誰にも言えない初恋

山本未来

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ある夜の出来事

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カラオケの後、夜ご飯も誘われて

行こうかどうか考えたけれど

きっと2人で行きたいのではないかと

思い、用事があるからと行って

帰る事にした


自転車での帰り道

まだ5時過ぎと言うのに日が暮れて

辺りは真っ暗になっていった


家の近くの公園の前を通ろうとした時

スーパーの袋をかかえた玲奈ちゃんママが

ちょうど家に帰ろうとして歩いている

姿が見えたので僕は咄嗟に声をかけた


「こんばんわ!」

「あっ!翔くん!!何処かに出かけてたの?」

「あっ!はい!友達とカラオケに

行ってました!」


「そっか~カラオケかぁ~いいね!

あっ!翔くん今、時間ある?」


「あ、、はい、、大丈夫ですけど、、」


「少しだけ公園で話ししない?」


僕は突然の誘いに驚いたけれども


とても嬉しくてはい!っと速攻答えた


僕は自転車を止めると公園の

ベンチに向かい腰掛けた


このベンチで僕がまだ小学生の時

玲奈ちゃんママにくっついて

色々な話ししたのを思い出した


そんな事を考えていると


「翔くん、引き止めてごめんね~

これ一緒に飲もうと思って

買ってきたよ」と言って

温かい缶コーヒーを渡してくれた


「ありがとうございます!」


辺りは真っ暗であまり人通りもなかった

と言うか、2人の世界に入っていたから

その事で心がいっぱいで周りに

目が行ってない状態だった


「進路決まった?」

「色々考えたけど今の所、就職しようかと

思っています、、」


「そっか~翔くんが決めた事だから

そっちに向かって頑張るしかないよね~

いい所に就職出来るといいね

私応援してるからね!」


「あ、ありがとうございます!

あっ!それといつも色々もらったり

心配してもらってありがとうございます!」


「そんなの全然いいよ~

なぜだか分からないけど翔くんには

何か少しでもしてあげたいな~って

いつも思ってるし、翔くんと話すのも

楽しいしね、、」


玲奈ちゃんママはまた大きな目で

僕を見つめて微笑んだ


沈黙が続いてふと玲奈ちゃんママの方

を見ると綺麗な満月を優しい目で

見つめながらコーヒーを少しずつ

飲んでいる姿に釘付けになった

可愛い~、、


僕はその姿をじっと見つめると

ドキドキが止まらなくなり

鼓動が激しくなるのを感じた


そしてベンチの上にそっと置かれた

玲奈ちゃんママの手を見て

思わず握りしめそうになった


でもそんな事は出来なくてまた

玲奈ちゃんママの横顔を見つめた


それに気がついた玲奈ちゃんママは

「これからどんどん寒くなるから

風邪引かないようにね!」と言って


僕を見つめたので僕は目をそらさず

じっと見つめた、、


玲奈ちゃんママに触れたい

抱きしめたい、、


その気持ちが心から溢れて

たまらなくなり今にでも

行動を起こしたくなる衝動に

苛まれた、、


そして玲奈ちゃんママもそれに

答えるように僕を見つめ続けていた


2人の周りには普通の空気とは違う

特別な空気が流れていて

その空気の中には誰一人入る

事が出来ない感じで、、


沈黙がとても心地良くて、このまま

ずっと見つめ合っていたい気持ちが

お互いに合致している感じで、、


冷たい風と優し風が混ざって

僕達をつつみ込み、急激に僕達の

距離が縮まって行く感覚に陥った


そしてどちらからともなく

お互いの手が触れ

自然に手を握りあっていた、、


その握りあった感覚は長かったような

とても短かったような、、


一瞬のとても幸せな時間だったような

そんな感じだった、、


「あっ!ごめんね、、

私どうしちゃったんだろう?!

頭おかしいね、、、」


僕達は握りあったその手を

急いで離した、、


それと同時に玲奈ちゃんママは

「翔くんごめんね、、」

そう言って大急ぎで走って行った


僕は頭がパニックになるのと

まだ感触が残る握り合った手の感覚が

忘れられなくて、しばらくベンチで

ぼーっとしていた


玲奈ちゃんママが僕を見つめる眼差しは

優しさとかそんなものではなくて


恋しているような、心が僕を求めて

いるような、、そして僕と同じように

苦しんでいるようなそんな強い眼差し

に感じた


そして玲奈ちゃんママも僕の事きっと

好きなんだと確信出来た、、


だけど、どうする事も出来ない


お互いの気持ちが交わった瞬間

だったけれど先に進む事も出来なければ

気持ちを行動や言葉にする事は

絶対出来ないのだから、、


僕はそのもどかしい気持ちで頭が

破裂しそうだった


お互いの気持ちが同じものだと

確信したけれど、だけど確信した事で

僕達はもっと、もっと苦しくなっていく

のを感じた


そう、、行動を起こして身を滅ぼすか


気持ちを押し殺してずっと苦しむか


それとも忘れるか、、



だけど忘れる事は僕には絶対出来なかった

それ程僕の想いは強かったから、、






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