を男性は興味深そうに眺めていた。

「どんな蜜にしたんだ?」

「…痛くないよう…に、する…」

 あっという間に口の中で溶けた飴は、すぐに効果がではじめた。なんだかムラムラして、男性が欲しくて欲しくてたまらなくなってきた。

「はぁ…エッチしたい…はぁはぁ」

「くくっ。なかなかいい効果のものを食ったようだな。嫌がられるよりもマシだな」

 私は男性が話しているのを横目に服を全部脱いで、まだ立ったままの男性に抱きついた。

「早く早く、これ…ほしいの」

 床に膝立ちになると目の前にある美味しそうなモノをパクリと口いっぱいに含んだ。男性のなんて口でしたことないけど、私はこれがたまらなくほしくてジュウジュウ吸ったり、咥えたまま頭を動かした。硬くなるほど口に入りきらなくて、最後は先端だけを口に入れて根元は手で刺激していた。

「くっくくく。積極的でいいぞ。俺も…女を抱くのはかなり久々だからな…はぁ、気持ちがいい。なかなかうまい」

 刺激しながら男性を見上げると、恍惚とした顔で私を眺めて優しく頭を撫でてくれた。なんだかそれが嬉しくてもっと喜んでほしくて、粘着質な音を立てながら刺激し続けた。

「くっ…だす…ぞ」

 男性の硬いモノがドクンっと大きくなるとビュルビュルと口の中に粘着質で甘くて美味しい熱い液体が注がれた。私は夢中になって液体を飲み込んでいると、男性は優しく頭を撫でながら声をかけてきた。

「お前は液体か蜜だけだ。だから、これがうまく感じるそうだ。どうだ?」

 全て飲み込んでから名残惜しそうに少しだけ柔らかくなったモノを下から上に舐め上げていると、男性はフフッと笑った。

 甘い味がしなくなるまで舐め上げてから私はやっと口を離して男性に声をかけた。

「すごく美味しかった」

「そうか。それは良かった。これからお前の主食だしな」

「んっ…」

 まだムラムラした気持ちのまま私は立ち上がった。すると男性は私をポスっと大きなクッションに押し倒すと、股を大きく広げさせて股間を眺め始めた。

「ああ。すごく可愛いな。うまそうだ」

 そのまま股間に顔を埋めて私の蜜壺をジュルジュルと音を立てて吸ってきた。

「あっあああん…んっんっ…あっあん」

 こんなの初めてなのに、気持ちよくて気持ちよくて私はクネクネと腰を揺らして快感を味わった。

「んっ…伴侶の体液はここも甘く感じるのか。これはいいな…」

 中に舌を差し込んだり、ヒダの周りや溝に舌を這わせながら男性はどんどん私に快感を与えた。

「あっあっん…んっ…ものたり…なっ…もっと…」

「くくっ。そうか…しかし、まだ待て。広げんとキツそうだ」

 男性は口を離すと私の上に覆い被さって貪るように口付けてきた。

「んっんっ…んっん」

 ディープキスなんて初めてだけど、甘くて気持ちが良くて私は男性の動きを真似るように舌を動かした。
 
 男性は大きな手におさまってしまう私の膨らみを両手で揉みながら、時折突起を摘んだ。それも気持ちよくて、私は口付けに酔いながらもビクビクと体を震わせていた。

「ちゅっ…なかなか反応がいい。蜜の効果だけか?」

「んっ…わかんない…初めてなのにすごく気持ちがいいの」

「そうか。それはいいことを聞いた」

 男性は唇を離してから首筋に吸い付いて赤い痕をつけていった。吸われる感じも気持ちよくて、私は吸われるたびに喘いだ。胸の膨らみを揉まれながら突起を吸われて喘ぎ。赤い痕を散らばせられるたびに喘いだ。

 どんな刺激も全て気持ちが良くて、頭の中はすでにトロトロに溶けていた。

「触るたびに反応されるのは、いいな。ここもまたドロドロにしてるな…さて、一本は……」

「あっあん」

「すんなり入ったな。痛くないか?」

「んっ、痛くない…あっああ、あっあっ、これやばっあっああ」

 指が私の中で暴れ始めると、今までの刺激より気持ちが良くて私は何かが込み上げてくるような感覚を覚えた。

「あっあっあっ、なっん…か、くるっはぁああん!」

 お腹側の壁を押し上げるように触られるだけで気持ちが良くて、私は込み上げたものが頭を駆け抜けて出ていくような感覚を覚えた。それが最高に気持ちよくてガクガクっと体を震わせた。

「おー。うまく達したな」

「んっ…イッた…ってこと?」

「お前の世界ではそういうのか?達するは女が快感を高めて感じたことだ。どうだった?」

「何か溜まりに溜まって吹き出して頭から突き抜けた感じで、すごく気持ちよかった。私イッたんだ…」

 さっきの現象を頭の中で理解している間に、私の中に指が急に増えた感覚を覚えた。

「乙女だと思ったから丁寧に抱こうと思ったが、痛みもないようだ。少し激しくしていいか?」

「あっあっ、うん…あっ!そこダメ…きもち、きもちよすぎる…のぉ…あああん」

 またお腹側の壁を、さっきより増えた圧迫感で押し上げならがら刺激されるとまた体の中に何か込み上げ始めた。

「もう。俺の指を三本食ってる。いい具合だな」

「はぁっあああ、あっあっあっあっ…なんか、あっっ…で、ひゃあああ」

 込み上げたものが一気に解放されて、ブシャァっと音を立てて何かを吹き出した。その感覚が気持ちよくて余韻に浸っていると、男性はズルっと指を引き抜いた。

「これは上等な伴侶を受け取っちまったなぁ。返せと言われても、もう返せんぞ。森よ、感謝する」

 男性は天井に向かってつぶやいてから私の股を大きく広げて大きな体をおさめると、熱くて硬いモノを私の濡れた蜜壺にあててきた。

「あっ、それ」

「大丈夫だ」

「あっああ、はいって…る…んっんん…おっき…おっきいのぉぉぉ」

 両手を伸ばして抱きつこうとすると、男性は体をかがめた。男性の首に腕を回して入ってくる感覚に浸っていると、私の中にミチミチに大きくて硬いモノがおさまってしまった。

「はぁ…これは、たまらん。すまん。女の体は200年ぶりなんだ…」

「あっあっあっああ!はげち…あっあっあ!イイ!イイ!きもちい!あっああ!」

 男性は私を両手で押さえ込むように抱き込むと激しく腰を振り始めた。初めてなのにすごくすごく気持ちが良くて私は広げていた足を男性のお尻に回して、もっと奥に入れてもらえるようにグイグイと腰を動かした。

「あっあっあっ…あっ!そこ、そこぉ!奥…イイの!」

「はぁ…はぁ…ここか、ここの窄まりだな…ああ、そんなに締め付けるな…たえられ…ん」

「あっあっあっ、あああ!グリグリしたら…イッちゃ…イッちゃうの!あっああああ!」

「っく…だす、だすからな!」

 奥に先端をグリグリと押し付けられるようにさすられるのが気持ちよくて、私は何かが込み上げて溢れ出て頭から抜けていく感覚を覚えると、ガクガクと体を震わせて達した。中もキュッとしまったのか、ドクンドクンっと奥に向かって熱い精を出された感覚を感じた。

「はぁ…はぁ…すごい、エッチって…こんなに気持ちがいいんだ」

「ふぅ…俺もこんなにいいのは初めてだ。久々だとしても、俺たちは相性がいいようだな」

 ムクムクと大きくなる硬いモノの感触を感じると、嬉しくてたまらなくなった。

 またあの気持ちいいことができる

 私がウットリとし始めると、男性はニヤッと笑って私の耳元に囁いた。

「俺はガイ。お前は?」

「んっ…イオリ…」

 お互いに名前を囁き合ってから、激しく口づけあって再び快感の海へと沈んでいった。



 気がついたら、四つん這いになって毛むくじゃらの大きな熊に乗っかられていた。

「あっあっあっ、ガイ!ガイ!」

『気がついたか。すまんな、こっちでもする必要があるかもしれん。怖がらせないように寝てる間にしようとしたんだが』

「あっあっあっ、あっあん!…ぁぁ…出てる」

 大きな熊にガツガツ腰を振られて快感を感じたが、あっという間に中に熱い精を注がれた。

『動物はそんなに長くないからな』

 ガイはそういうと、モコモコの体を離して中からずるりとモノを抜いた。

「熊さんのが入るんだ」

『お前だからだろうな。この姿でもなかなかよかった』

 ガイはもふもふのまま大きなクッションに横たわった。私は体から溢れる液体を感じながら裸でガイのお腹に丸くなって寝そべった。

「お腹いっぱい」

『そうか。子種も何度出したかわからんくらい出したから…しばらくはもつだろう。すまん、冬にこの姿になると…眠気が…』

 私は振り返って大きな熊の頭を撫でながら微笑んだ。

「冬眠?私も一緒に寝ようかなぁ。飴食べたら熊になれないかな…」

 思いつきで【ガイが冬眠の間だけ熊になる飴】を作った。茶色の飴を口に入れると、黒糖のような味がした。

『ん?』

 体がムズムズした感覚を覚えると、ブワッと何がが出て形が変わった感覚を覚えた。

『わーい!熊だぁぁ!』

 自分の体を眺めてから、私よりも2回りほど大きな熊のお腹に背中をくっつけた。

『はぁう…確かにポカポカしてて、眠く…』

『なんだ、イオリ。変身までできるのか…じゃあ2人で…寝よう。冬は魔獣も静か…だから…な』

 二匹の熊は寄り添って目を瞑って眠り始めた。


 気がついたら春で、起きてすぐに熊のガイに熊の私は襲われた。感想は人間同士の方がいいだった。

 交尾が終わるとすぐに私の変身が解けて、ガイも人間に戻って2人でイチャイチャイチャイチャしまくった。熊になってたからか知らないけど、私の髪の色が黒髪黒目からガイと同じ色合いに変わっていた。そして私は熊にしかなれないことがわかった。まあ、そもそも物理的に作用する飴はないはずなのに、体が作り変わるだなんて…。森が何か関与してることは明らかだった。

 ずーっとイチャイチャしていたいけど、流石にガイのお腹空いてたきたので、一旦やめてご飯になった。

 ご飯を食べながらこの世界の話を聞いていると、〈熊〉で話が通じていると思っていたがガイは言葉のニュアンスで察していただけだったことが分かった。この世界では〈ベア〉という名前が正しいらしい。まっ、ベアーもベアも熊も同じだ。うんうん、大差ない。

 姿形も私の世界の熊と似ているが、よく見れば指が6本あった。なんというか、手首あたりにもう一つ肉球と爪がある感じだ。

 そして、私たちが巣篭もりしたこの家は守り手のために作られているそうだ。裏手には畑があるし、川もあった。お肉はガイがウサギやイノシシに似た動物を狩ってきていた。牛乳とか卵は歩いて20分くらいにある街へ買い出しに行った。

 森の中には守り手か守り手候補しか入れない。伴侶の私はガイがいないと森から出られなかった。森を抜けてすぐの風景は今思い出しても圧巻だった。ひらけた空間と栄えた街並み。人間が動いている様子が久しぶりで私は興奮した。

 街は守り手のことをよくわかっている。ガイが私を連れているのを見てすぐに伴侶が与えられたと気がついて、街の人々は私達を祝福した。お金も払ってないのに、石鹸や洋服、香油、牛乳やバター、卵など自給自足では手に入らない物を次々と皆んなが手渡してきた。

 私たちはお礼を言って2人で仲良く荷物を持って初めての外出が終わった。


 春が来て、夏が来て、秋が来て、また冬が来て。私はガイと毎日楽しく気持ちよく過ごしていた。

 2回目の春が来た頃に、私はガイの背中の模様が少し薄くなっていることに気がついた。それをガイに伝えると「守り手の交代か」と呟いていた。

 ガイの世界は森を真ん中にしてたくさんの国々があるらしい。森は神聖で、意思がある。皆大事に扱っているそうだ。

 守り手も森が選び、任期も森が決める。いつ守り手の任を解かれるかは、守り手にはわからないそうだ。体のどこかに現れる模様が薄くなった頃が森からの報せのようで、そろそろ任期が明ける事を示しているようだ。逆に守り手の候補者は徐々に模様が出てくるそうだ。

 どんどん薄くなってほのかに見えるようになったのが秋に入った頃。森の恵みのキノコや山菜を食べていると、家に1人の男性が訪ねてきた。

「ここは守り手の…」

 私が扉を開けると、アッシュグレーの髪色に金色の目をした男性が立っていた。

「あ、ガイ!待ち人が来たよ」

 私は後ろに声をかけると、のしのしと大きな体を揺らしてガイがやってきた。そして私の後ろから男性を見つめると、ニヤッと微笑んだ。

「やっと来たか。そろそろだとは思っていたが…さて、引き継ぎをしなければならんな。とりあえず中に入れ」

 ガイが中に入るように促すと、恐る恐る男性は入ってきた。

「イオリ。茶を淹れてくれ」

「はーい」

 守り手同士で話すことがあるのだろう。私はキッチンに向かった。お湯を沸かしてからも、なるべくゆっくりお茶を淹れてお盆に木のコップを3つのせてからソファーがある部屋に向かった。

「ってことだ。いいな?」

「……わかりました」

 ちょうど話が終わったようで、私はホッと息をついて2人に近寄った。

「お茶だよ。ぬるくなったけど逆に飲みやすいと思うよ」

 あははっと私が笑うと、ガイはクスッと笑って木のコップを2つ手に取って、1つを男性に差し出した。男性はコップを受け取って一口飲んでから、私の存在を不思議そうな顔で眺めた。

「ああ。言い忘れていた。長年、森を無事に守り続けた守り手はご褒美がもらえる。俺は200年ほど森を守った。それで約2年前にイオリを森が俺に与えてくれたんだ」

「ご褒美…ですか」

 男性は腑に落ちないようで首を傾げてガイを見つめた。

「つまり伴侶だ。森が選ぶ伴侶は別の世界から来る。そして体液は甘い味がする。また、守り手の証である模様が何を描かれているのか当てることができる。お前はまだ何に変われるかわからないだろう?」

「はい」

「それを見ずとも言い当てる。そしてもう一つ。伴侶は蜜を固めたものか、液体しか受け付けん。蜜は自分で出せるから問題ない。が、お互いに出会って一日以内に交わらなければ、伴侶は死ぬ。森の加護は伴侶に出会うまでしかない。しかし、出会ってからは守り手の体液を摂取しないと蜜が出せん」

「……なるほど」

 男性はふむふむと頷いてからチラリと私を眺めた。そしてガイを見つめてから、ガイに耳打ちするようにヒソヒソと話しかけていた。

「くっくく。イオリは20でここにきて、ずっとあの容姿だ。元々は黒髪黒目だったが、俺と交わることで俺の色合いになった。これも伴侶だからかもしれんな」

 男性はふーむっと唸ってからポツリと呟いた。

「200年ですか…」

「ああ、長い長い時間だ。しかし、頑張ればこうやって褒美がもらえる。任期は森が決める。お前がいつまでやれるかは分からん。が、長い道のりにも光はある。それに、守り手の間は歳を取らん。守り手を交代してから年齢を徐々に重ねるそうだ。俺の模様が全て消えたら交代だ。それまで1番近い街で泊まってろ。守り手の候補者だと言って証を見せれば、金も取られんからな。良心的だろう?」

 くくくっとガイは笑うとお茶を一気に飲み干した。ソファーに座るガイの膝に乗ると、私もお茶をごくごくと飲んだ。その様子を向かい側に座っていた男性は少しだけ羨ましそうに見つめてからお茶を飲み干していた。



 背中が綺麗になったのはそれから三日後だった。何も知らせなくとも守り手になるのがわかるのか、あの男性は昼頃には家にやってきた。

 ガイは家の構造や使い方を教えて、どんな生活になるかを教えた。夕方にはガイは鞄一つ、私は元々持っていた鞄とここにきた時に着ていた服を持って家から出た。

 男性は少しだけ寂しそうにしながらも私達を送り出してくれた。そして、私はガイの右腕に抱きつくと、2人仲良く街に向かって歩き始めた。

「私って歳取ってる?」

「いいや。出会った時と同じだ」

「じゃあ、私もガイと一緒に歳をとるのかな?ガイが死んだら私も死ぬね。だってガイの体液もらえないし」

「くくっ。そうだな。勃たなくなったら口付けだけで満足してくれ」

「もう!エッチ」

 ベチっとガイのお腹を叩くと、ガイは痛くないのに痛がるような仕草をした。

「あー、イテテ、イオリの甘い蜜を食べないとお腹が痛い」

「もぉぉおお!街に着くまで我慢して!」

「じゃ、宿で抜かずに…」

「もう、エッチ!」

 私はまたガイのお腹を叩くと、ガイはケラケラと笑い始めた。


 やっと動き始めたガイの時間。私はその時間を共に生きていく。

 元の世界のことは気になるけど、でも今は大きな熊のような夫が気がかりだ。これから先どうやって生きていくのか何も決まっていない。でも、何故か私は全く不安を感じていなかった。

 フッと思いついて私はガイを見上げながらニンマリ笑った。

「ガイ。あとで、エッチな気分になる飴を食べてあげよっか」

「お、いいな。久しぶりに乱れまくるイオリを堪能するか」

 少しだけ不安そうな瞳だったガイは、嬉しそうに微笑むと私の頭に口づけを落とした。

「愛してる」

「私も」

 立ち止まってお互いに啄むような口づけをして愛を囁き合った。また歩き出した頃にはガイの瞳も不安の色は消えていた。

 2人で生きていこう。最後まで。愛おしい熊さんと。

 
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 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

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